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2022年08月25日  - No.31 - 5

チャド・ブラウン調教師、"呼吸妨害罪"の容疑で逮捕(アメリカ)[その他]


 サラトガスプリングス警察署は8月18日(木)、「エクリプス賞を4回受賞したチャド・ブラウン調教師(43歳)が17日(水)、ニューヨーク州サラトガスプリングスでA級軽犯罪である呼吸妨害罪の容疑で逮捕されました」と本誌(ブラッドホース誌)に述べた。

 同警察署によると、8月17日(水)午後11時(東部標準時)にブラウン調教師とその知人が起こした事件に関して訴えが寄せられたという。

 地元メディアは、18日(木)午前にサラトガスプリングス裁判所で行われたブラウン調教師の罪状認否に関して報道した。それによると、ケイラ・ポッター地方検事補はフランシーン・ヴェロ裁判官に対して「ブラウン氏は自宅の階段で女性を突き落とし、地面に押さえつけ、首を絞めようとし、最後は家から追い出しました」と語ったという。

 ブラウン氏の弁護士、ジョセフ・ガーステンザング(Joseph Gerstenzang)氏は裁判官に対し、「攻撃された女性は夜中にブラウン氏の家に押し入り、ブラウン氏は自己防衛をしたのです」と述べた。本誌はブラウン氏の無罪を主張したガーステンザング氏にコメントを求めようと電話したが、応答はなかった。

 ブラウン氏は18日(木)午前、保釈金2,500ドル(約34万円)を支払い釈放された。サラトガスプリングス裁判所によると、ブラウン氏は9月2日午前9時にヴェロ裁判官の下に出廷することなる。

 地元メディアによると、ヴェロ裁判官は被害者とされる女性に保護命令を出したという。これにより、サラトガ競馬場で働くこの女性とブラウン氏のあいだでは"偶然的な接触"だけが認められる。

 ニューヨーク州刑法121.11では、"呼吸妨害罪または血液循環妨害罪"は、"誰かの正常な呼吸または血液循環を妨げようとして、個人の喉や首に圧力を加えることまたは同じ意図でその人物の鼻や口を塞ぐこと"と定義している。ニューヨーク州でA級軽犯罪の有罪判決を受けた場合には、最高で1年の禁固刑または3年の保護観察が言い渡される。

 ブラウン氏はニューヨーク州メカニックヴィル出身でサラトガスプリングス在住。2007年に調教師免許を取得し、2016年~2019年にエクリプス賞の最優秀調教師に輝いた。今年は8月17日(水)までにサラトガ開催で27勝をあげて首位を走っており、2022年の北米ランキングでも569戦168勝で賞金1,983万3,835ドル(約26億7,757万円)を獲得してトップに立っている。

 ブラウン調教師は8月18日(木)にサラトガ競馬場で2頭を出走させる。ナボコフは第8レースのアローワンス競走に、ロビンアンドイーライ(Robyn and Eli)は第9レースのニューヨークスタリオンシリーズSに出走する。

 ナボコフの馬主ピーター・ブラント氏は18日(木)にサラトガのパドックでこう語った。「まず実際に何が起こったのかを聞いて、それから自分の考えで決定したいです。チャドがやったとされることは事実ではないと思います。私たちが聞かされていない何かがあると考えますし、彼のことを全面的に支持しています。彼とはショートメールで話しました。今のところ、そういったところです。挑発されないかぎり、あのようなことをする人ではないと思います」。

 「もちろん動揺していましたが、ある人から聞いて状況を把握しました。チャドではなくほかの人が、何が起こったのかを正確に教えてくれたのです。彼は自己防衛しただけだろうと思いますので、何も心配していませんでしたね」。

 「そんなことをする人ではないと思います。たいへん常識のある賢い人です。その女性が彼を起こして殴り始めたと聞いています。言うまでもなく、自己防衛しただけだと思います。どうであれ、彼が出廷して事情を話す権利があるはずだと考えます。全面的に彼を支持しますね」。

 NYRA(ニューヨーク競馬協会)のスポークスマン、パット・マッケンナ氏は18日(木)に次の声明を出した。「NYRAは本日チャド・ブラウン調教師が告発されたことを承知しています。この事案に関するこれ以上のコメントは、サラトガスプリングス警察署にお任せします」。

 州内の競馬関連の免許を監督するニューヨーク州ゲーミング委員会(New York State Gaming Commission)はコメントを求められたものの応じなかった。

 ブラウン調教師は8月20日(土)までに17頭(サラトガ14頭・モンマスパーク3頭)を出走登録している。20日(土)にはサラトガ競馬場のアラバマS(G1)にジェリーマンダー、レイクプラシッドS(芝G2)に管理馬4頭が出走予定である[訳注:アラバマSでジェリーマンダーは5着。レイクプラシッドSではブラウン厩舎のホーティ(Haughty)が優勝した]。8月27日(土)のトラヴァーズS(G1 サラトガ)には管理馬3頭を登録している。それはプリークネスS(G1)優勝馬アーリーヴォーティング、G1馬ザンドン、ジャドモントファームの自家生産馬で7月29日のカーリンS(サラトガ)の優勝馬アートリアス(Artorius)である。

By Claire Crosby and Tim Wilkin

(1ドル=約135円)

[bloodhorse.com 2022年8月18日「Brown Arrested on 'Obstruction of Breathing' Charge」]


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