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2022年10月27日  - No.40 - 2

ディープインパクト産駒オーギュストロダン、フューチュリティTで優勝(イギリス)[その他]


10月22日(土)フューチュリティトロフィー(G1 ドンカスター)

 サー・ヘンリー・セシル調教師の記録を更新することは並大抵のことではないが、エイダン・オブライエン調教師は壮大なやり方でそれを成し遂げた。フューチュリティトロフィーで史上最多の11勝を達成した調教師となったのだ。

 しかも来年の英ダービー(G1)に出走しないと見られていた馬を見事に大本命に浮上させ、英2000ギニー(G1)の有力候補にも押し上げた。

 超一流トレーナーになるためには、クールモアの非の打ち所のないミドルディスタンス血統の良血馬を続々と走らせるだけでは不十分である。大雨により理想からかけ離れた馬場状態で賭けに出る勇気と、必勝法を考え出す知性が必要だ。

 オブライエン調教師は確実に2つを兼ね備えている。だからこそ、成長中のG2勝馬オーギュストロダン(牡2歳 父ディープインパクト)に、シーズン最後の英国G1競走出走のゴーサインをギリギリの段階で出したのだろう。

 そしてライアン・ムーア騎手がスタートからオーギュストロダンにスタンド側の外ラチ沿いの位置を取らせ、同厩舎馬ソルトレイクシティ(ウェイン・ローダン騎手)とエピクテタス(フランキー・デットーリ騎手)を追走させた。秋のG1競走ではなく、まるで春にここで行われるリンカーンハンデキャップのように、馬群は大きく二手に分かれた。

 一見すると不思議な出来事だが、ムーア騎手は完璧な判断をしたのだ。残り¼マイル(約400m)地点でスタンド側の集団の先頭に立ち、内ラチ沿いで全体のトップに立っていたホロウェイボーイ(Holloway Boy)がコースを大きく横切り合流してきたが、そのライバルを抜き去った。そして、オーギュストロダンはふたたび上がってきたエピクテタスを3½馬身引き離してゴールしたのである。

 オブライエン調教師は「彼を連れて帰るつもりでここに来たのです」と認め、こう語った。「そのことについて話し合っていて、厩舎スタッフたちは馬場状態が"不良"ならば回避しましょうと言っていました。ライアンは第1レースで騎乗して"重"だと言い、"不良"ではないと考えていたようです。私たちは馬場を歩いてみて "不良"ではないと感じました。そしてオーギュストロダンを挑戦させるべきだと思ったのです」。

 そしてこの大胆な作戦についてこう説明した。「馬場の中央はかなり芝が削られていて、内ラチのほうはかなり傷んでいました。スタンド側は少ししか傷んでいなかったのです」。

 「だから少なくとも傷んでいない場所を走らせようと思っており、くぼみに脚を取られないようにと願っていたのです。通常、重馬場の場合一番いいのは使われていないときです。最高の状態での走りを見ることはできないが、この経験は彼に役立つと思ったのです」。

 「うまくいって素晴らしかったです。いつもそんなにはうまくいかないものです。まったく来年が楽しみになる馬ですね」。

 ブックメーカーもこの馬に少なからず期待を寄せているようだ。英2000ギニーでのオッズは最高で6倍、英ダービーでのオッズは5倍となっている。

 オブライエン調教師はこう続けた。「英2000ギニーに出走しても問題ないと思います。とても能力があります」。

 「ニューマーケットの良馬場はすごく得意でしょうし、1¼マイル(約2000m)の距離はもつだろうと思います。普通あれほど優秀で能力のある馬なら、1½マイル(約2400m)でも問題ないでしょう。あらゆる美点が備わっているように見えます」。

 「厩舎スタッフ全員の努力が実ったことに喜んでいます。このレースを制した馬のほとんどが自家生産馬です。信じられないことですね。勝利に関わることができて光栄です」。

 エピクテタスを手掛けるジョン・ゴスデン調教師はバリードイル(クールモアの調教拠点)の作戦に驚いてはおらず、こう語った。「彼らがそういう作戦に出るかもしれないと思っていたのです。馬場を歩いて調べているときエイダンもいたので、フランキーに"気をつけるように"と言いました。"彼らはゲートを出て右に進路を取りスタンド側の外ラチ沿いに走るだろう"と」。

 「エピクテタスは素晴らしい走りを見せてくれました。未完成の馬なので、まだ弱い面もあり、馬場も彼に向いたものではありませんでした。しかし来年に向けては期待がもてる馬です。ダンテS(G2)のような1¼マイル(約2000m)のトライアルに出走させるつもりです」。

By David Carr

[Racing Post 2022年10月22日「Auguste Rodin 'one to get a little bit excited about' after record-breaking win」]


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