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海外競馬ニュース
2022年11月24日  - No.44 - 3

フライトライン、初年度は約150頭に種付け予定(アメリカ)[生産]


 無傷のG1・4勝馬フライトラインは、ジェーン・ライアン氏のサマーウインドファーム(セントラルケンタッキー)での仔馬時代から着々と出世コースを歩んできた。

 この鹿毛のタピット産駒は、ファシグ・ティプトン社のセレクト1歳セール"サラトガセール(ニューヨーク州サラトガスプリングス)"において100万ドル(約1億4,000万円)で購買された。そしてその購買額を正当化するかのように、2021年4月にサンタアニタパーク競馬場のデビュー戦において先行逃げ切りで13¼馬身差の勝利を挙げた。その後、総賞金7万3,400ドル(約1,028万円)のアローワンスオプショナルクレーミング競走を12¾馬身差で制し、マリブS(G1)で11½馬身差の優勝を決め3歳シーズンを締めくくった。ジョン・サドラー調教師と馬主グループ(フロニスレーシング・シエナファーム・サマーウインドエクワイン・ウエストポイントサラブレッズ・ウッドフォードレーシング)は、2022年にフライトラインをG1競走だけに出走させることになる。

 この馬を来年から種牡馬として迎えるレーンズエンド牧場のビル・ファリッシュ氏はこう語った。「デビュー戦から期待はどんどん膨らんでいきました。できることはすべてやったと思ったら、次にもっとすごいことをやってのけたのです」。

 「年初に定めていたすべての大きな目標を達成しました。メトロポリタンH(G1)が最初の大きな目標でした。それを勝つと、パシフィッククラシックS(G1 デルマー)に出走し、それが2つのターンがあるレースへの初挑戦となりました。そこで信じられないような走りを見せてくれたのです。これには感動させられましたね」とファリッシュ氏はパシフィッククラシックS(9月3日)でのフライトラインの19¼馬身差の圧勝を引合いに出した。

 「この馬はどんな負け方をするのだろうと皆で思っていたのです。そうしたら初めて2ターンのレースに挑戦することになったわけです。内心は相当心配しましたが、それは必要以上のものでした。なぜなら、彼は見た目は2ターンに向いていたようですし、そのようなレースに挑むために生産されたのですから。何も疑う必要などなかったのです。しかし4歳半にもなって2ターンの経験が一度もなかったことがやはり障害になるかなと思ったのです。でもそんなことはありませんでした。ブリーダーズカップを目指すにあたり抱いていた不安は和らげられました」。

 フライトラインはBCクラシック(G1 キーンランド)で7頭のG1馬を8¼馬身差で撃沈し、これまでの圧倒的なパフォーマンスを感嘆符でくくったのである。

 レースで証明することはもう何も残されていない。フライトラインは同じ軌道に乗って、このままキャリアの次のステージにゆっくり入って行こうとしている。

 ファリッシュ氏はライアン氏により生産されたフライトライン[母はG1・3着内でG3勝馬であるフェザード(父インディアンチャーリー)]についてこう語った。「慣れるのに時間がかかったのは私たちです。彼は初日から順応しました。馬房にパッドを敷き詰めましたが、彼はそれを舐めてもいないようですね」。

 ファリッシュ氏によると、フライトラインの初年度の種付相手は約150頭と設定されており、これまでに受け付けた牝馬の質は目覚ましいものであるという。フライトラインの種付料は20万ドル(約2,800万円)とされており、この価格は新種牡馬としては2015年米国三冠馬アメリカンファラオの2016年の初年度種付料以来の高値である。

 ファリッシュ氏はこう続けた。「フライトラインが種牡馬として成功しなかったとしても、"質の高い牝馬が不足していた"という言い分は通らないでしょう」。

 レーンズエンドブラッドストックのデヴィッド・インゴルド氏は、「もし牝馬がノーベンバーセールで7桁もの価格で購買されていたとすれば、彼女はおそらく2月15日以降にここに来ることになるでしょう」と付言した。

 これまで受け付けた予約には、2018年BCフィリー&メアスプリント(G1)優勝馬シャムロックローズが含まれる。シャムロックローズはキーンランド11月繁殖セールにレーンズエンドにより上場され、日本のケイアイファームにより300万ドル(約4億2,000万円)で落札された。彼女は日本に輸送されるまでケンタッキーにいてフライトラインと交配する予定だ。ファリッシュ氏によると、シャムロックローズは日本の生産者がフライトラインと交配させてから日本に連れて帰るためにキーンランドで購買した5~6頭の牝馬のうちの1頭であるという。

 ファリッシュ氏は、「彼の影響力を日本まで広げることができるのは素晴らしいことです。国際的な関心を引きつける種牡馬を所有するとき、信じられないような付加利益を得ることができます。欧州の繁殖牝馬も同じことをするようです。すべての新種牡馬がこれほど簡単な滑り出しだといいのですが」と語った。

By Eric Mitchell

(1ドル=約140円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2022年No.42「フライトラインの所有権の2.5%、460万ドルで落札(アメリカ)」、No.43「フライトラインの所有権の超高額落札は生産界を悪い方向に導くか?(国際)

[bloodhorse.com 2022年11月16日「Flightline Settled in at Lane's End」]


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