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2022年01月20日  - No.2 - 2

カリフォルニア州、ひきつづき予後不良事故が急減(アメリカ)[開催・運営]


 カリフォルニア競馬委員会(CHRB)の統括下の施設での予後不良事故は、2021年に71件まで減少した。これはCHRBのウェブサイトに掲載された10年間のデータにおいて一番少ない。

 2021年に予後不良事故の件数は昨年から26%減少し、2019年から約45%減少したことになる。2019年には年初にサンタアニタパーク競馬場で予後不良事故が急増し、競馬に反対するグループからの監視と激しい抗議を招いていた。その後、カリフォルニア州は "内規(house rules)"として知られる競馬場の規定によって、あるいはCHRBの規定をつうじて、数々の馬の健康・安全対策を実施してきた。

 また、薬物の制限、獣医検査と監視の強化、登録馬審査会、調教師の継続教育プログラムなどにより変化がもたらされてきた。さらに、競馬界も馬の安全性を第一に考える文化をもつようになった。

 CHRBの専務理事であるスコット・チェイニー氏はこう語った。「カリフォルニア州のすべてのステークホルダーは馬の幸福が最も重要なことであると理解していると思います。私たちの住むカリフォルニア州として、そして正しい行動のために、そうあるべきです」。

 CHRBは、レース中、調教中、そして厩舎での事故や病気で命を落とす「その他」のカテゴリーで馬の死を追跡している。これらの死因をすべてカウントする競馬統括機関はほとんどない。

 サラブレッド競走やクォーターホース競走よりも安全なスタンダードブレッド競走が盛んな州を除けば、カリフォルニア州の予後不良事故率は全米で1位と言わないまでもトップクラスにあると、チェイニー氏は述べた。また米国のほかの地域には、予後不良事故のデータを公表していない競馬統括機関や競馬場もある。

 カリフォルニア州では昨年、サラブレッド・クォーターホース・スタンダードブレッドの競走で合計3万1,500頭以上が出走して20頭が予後不良になったと、チェイニー氏は指摘した。

 CHRBのデータにおいて、レース中、調教中、「その他」の死亡数はそれぞれ最低レベルにさがっている。なお、このデータが記録されはじめた2012年の死亡数は238頭だった。

 昨年CHRBの施設において39頭が筋骨格損傷で、32頭が筋骨格損傷以外の症状で命を落としたが、12月6日に追い切り後に倒れて急死した2021年ケンタッキーダービー(G1)優勝馬メディーナスピリットは後者に含まれる。チェイニー氏は、同馬の死に関する剖検と毒物検査の結果は1ヵ月以内に報告される予定であると述べた。

 昨年ゴールデンゲートフィールズ競馬場では州最多の26件の予後不良事故が生じ、21件のサンタアニタパーク競馬場を上回った。この2場は実質的に年中調教で使用でき、在厩頭数も多く、州内のほかの競馬場よりもサラブレッド競走の開催期間が長い。

 ゴールデンゲート競馬場の予後不良事故は2020年よりも1件少なかっただけだが、ほかの競馬場ではそれよりも顕著に減少していた。同競馬場の予後不良事故の大半はレース中でなく調教中や「その他」において生じた。

 チェイニー氏はこう語った。「1月1日に発効したてのルールを踏まえれば、多少の変化がもたらされるという希望と期待をもっています。それは民間の獣医師が調教前にも検査を行うというもので、私たちにとっての新しい要件です。それゆえ、調教中の怪我にこそ本当に注意を払う必要があると考えます」。

 2007年にタペタ馬場が敷設されたゴールデンゲートは、州内に残る人工馬場を有する唯一の競馬場となっている。米国ジョッキークラブの"事故馬データベース"の長期にわたるデータをもとにすると、人工馬場はダート馬場よりも統計的に安全である。しかしダート馬場と同様に、人工馬場はメンテナンスを要し、年月とともに劣化する可能性がある。

 昨年3月4日には、競馬に反対する抗議者たちがゴールデンゲートの馬場の上に横になってレースを妨害し、第1競走が中止となり、ほかの6競走も6時間以上遅延した。抗議者たちはこの競馬場での予後不良事故の多発に抗議するためのデモだと主張していた。

 2022年は現在までにゴールデンゲートにおいて3件(レース中:2件、「その他」:1件)の予後不良事故が発生している。

 ゴールデンゲートは11月に5頭が予後不良となり、12月のCHRBの会合において批判の矢面に立たされた。CHRBの理事7人のうち3人はレビューの前にゴールデンゲートに3ヵ月の運営免許しか与えないことを希望した。しかし最終的に、同競馬場には通常の6ヵ月の運営免許が付与された。

 CHRBは1月20日に月例会議を開くが、その議題にゴールデンゲートは入っておらず、カリフォルニア州の事故防止タスクフォースを率いるカリフォルニア・サラブレッド調教師会(CTT)のアラン・ボルチ専務理事から最新情報を聞くことになっている。

 ボルチ氏は1月18日、月例会議に先立ちコメントすることを控えた。

 今後タスクフォースとCHRBが取り上げるトピックは、肩の怪我や突然死の事例を減らす方法になりそうだ。

By Byron King   

 (関連記事)海外競馬情報 2021年No.11「カリフォルニア州の調教師会、事故防止タスクフォースの設立を提案(アメリカ)

[bloodhorse.com 2022年1月18日「Equine Fatalities in California Continue Steep Decline」]


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