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2022年10月13日  - No.38 - 2

トルカータータッソ、引退して初年度種付料2万ユーロで供用(ドイツ)[生産]


 マルセル・ヴァイス調教師は厩舎の新たなスターを探しだすつもりである。しかし、昨年の凱旋門賞(G1)の優勝馬トルカータータッソの代わりはいないと述べる。

 10月4日(火)夜、トルカータータッソ(牡5歳)が引退してアウエンケル牧場で供用されることが発表された。トルカータータッソは凱旋門賞(10月2日)でタイトルを守るためにゴール手前で猛烈なスピードで追い上げ、フランキー・デットーリ騎手を背に3着に入っていた。

 凱旋門賞の前、トルカータータッソはすぐに引退するか、それともジャパンカップ(G1)をラストランにするかのどちらかに選択肢は絞られていた。

 ヴァイス調教師はこう語った。「馬主の1人、ピーター-マイケル・エンドレス氏が凱旋門賞の2日後に調教場に来ることになっていました。彼は毎週火曜日に馬に会いに来るのです」。

 「今度調教場に行ったときに話し合わなければなりませんねと、彼は日曜日に言っていました。それで火曜日に今後について話し合ったのです。2人とも同じ意見だったので、特に議論することはありませんでしたね。お互い馬のためになる決断をしたかったのです」。

 トルカータータッソはG1・3勝に加え、ドイツダービー(G1)2着・キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)2着・凱旋門賞3着という成績でアウエンケル牧場に供用される。また、ドイツ競馬史上最高の420万ユーロ(約5億8,800万円)もの賞金を獲得している。

 20頭立ての凱旋門賞で勝つのが不可能に近い18番ゲートからの発走だったが、デットーリ騎手を背にラスト3ハロンで全頭中最速のタイムを記録し、フランスギャロのトラッキングによると、優勝馬アルピニスタより6.9mも長い距離を走り、その着差は¾馬身以内だったという。

 ヴァイス調教師はこう続けた。「とても誇りに思うと同時にほっとしています。彼はよく走りましたし、シーズンを通じてすべてが順調に進みました」。

 「今年の凱旋門賞で彼が3着内に入ってくれることが私の夢でした。だから、優勝馬と2着馬に肉薄したことと同じぐらい彼の走りっぷりを誇らしく思います。あのパフォーマンスにとても満足しています」。

 ヴァイス調教師は以前、アウエンケル牧場のストールディアナ厩舎(ミュルハイム)で調教助手を務めており、2020年初旬に調教師免許を取得したばかりだった。その頃、トルカータータッソは未出走の3歳馬だった。

 ヴァイス調教師はこう語った。「この馬がすべてですね。自分の名義で調教を始めたときから、トルカータータッソはチームの一員であり、切っても切れない結びつきなのです。彼がいなくなると厩舎にぽっかりと大きな穴が開きますが、今後は匹敵するような馬を見つけようとすることに集中しなければなりません」。

 「なかなか実現しないかもしれませんね。でも、彼が辿った道を歩めるような馬が見つけられることを望んでいます。トルカータータッソの代わりとなる馬は絶対にいません。彼はドイツ競馬界のために、またドイツという国にとってさえも多くのことを成し遂げてくれました。驚くべき物語だったと実感しています」。

 「最も重要なのは、彼が申し分ない状態で種牡馬になることです。種牡馬になるのにふさわしい気性をしていると思うのです。動揺することなく、真の競走馬の性格をしていて、しかもとても健康なのです。すべてを兼ね備えていますね」。

By Scott Burton

初年度種付料は2万ユーロ

 タイトルを防衛すべく挑んだ凱旋門賞で名誉ある3着に入ったあとに現役を引退したトルカータータッソは、アウエンケル牧場で種牡馬入りする。同牧場の代表は本紙(レーシングポスト紙)に対し、この馬の来年の種付料は2万ユーロ(約280万円)になると語った。

 トルカータータッソは10月中旬の週末にマルセル・ヴァイス厩舎(ミュルハイム)を出発し、そのままバーデンバーデンに移動することを予定している。そこではBBAGのセリと競馬フェスティバルが開催中であり、スタリオンショーに参加する。

 その後バーデンバーデンを出発し、新しい住処であるアウエンケル牧場に向かう。そしてドイツの元リーディングサイアー、ソルジャーホロウの傍らで種牡馬生活を開始する。

 トルカータータッソは種付年の9月30日までに不受胎の場合は種付料を返還する条件で供用され、フリーリターン特約付きである。アウエンケル牧場の共同オーナーであり、BBAGの会長でもあるカール-ディートリッヒ・エレブラッケ氏が、英語を話すアシスタントとともに申請の可否を判断する。

 関係者によると、トルカータータッソにはすでに欧州のさまざまな国から大きな関心が寄せられているという。

 トルカータータッソはドイツ国内だけでなく海外からも種牡馬として優良株と見なされている。その理由は、権威あるバーデン大賞(G1)やベルリン大賞(G1)で優勝したうえに人気薄で凱旋門賞を制覇した馬であるだけでなく、強豪馬を相手に常に優秀な成績を収めてきたからだ。

 また、早い死が惜しまれたリーディングサイアー、アドラーフルークの産駒である。アドラーフルークはほかに、G1馬のアレンカー・インスウープ・イキートス・イトウ・ラカザー・メンドシーノを送り出している。そのうえ、トルカータータッソはアーバンシーの母アレグレッタに遡る実り豊かなファミリー(牝系)の出身である。

 さらに3歳の半弟トゥネス(Tunnes)はドイツで最もエキサイティングな1頭と評価されている。最近、BBAGセールレースと独セントレジャー(G3)を大差で制しているのだ。

By Martin Stevens

(1ユーロ=約140円)

[Racing Post 2022年10月5日「'You can never replace him' - Marcel Weiss hails retiring hero Torquator Tasso」、10月7日「Torquator Tasso set to be introduced for €20,000 at Gestut Auenquelle」]

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