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2022年12月08日  - No.46 - 4

第3回ジャパンカップ優勝馬スタネーラを手掛けたダン調教師が死去(アイルランド)[その他]


 ダンズストア(スーパーマーケットチェーン)を経営する実業家であり、1983年にジャパンカップをスタネーラで制したフランク・ダン氏が79歳で死去した。彼は今もなお、ジャパンカップ優勝馬を手掛けた唯一のアイルランド人調教師である。

 熱心な生産者でもあったダン氏は、ハムウッドスタッドとバリーマコールスタッド(いずれもミース州ダンボイン)でG1馬のユームザイン、クレカドール(Creachadoir)、ナイトオブサンダー(現在はゴドルフィンのキルダンガンスタッドの種牡馬)を生産している。

 アークル(1960年代に英国・アイルランドの障害競走で活躍した名馬)を生産した牧場であるバリーマコールをウェインストック家から購入したのは2017年である。伝えられるところによると購入額は815万ユーロ(約11億8,175万円)に上る。

 父ベンがコークのセントパトリック通りで細々と始めたダンズストアを数十億ユーロ規模のビジネスに拡大させたことで、姉のマーガレット・ヘファナン氏とともにビジネス界で高い評価を受けていたにもかかわらず、サラブレッド界ではダン氏はスタネーラで達成した快挙で一番よく知られている。当初はスタネーラをジム・ボルジャー調教師に預託していたが、最終的にハムウッドスタッドを購入して自ら調教師免許を取得して同馬を管理した。

 1983年に、スタネーラ(牝5歳)がブリガディアジェラードS(サンダウン)で勝利を決めると、ダン調教師は彼女をロイヤルアスコット開催のプリンスオブウェールズSとハードウィックSに出走させ見事に両方で優勝させた。

 その後、スタネーラはレパーズタウンのジョーマクグラスS(現愛チャンピオンS)を制し、東京までの長旅に耐えながらも、ブライアン・ラウス騎手を背に欧州馬として初めてジャパンカップで優勝を収めて素晴らしいシーズンを締めくくった。

 ダン氏が調教師として最後の管理馬を出走させたのは2016年で、最後の勝馬は同年の6月にバリンローブ競馬場で勝利を収めたハイランドフリングだった。しかし、彼のパートナーであるアン・マーシャル氏は最近でも、ジョニー・ムルタ厩舎、ジャック・デーヴィソン厩舎、ジェシカ・ハリントン厩舎に現役馬を預託している。

 ダブリンのクロンシーラで調教活動を始めたころにダン氏から厩舎を借りていたボルジャー調教師は12月1日(水)、孤高の旧友を懐かしんだ。「とても悲しんでいます。まずはアンと彼の家族にお悔みを述べたいと思います」。

 「彼は実業家として大成功を収め、父親の死後にマーガレットとともに後を継ぎ、会社は高い業績をあげ続けました」。

 「彼がハムウッドスタッドを購入するまで所有馬を預かっていましたが、そこで彼が自ら調教活動を始め、スタネーラですごい成功を達成しました。フルタイムで調教活動に専念しようと思わなかったことは、私たちにとっては良いことだったかもしれませんね」。

By Jordan Norris and Richard Forristal

(1ユーロ=約145円)

[Racing Post 2022年12月1日「First European-based Japan Cup-winning trainer and businessman Frank Dunne dies」]


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