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2022年08月10日  - No.29 - 3

ニューマーケットの芝の調教走路が散水できず閉鎖(イギリス)[開催・運営]


 散水して使用するニューマーケットの芝の調教走路が水不足により閉鎖されるという前代未聞の事態が発生した。

 イングランド東部と南部の大部分が干ばつのような状態になっており、ジョッキークラブ・エステーツ社(Jockey Club Estates:JCE)は調教走路を閉鎖せざるをえなくなった。確保された水はニューマーケット競馬場の2つのコース、ジュライコースとローリーマイルコースに優先的に使われる。

 この7月はイングランドにおいて100年以上なかったような乾燥した気候だったと、気象庁は報告した。一方、南部の一部の地域(ハンプシャー州とワイト島)では7月29日(金)からホース使用禁止令が導入されることになった。

 また気象庁によると、英国において2月以外の月は平均降雨量を下回っており、2022年上半期の降雨量は長期平均降水量よりも25%下回っていたという。

 JCEのニック・パットン社長はこう語った。「ジュライコースとローリーマイルコースは秋の重要なレースプログラムを控えているので、調教走路よりも優先的に散水を行いました」。

 「私の経験では、水不足で調教走路を閉鎖しなければならなかったことは一度もありませんでした」。

 JCEは調教走路を使用し続けるために水の緊急使用許諾を申請しているが、承認される見込みは高くないようだ。

 ニューマーケット・ヒース委員会の会長を務めるクリス・ウォール調教師はこう語った。「調教走路は7月30日までオープンしていましたが、散水するのに十分な水がないために今では閉鎖されています」。

 「JCEが確保している水は競馬場に使われることになりますが、彼らはより多くの水を使えるように緊急使用許諾を申請しています。しかし現在の気候を考えると、すぐには期待できないでしょう」。

 「現在ここでは、あらゆることに雨が必要なのです。豪州の奥地のようですが、為す術がありませんね」。

 この調教走路はニューマーケットで散水して使用する唯一の芝コースであり、1980年代にオープンした。通常の芝の調教走路が2ヵ月にわたって使用できなくなっていたため、需要が高まっていた。

 よく手入れされたこの調教走路は長年にわたり、フランケルや今年の英ダービー馬デザートクラウンなどあらゆる名馬により使用されてきた。デザートクラウンはこの若々しい芝コースで英ダービーに向けて万全の態勢を整えた。

 この特別な9ハロン(約1800m)のコースはローリーマイルコースと平行に敷設されており、通常の芝の調教走路が硬すぎて使えなくなったときに開放され、JCEは所有する貯水施設から引いた水でそのコースを手入れしている。

 しかしながら、その水はジュライコースやローリーマイルコースを手入れするためにも使用される。ジュライコースでは次回8月5日(金)と6日(土)にレースが施行される。

 ロジャー・ヴェリアン調教師、サイモン&エド・クリスフォード親子、エド・ダンロップ調教師、マイケル・ベル調教師などがこの調教走路を定期的に使用している。

 ウォール調教師は、「さまざまなレース、とりわけ2歳戦に向けてこの芝の調教走路で管理馬を仕上げたいと思っている人々に影響が及ぼされるのは明らかです」と述べた。

 最近改修されたアル・バハトリ・ポリトラックコースはニューマーケットの調教走路不足をある程度解消してくれるが、1985年にオープンしたこのコースにはさらなる混雑が発生することになるだろう。

 ウォール氏は、「アル・バハトリ・ポリトラックコースが改修され、今や運営されて馴染みつつあることは素晴らしいことです。調教走路の不足は解消されています」と付言した。

 JCEはニューマーケットの2,500エーカーもの調教用地を管理している。そこには全長50マイル(約80 km)におよぶ芝の調教走路と全長14マイル(約22.5 km)におよぶオールウェザーコースが設けられている。

By David Milnes

[Racing Post 2022年8月1日「A first in Newmarket as watered gallop closes - due to lack of water」]

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