地元馬エンブレムロードが総賞金2000万ドルのサウジカップを制覇(サウジアラビア)[その他]
リヤドは歓喜に包まれた。地元馬エンブレムロードが米国の有力馬カントリーグラマーを破って大番狂わせを演出し、総賞金2,000万ドル(約23億円)のサウジカップ(G1)の初優勝をサウジアラビアにもたらしたのだ。
どのようにこの勝利が達成されたのかはこれから解明されていくだろう。世界の競馬界で確固たる地位を築きたいという固い願望をもつサウジアラビアにとって、エンブレムロードが挙げた単勝81倍の勝利は計り知れないほど重要なものであり、サウジアラビアの人々も盛大に祝福をした。
サウジカップに臨むにあたり、通算成績8戦6勝の地元のマイルチャンピオン、エンブレムロードは馬券購入者からは見放されていたかもしれない。しかし調教助手のヒシャム・アブドゥル・ワヘド氏はこの1週間ずっと好調であると話しており、ミタブ・アルムラワラ厩舎のこの4歳馬がチームを失望させることはなかった。
6番手で直線に入ってきたエンブレムロードは、直線の真ん中を過ぎたあたりで猛烈に追い込んできて、満員の観衆2万人を前にカントリーグラマーとミッドナイトバーボンを撃退した。
ワヘド氏はこう語った。「今日はサウジアラビア全体が私たちのために、そして彼ら自身のためにパーティーを開かなければなりません。偉大な仕事を成し遂げました。ミシュリフやマンダルーンのような優秀な馬を下したのですから。神に感謝します」。
「エンブレムロードはとてもいい馬だと言ったでしょう。信じられないようなレースをしましたね。彼にとってはマイルよりもこの距離(1800m)の方が良く、さらに上を目指していくでしょう。本日、私たちは歴史に名前を刻みましたが、これが何を意味するのかをうまく説明できません。国民にとってもサウジアラビアにとっても素晴らしいことです」。
ドバイワールドカップ(G1)やブリーダーズカップ開催のようなレースで世界に挑む準備はできているかと聞かれて、「準備はできていて、馬も優秀です。今日みたいなこともできるでしょうし、挑戦しない手はないでしょう」とワヘド氏は答えた。
34年の騎手生活が晩期に差し掛かっているベテランジョッキー、ウィグベルト・ラモス(53歳)にとって、この勝利はキャリアの頂点となった。
24年前にパナマからサウジアラビアに騎乗しに来て、そのまま腰を落ち着けたラモス騎手はこう語った。「この馬には本当にワクワクしていたし、周りにも調子がいいと言っていました。彼は外を回るのを好んでいるので、位置取りには満足でした。最後の直線では何も聞こえず、ただ決勝線を見て"何とかやり遂げよう"と思っていました」。
「人生で最高の瞬間ですね。2~3年後には引退しますが、今そんなことは頭から消えています。世界最大のレースの1つで勝てたことがとても嬉しいです。家族はパナマの出身ですがサウジアラビアは第二の故郷で、ここの人々は私を応援してくれています」。
2着のカントリーグラマーはミッドナイトバーボンとの長々と続いた一騎打ちを制し、そのあと勝馬の終盤の追い込みに屈したが、フラヴィアン・プラ騎手は言い訳することなくこう語った。「やるべき仕事はできたと思いました。カントリーグラマーは素晴らしい走りっぷりで、道中悠々と走っていたので、言い訳は必要ありませんね。どれほど優秀な馬であるかを自ら証明しました」。
ミッドナイトバーボンの鞍上を務めたジョエル・ロザリオ騎手はこう語った。「最終コーナーを回って、今夜勝利を手にできるかもしれないと考えたのですが、そのとき勝馬が終盤で急襲してきました」。
「見ごたえのある美しいレースでした。この国と勝利ジョッキーにとって、素晴らしい結果です。勝利に値するジョッキーでしたし、喜ばしいことです」。
このレースで期待外れだったのは昨年の覇者ミシュリフに違いない。史上最高賞金獲得馬の座を狙って挑んだものの13頭のライバルのうち1頭も破ることができず、デヴィッド・イーガン騎手は馬のペースに任せてゴールした。
イーガン騎手は語った。「もっといい馬なのです。去年のように鋭い発走ができず、遅れをとってしまいました。じわじわと上がっていき、好位置を取りましたが、コーナーに差し掛かると彼は苦しくなって大きく取り残され、本来の彼ではなくなってしまいました」。
「何か不具合があったに違いありませんが、無事であることを願っています。状態を見てもらっているので、別の機会に活躍できることを望んでいます」。
By Lewis Porteous in Riyadh
(1ドル=約115円)
[Racing Post 2022年2月26日「Local runner Emblem Road runs out an 80-1 shock winner of $20 million Saudi Cup」]