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2022年08月25日  - No.31 - 1

バーイードは父シーザスターズに匹敵とオックス元調教師(イギリス・アイルランド)[その他]


 凱旋門賞(G1)制覇で締め括ったシーザスターズのきらびやかなキャリアを指揮した調教師、ジョン・オックス氏は、バーイードが父の生き写しでありどんな競走距離にも適応する能力を持ち合わせていると考える。

 オックス氏のシーザスターズとの強い絆を考えれば、彼がバーイードの輝かしいキャリアを見守り、2頭に著しい類似性を見いだしたと言うのを聞いても何ら驚くことはない。

 シーザスターズは2009年凱旋門賞(2400m ロンシャン)で栄誉ある勝利を挙げて現役を引退した。そしてその13年後、彼の最高傑作であるバーイードが同じことを達成する可能性が出てきた。またバーイードには愛チャンピオンS(G1 約2000m レパーズタウン)か英チャンピオンS(G1 約2000m アスコット)、もしくはその両方を目指すという選択肢もある。

 オックス氏は、ウィリアム・ハガス厩舎のスーパースターがどのレースに挑むべきかについて意見を述べようとはしなかったが、スタミナは問題ないだろうと語った。

 「バーイードはシーザスターズにとてもよく似ていて本当に驚かされます。時々、ほとんど同じ馬を見ているような気にさせられるのですよ」。

 「実物のバーイードは見たことがなく、父ほど大きくはないと思いますが、特に2頭の気性がとても似ている点は見てとれますね」。

 「彼はレース前にとても静かです。スタート時は発馬機の中ですごく落ち着いているのです。ちょうど父のシーザスターズと同じです。もちろん卓越したスピードがあります。どんなペースでもこなし、四方八方から圧力を掛けられても、ハミを取って道中スムーズに走るのです。そして加速していきます」。

 「今年の前半のレースでは先頭に立ったときに、これもシーザスターズと同じですが、少しソラを使っているようなところがありました。ただ英インターナショナルSではそのようなことはなく、とても素晴らしいレースをしましたね」。

 バーイードの適性距離、そして凱旋門賞の2400mの距離がもつかどうかについて、オックス氏はこう語った。「シーザスターズとかなりの類似性があります。偉大な競走馬というのは、距離がもつかどうかではなく、ただほかよりも優れたアスリートなのです。バーイードにとって距離はあまり重要ではなく、距離を短縮しようと伸ばそうと、優秀であることに変わりはないのです」。

 「私を含めて調教師は皆、馬を特定の競走距離に当てはめようとしがちですが、多くの競走馬、とりわけ優良馬は想像以上の適応力を備えているのです。特にバーイードほどレベルに到達した馬はそうですね」。

 「ニジンスキーのことを考えてみてください。2歳のときにレイルウェイS(約1200m)とアングルシーS(約1200m)を制して、3歳のときは結果的に三冠競走をすべて制覇したのです」。

 「ミルリーフはコヴェントリーS(約1200m ロイヤルアスコット開催)とジムクラックS(約1200m ヨーク)で圧勝し、その後英ダービー(約2400m)と凱旋門賞で優勝しました。偉大な馬はスタミナがあるどうかではなく、距離が関係ないほどの能力があるのです」。

 もしバーイードを管理していたなら凱旋門賞を目指すかどうかという質問に対して、オックス氏はこう答えた。「それについては意見できませんね。バーイードを毎日見ているわけではありませんので」。

 「ハガス調教師はとても優秀で、バーイードのことを一番よく分かっています。馬主や周囲の人たちと一緒に判断を下すことになるでしょうね。私を含め部外者は皆、愚かなことを言ってしまう可能性があるのです。毎日バーイードを見ているわけではないですから」。

 オックス氏は何の躊躇もすることなく、バーイードを歴代の名馬の1頭として挙げた。

 「異なる世代の馬を比較するのは好みませんが、バーイードもまた名馬であることに間違いありません。そのカテゴリーに入るべき馬です。英インターナショナルSでの勝ちっぷりは彼をその域に押し上げたでしょう。それに次々と勝利を決めてきました。休みなく出走しています」。

 「競走生活のスタートが少し遅めでしたが、デビュー以来休むことなく出走してきました。順調に走り続けられる気性と馬格を備えています。定期的に出走してあまり休養をとっていないにもかかわらず、経験を積むごとにどんどん良くなっています」。

 「シーザスターズも休みなく出走していました。驚異的なエネルギーと肉体的にも精神的にもとても優れた資質を備えていたので、何も心配していませんでしたね」。

 「彼はとても元気で素晴らしい脚をもっていました。何の問題もなく精神的にも頑丈だったのです。何ごとにも動じませんでしたね。余裕がなくなることはありませんでした。彼にとってレースがハードなことは一度もありませんでしたし、いつも活発でした」。

 「とてもエネルギッシュな馬だったので、すべきことは抑制することだけでした。頻繁に出走するスケジュールに耐えられることは早い段階から分かっていたので、ハードなスケジュールを設定しました」。

 「当時愛チャンピオンSは現在より1週間早く施行されていました。英インターナショナルSからのレース間隔は18日しかありませんでした。それなのに、シーザスターズは英インターナショナルSよりも愛チャンピオンSのときのほうが良かったのですよ。バーイードの場合、そのレース間隔は25日です」。

By David Jennings

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[Racing Post 2022年8月21日「John Oxx: 'Distance makes no odds to Baaeed, he's just superior like his dad'」]


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