2022年凱旋門賞、トルカータータッソをはじめ86頭が登録(フランス)[開催・運営]
5月11日に発表された凱旋門賞(G1)の登録馬86頭の筆頭に挙げられるのは、昨年1着、3着、4着となったトルカータータッソ、ハリケーンレーン、アダイヤーである。
拡大しつつあるビックレースの勝利目録にまだ凱旋門賞を加えていないチャーリー・アップルビー調教師は、ハリケーンレーンとアダイヤーを含む6頭の管理馬を登録している。
欧州の平地シーズンのハイライトである総賞金500万ユーロ(約6億7,500万円)の凱旋門賞への出走が検討されるアップルビー厩舎所属馬には、4頭の3歳牡馬がいる。それは初期のダービートライアル競走を制したナハニ(Nahanni)とネーションズプライド(Nations Pride)と、5月初めにそれぞれリングフィールドとチェスターのダービートライアル競走で、いずれもエイダン・オブライン厩舎の所属馬に敗れたものの2着に健闘したウォークオブスターズ(Walk Of Stars)とニューロンドン(New London)だ。
マルセル・ヴァイス調教師はトルカータータッソ(牡5歳 父アドラーフルーク)をシーズン初戦となる5月29日のバーデン経済大賞(G2 2200m)に出走させようとしている。
「とても順調に仕上がってきています。冬のあいだにみるみる強くなり、見た目も素晴らしいです。調教での状態も良く、前向きにレースに取り組むことを期待しています。バーデンバーデンで初戦に挑み、独ダービー(G1)が開催される7月の第1日曜日にはハンブルクで出走させる予定です」。
トルカータータッソは昨年単勝73倍で臨んだ凱旋門賞で勝利を挙げて世界を驚かせた。今シーズンもロンシャンでの一戦を目指すが、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1 アスコット)への挑戦も検討中である。
ヴァイス調教師はこう続けた。「ハンブルクのあとにオーナーと相談して、アスコットに向かうかドイツにとどまり昨年アルピニスタの2着となったベルリン大賞(G1 ホッペガルテン)に出走するか決めるでしょう。キングジョージに登録するのは間違いありません」。
「トルカータータッソにはまずまずのスピードのレース展開が必要なので、キングジョージの顔ぶれはどのようなものになるか、またその頃の彼の調子を見極めなければなりません」。
近年、ゴドルフィンは少頭数しか登録せずに、凱旋門賞開催週に12万ユーロ(約1,620万円)を支払って有力馬を追加登録している。この戦略を完全に採用しているエイダン・オブライエン調教師は今年4頭しか登録していない。昨年の凱旋門賞の前日にはオークス優勝馬スノーフォールを追加登録した。
オブライエン厩舎からはブルーム(牡6歳)がふたたび登録された。またクラシック世代の3頭、ストーンエイジ、ポイントロンスデール、戦線離脱中のルクセンブルクも登録されている。英オークス(G1)2番人気のチューズデーが除外されていることが目を引いた。
ストーンエイジはピーター・ブラント氏(ホワイトバーチファーム)の勝負服を背負うことになる。同氏は2020年の凱旋門賞でジャン-クロード・ルジェ厩舎のソットサスが優勝したことで生涯の夢を叶えた。また同じ厩舎に所属しているエピックポエット(Epic Poet)やユカタ(Yukata)、ジョン&セイディ・ゴスデン厩舎に預けているウッドディトンS優勝馬フランチェスコクレメンテ(Francesco Clemente)など才能あふれる3歳馬を登録している。
エイダン・オブライエン調教師の息子たちにもこのレースに初めて出走馬を送り込むチャンスが存分にある。ジョセフ・オブライエン調教師はガネー賞(G1)優勝馬ステートオブレストに加え、クラシック競走の期待馬バッカルー(Buckaroo)、アバヴザカーヴ(Above The Curve)、トランキールレディ(Tranquil Lady)、ドナカ・オブライエン調教師はバリーサックスS(G3)優勝馬で英ダービーのオッズが8倍とされているピッツバディレ(Piz Badile)を登録している。
日本人の凱旋門賞制覇への意欲は衰えていない。登録された日本馬7頭の中で間違いなく筆頭に挙げられるのはプリンスオブウェールズS(G1 ロイヤルアスコット開催)の有力候補とされているドバイシーマクラシック(G1)優勝馬シャフリヤールである。同馬を管理する藤原英昭調教師はこの馬の国際的な挑戦を約束している。ドバイターフ(G1)でロードノースとデッドヒートを演じたパンサラッサは矢作芳人調教師が登録した管理馬のうちの1頭である。
By Scott Burton
(1ユーロ=約135円)
[Racing Post 2022年5月11日「Torquator Tasso nearing return and heads 86 Prix de l'Arc de Triomphe entries」]