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2022年06月16日  - No.21 - 2

ニューヨーク州、固定オッズ馬券を発売可能にする立法措置は進展せず(アメリカ)[開催・運営]


 ニューヨーク州議会において、固定オッズ馬券をダイレクトシステム通じてモバイルスポーツ賭事(州内で今年1月8日に提供開始)のプラットフォームで発売できるようにする立法措置は進展しなかった。次のチャレンジは2023年まで待たなければならない。

 ニューヨーク州上院と下院の競馬・賭事委員会を率いるジョセフ・アダボ上院議員とゲーリー・プレトロー下院議員がこの立法措置を試みた。しかし議会は年次会期を1日遅れの6月3日に終了し、この案件が2022年議会で審議されることはなかった。

 この法案が提出されたのは昨年末である。ところがモバイルスポーツ賭事を下手にいじくりまわしてしまうことが懸念され、この法案は支持を得られなかった。モバイルスポーツ賭事はプロスポーツから一部の大学の競技にいたるまで幅広い賭事を可能とし、提供開始から5ヵ月経つが大きな利益が期待されている。また、州南部の市場で新規3社に商業カジノライセンスを付与する手続きの加速化計画がこの春に州議会で承認されるなど、本法案以外のゲーミング関連事案が政治的に大きな比重を占めていた。

 アダボ議員は昨年の11月末に固定オッズ馬券の法案を最初に提出した。そのとき自らの提案を、この1月に州全体で稼動したモバイルスポーツ賭事のプラットフォームを通じて馬券を購入できる新しくて"円滑な"方法であると述べていた。キャシー・ホークル州知事は6月初め、モバイルスポーツ賭事により2022年の最初の数ヵ月だけですでに2億6,700万ドル(約360億450万円)の税収入があり、ほかの州の数年分の徴収をはるかに上回ると語っていた。

 2022年の会期が終了するにあたり、アダボ議員は6月2日、モバイルスポーツ賭事のプラットフォームでの固定オッズ馬券発売などゲーミング関連の多くの問題について"もう少し時間をかけいくつかの点を吟味し調整することが必要だ "と述べた。

 アダボ議員は、「2022年会期は馬券を直接発売できるようにするなどモバイルスポーツ賭事の拡大に関する議論を始める期間であり、潜在的障害について耳を傾ける期間でもありました」と語った。そして2023年会期について「健全な議論が行われると思います」と述べ、「この案件が1月に発表される次期州予算案に盛り込まれることを望んでいます」と付け加えた。

 ニューヨーク州では"シェアード・ウォレット"システムが認められている。このシステムにおいて、馬券購入者はモバイルスポーツ賭事の口座にあるお金をNYRAベッツ(NYRA Bets)の事前入金型賭事プラットフォームを通じパリミュチュエル方式の馬券購入にあてることができる。ニューヨークのモバイルスポーツ賭事プログラムでは、固定オッズ賭事のみが認められている。アバド議員とプレトロー議員はこれを馬券発売にも適用する一方で、長年場内場外の発売で使われてきたパリミュチュエル方式をそのまま維持することを提案した。この法案はNYRA(ニューヨーク競馬協会)が所有する競馬場とフィンガーレイク競馬場で施行されるレースへのモバイルスポーツ賭事に適用されるはずだった。

 またこの措置により、さまざまな施設(スポーツ競技場・競馬場・アケダクト競馬場内のカジノなど)に対し人々がモバイルスポーツ賭事を行うキオスクの提供が許可されることになっていた。

 アバド議員とプレトロー議員は法案の趣旨を説明する覚書の中で、「これらの変更により、ニューヨーク州に数十億ドルもの税収がもたらされることが期待されます」と記している。

 NYRAもこの法案の支持者である。

 NYRAの広報担当副理事長であるパトリック・マッケンナ氏は6月3日(金)の午前中に次のような声明を出した。「モバイルスポーツ賭事市場で競馬のコンテンツや馬券が提供できるようになれば、ニューヨーク州の競馬は発展し、競馬産業の経済効果が深まり、新しいファンを引きつけることになるでしょう。これはニューヨーク州にとって大きな勝利となり、競馬がモバイルスポーツ賭事の利益をシェアする大きなチャンスとなるでしょう」。

By Tom Precious

(1ドル=約135円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2022年No.1「ニューヨーク州、1月8日からモバイルスポーツ賭事が開始(アメリカ)

[bloodhorse.com 2022年6月3日「Fixed-Odds Wagering Fails to Advance in New York」]


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