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海外競馬ニュース
2022年05月12日  - No.16 - 2

チャーチルダウンズ社、日本に大きな可能性を見いだす(アメリカ・日本)[開催・運営]


 チャーチルダウンズ社(CDI)にとって、日本のホースマンおよび競馬ファンとの関係を構築することの魅力は追加的な売上げを生み出すだけにとどまらない。

 UAEダービー(G2)を制した日本調教馬クラウンプライドが5月7日(土)のケンタッキーダービー(G1 チャーチルダウンズ)に出走すれば日本での馬券の発売が許され、数百万ドルもの追加的な売上げがもたらされる。

 CDIは日本で400万~1,000万ドル(約5.2億~16億円)もの馬券が購入されると見込んでおり(訳注:2022年ケンタッキーダービーの日本の発売金は10億7,538万4,300円)、この個別プールでの馬券発売を歓迎している。その一方で、ケンタッキーダービーを日本の馬主やファンにとっての国際的な究極の舞台とすることにさらに大きな可能性を見いだしている。

 その取組みの一環として、ラニが2016年に日本馬としてダービー初参戦を果たした翌年の2017年に、CDIは『ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー』を立ち上げた(訳注:合計ポイント最上位の馬にケンタッキーダービーの出走権が付与される)。2019年には、このシリーズで4位となったマスターフェンサーがケンタッキーダービーに出走し(訳注:1位~3位馬は遠征回避)、6着に入った。新型コロナウイルス感染拡大により競走馬の海外遠征が2年ほど下火になったのち、2022年のダービーにはUAEダービーを制してこのレースへの出走権利を獲得したクラウンプライドが参戦する。

 4月28日(木)の投資家やアナリストとの電話会議で、CDIのCEOビル・カースタンジェン氏はダービーを世界中、とりわけ日本で印象づけることによる利益について指摘した。

 「日本や世界中において『ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー』を築きあげるために懸命に取り組んできました。CDIの今後の成長は、海外からのゲストに参加してもらうことに掛かっています。現在ではケンタッキーダービーは世界を引きつける魅力にあふれ、国際的なブランドとなっています。しかし、それは海外からのゲストにたくさん競馬に参加してもらおうという販売戦略の展開に実際つながりませんでした。私たちはそれを変えることを重要視しています」。

 「中東、すなわちドバイと、そこからケンタッキーダービーまでの過程で起こっていることを考えれば、そして日本のことを考えれば、馬を呼び込むことは焦点を当てるべきポイントになりますね。どのようにこれを活用して利益を生み出すのか?スポンサーシップ、入場者、そしてもちろん売得金や馬券売上げを通じて利益を出せればと思います」。

 カースタンジェン氏は、日本では海外競馬発売レースは限られており、クラウンプライドの参戦のおかげで今年のケンタッキーダービーがそれに含まれることは素晴らしいことだと指摘した。またマスターフェンサーが出走したときに売上げが増加したと述べながらも、チャンスはそれだけにとどまらないと強調した。

 「2億~2.5億ドル(約230億~325億円)もの発売金を誇るケンタッキーダービーデーの売得金総額と比較すると、日本から得られる利益は圧倒的なものではありませんでしたが、幸先の良いスタートとなりました。このようにすべてはまず始めてみてそれを積み重ねていくことなのです。クラウンプライドがダービーに出れば400万~1,000万ドル(約5.2~16億円)もの売上げをもたらす効果があると思います。そして毎年このような状況が安定的に続けば、時間とともに著しく増加するでしょう」。

 「しかし何よりも強調したいポイントは、これがパズルの1ピースであるということです。日本で馬券を発売してもらいたいと思いますが、最終的には日本の顧客層とのつながりを築くことを望んでいます。それによりスポンサーシップを促進し、将来的には来場を促進することができるでしょう。電話会議でこのようなことを話すのは少し時期尚早かもしれませんが、国際戦略の一環として時間をかけて実を結ばせたいと考えています。なぜならケンタッキーダービーというブランドがあるからです。あとは海外でそのブランドに伴う経済的な成果を得るためのプロセスと関係の構築を図るだけです」。

 カースタンジェン氏は、近年チャーチルダウンズ競馬場の施設をアップグレードする動機の大きな部分を占めているのは、海外からの訪問者の期待に応えることであるという。現在、3年間の大規模な改修計画が進行中である。

 「日本やほかの国から来る顧客にありきたりな経験をしてもらうわけにはいきません。唯一無二の経験をするためにいらしているわけですから。そのために必要なのはこれなのです」。

By Frank Angst

(1ドル=約130円)

[bloodhorse.com 2022年5月3日「Churchill Downs Inc. Sees Plenty of Potential in Japan」]

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