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海外競馬ニュース
2022年03月03日  - No.8 - 1

日本が4勝を果たして主役となったサウジカップデー(サウジアラビア)[その他]


 ブリーダーズカップ開催で分岐点となる初勝利と2勝目を挙げてから4ヵ月経たずして、日本はふたたび国際的な舞台で力を発揮し、世界最高の賞金を誇る競馬開催で4勝を挙げた。

 欧州・南米・北米・アラブ首長国連邦(UAE)、そして地元の有力馬が大きな期待を背負って参戦したが、この夜は紛れもなく日出ずる国と神がかったクリストフ・ルメールのものとなった。

 勝馬4頭の鞍上を務めたのはルメール騎手だが、それら4頭がそれぞれ異なる調教師によって手掛けられたという事実ほど、日本競馬産業の底力を際立たせるものはないだろう。

 最初に木村哲也厩舎のオーソリティがネオムターフカップ[G3 総賞金150万ドル(約1億7,250万円)]で勝利を挙げ、次に林徹厩舎のソングラインが1351ターフスプリント[G3 総賞金150万ドル(約1億7,250万円)]を制した。そして昨年のブリーダーズカップ開催で初勝利を挙げた日本馬2頭(ラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌ)を手掛けた矢作芳人調教師の管理馬ステイフーリッシュがレッドシーターフH[G3 総賞金250万ドル(約2億8,750万円)]で優勝した。さらに4勝目は、リヤドダートスプリント[G3 総賞金150万ドル(約1億7,250万円)]でライバルを圧倒したダンシングプリンス(宮田敬介厩舎)により達成された。

 この4頭の勝馬はすべて、日本の騎手ランキングで長年トップに立ってきた人気のフランス人ジョッキー、ルメール騎手の絶妙な手綱さばきで勝利に導かれた。

 ルメール騎手は、「このような国際競走に参加できることは素晴らしいことで、いつも大きなチャレンジです。1勝するチャンスがあるなら、この世で一番幸せだと言ってもいいでしょう。2勝目、3勝目、4勝目を挙げられるのであれば、まるで雲のあいだを飛んでいるようなものです」と語った。

 ルメール騎手はオーソリティ、ステイフーリッシュ、ダンシングプリンスで先行逃げ切り勝ちを果たしたが、ソングラインでは終盤に積極的に追い込んだ。そして今回の4勝で42万ドル(約4,830万円)を手に入れた。

 ルメール騎手はこう続けた。「オーソリティとステイフーリッシュが私のベストライドになると思っていました。オーソリティのことはすごく信頼していました。ジャパンカップ(G1)でコントレイルの2着に入ったときの走りっぷりは素晴らしく、このレースで私にとってはベストホースだったのです。状態も良く、絶対勝てると思っていましたね」。

 「水曜日の朝にステイフーリッシュに乗って、素晴らしい印象を受けました。このメンバーなら、かなり良い勝負をするんじゃないかと思っていました。道中ずっと息を入れていて、とても快適に走れましたね。この距離を持ちこたえられることも素晴らしい末脚をもっていることも分かっていました。本当に圧倒的でしたね」。

 ルメール騎手は日本馬の圧倒的な強さの理由について聞かれ、3つの要因を指摘した。

 「もちろんすべては生産から始まっているのですよ。長年にわたり、日本の生産者や馬主は世界中から最高の繁殖牝馬を購買してきました。だから日本の生産界は巨大でとても安定したものになりました。そこから日本馬のレベルもどんどん上がっていったのです」。

 「日本馬はこのような速くて平坦なコースを得意としています。このような状態にとてもうまく適応できますね。彼らの才能とぴったりの馬場状態をもってすれば、素晴らしいパフォーマンスを発揮できるのです」。

 「最後に挙げられる要因は、海外遠征に慣れた調教師が増えていることですね。矢作先生のような調教師は馬を海外輸送する方法とどの馬を海外遠征させられるかを完璧に把握しているのです」。

 11月にコントレイルでジャパンカップを制した矢作調教師は、世界で最も優秀で好感のもてる調教師の1人としてめきめきと頭角を現しつつある。トレードマークのパナマ帽と人目を引くレインボーカラーのネクタイ。ステイフーリッシュで勝利を挙げたあとも、彼の明るい人柄が伝わってきた。

 矢作調教師は、「この馬はうまくやってくれると考えていました。彼は日に日に良くなっていたから自信があったのです。メルボルンカップ(G1)に連れて行きたいと思っていますよ。 日本の競馬産業にとって世界を舞台に強さを見せつけた重要な日になりましたね」と語った。

By Lewis Porteous

(1ドル=約115円)

[Racing Post 2022年2月26日「Land of the rising force: Japan takes centre stage with four fabulous winners」]

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