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海外競馬ニュース
2022年10月06日  - No.37 - 3

スミヨン騎手、アガ・カーン殿下の主戦の座を失う(フランス)[その他]


 クリストフ・スミヨン騎手(41歳)は10月4日(火)、アガ・カーン殿下の主戦騎手としての契約を打ち切られた。しかし非難を浴びるこのジョッキーがふたたび殿下の勝負服を着て騎乗する可能性はある。スミヨン騎手はこれまで、殿下の数々の名馬を勝利に導いてきた。

 このベルギー人ジョッキーは9月30日(金)にサンクルー競馬場においてとっさの肘打ちでロッサ・ライアン騎手を突き落とすという事件を起こしたため、主戦から降ろされた。

 この決定により、アガ・カーン殿下のフランスにおける主戦としての2回目の契約期間(2014年に開始)は終了した。スミヨン騎手はそれ以前、2002年から2009年まで殿下の有名なグリーンの服色で騎乗し、その時期にダラカニとザルカヴァを凱旋門賞(G1)優勝に導いた。

 フランスで最も脚光を浴びるスミヨン騎手は、サンクルー競馬場においてレース中にライアン騎手と接触したことで60日間の騎乗停止処分を受け、競馬界を唖然とさせた。彼は10月2日(日)のインタビューで"現在の状況 "について、不吉な前兆があるとほのめかした。

 4日(火)の朝に契約解除のニュースが流れたことをうけ、スミヨン騎手は本紙(レーシングポスト紙)にこう語った。「もちろんアガ・カーン・スタッドとの契約を失うことにとても失望しています。しかし、長きにわたりこれほど名誉ある職に就かせていただいたことは大きな誇りですし光栄なことでした。彼らが成功し続けることを願っています」。

 「さまざまな関係を再構築しなければいけないと実感しています。そして私の騎乗を希望する馬主や調教師の方々に対して、献身と意欲を示していく決意です」。

 アガ・カーン・スタッドが出した声明にはこう記されている。「9月30日(金)のサンクルー競馬場でロッサ・ライアン騎手の落馬につながった事件を受けて、アガ・カーン・スタッドはクリストフ・スミヨン騎手との契約を即刻打ち切ることを決定しました」。

 「今週以降も、フランスの調教師とアガ・カーン・スタッドのチームの判断により、スミヨン騎手がアガ・カーン殿下の服色で騎乗することは時々あるかもしれません。現段階では、当面のあいだはフランスで主戦騎手を雇うつもりはありません」。

 アガ・カーン殿下のフランスにおける競馬・生産マネージャーであるジョルジュ・リモー氏は、長期的に代わりを務める騎手をすぐには探さないため、スミヨン騎手が"時折"騎乗を任される可能性はまだあることを認めた。

 リモー氏はこう続けた。「タイミングが良くありませんでした。このようなことにはそもそも良いタイミングというものはないのでしょうが、ともかく決定は下されました。調教師がクリストフを使いたいと思ったときに、時折私たちの馬の鞍上に彼が戻ってくることを妨げるものではありません。しかし、今までのような契約関係にはないということです」。

 スミヨン騎手は2009年にも解雇されている。それはガラディナーでの彼の軽はずみな発言によって関係が壊れたことが原因だった。それによりクリストフ・ルメール騎手が主戦に任命されることになった。

 リモー氏は現時点で主戦騎手を指名しない理由をこう説明した。「現在のところ調教師たちと話し合った結果、調教師たちがどの騎手を乗せるのかもう少し自由に選べるようにすることが望ましいと私たちは考えています。2023年には主戦騎手を置かないことにしました。しかし、どのようなことも除外されているわけではありません。決定は下しましたが、状況が変わる可能性もあります。今のところは、誰とも主戦騎手の契約を結ぼうとはしていません」。

 60日間の騎乗停止期間が10月14日まで開始されないことで、スミヨン騎手は凱旋門賞ウィークエンド(10月2日・3日)で騎乗でき、土曜日のダニエルウィルデンシュタイン賞(G2)ではアガ・カーン殿下のエレヴァンに騎乗して勝利を収めた。また凱旋門賞では、同じ服色のヴァデニに騎乗してアルピニスタの½馬身差の惜しい2着となった。

 スミヨン騎手がロンシャンで騎乗できることについては多くの議論を呼び、フランスギャロも同騎手が凱旋門賞ウィークエンドに参加することを快く思っていないことを認めていた。

By Scott Burton

(関連記事)海外競馬ニュース 2009年No.37「アガ・カーン殿下とスミヨン騎手、騎乗契約を解消へ(フランス)

[Racing Post 2022年10月4日「Christophe Soumillon loses Aga Khan job but may continue to ride owner's horses」]


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