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海外競馬ニュース
2022年04月21日  - No.15 - 1

賭事法見直しは競馬界にとって眉間に撃ち込まれる銃弾か(イギリス)[開催・運営]


 リーディングに4回輝いたジョン・ゴスデン調教師は、政府が進める賭事法見直しは英国競馬界にとって"眉間に撃ち込まれる銃弾"になる恐れがあると注意喚起した。彼は、英国競馬界はすでに乏しい出走頭数に悩まされており、"世界の他の地域のための保育所"に成り下がっていると発言している。

 ゴスデン調教師がこのような意見を述べたのは、2005年賭事法の見直しの完了が間近に迫り、政府に対して運動家が要求するいくつかの変更に対する懸念が沸き起こる最中においてである。その変更には、月100ポンド(約1万6,500円)以上を失う賭事客への経済力チェック(affordability check)が含まれており、その導入は競馬界の年間賦課金収入にかなりの悪影響を及ぼすであろう。

 財務モデル分析によると、政府の賭事法見直しに伴う経済力チェックや広告・スポンサーシップに関する厳重な措置は、英国競馬界に年間1億ポンド(約165億円)以上の損害を与える可能性があるという。

 UKトート社と香港ジョッキークラブ(HKJC)が共同で実施する今年のワールドプールの発表会で、ゴスデン調教師は賭事収入の国際化がなければ英国競馬界は"枯れてく"危険性があると述べた。

 そして、新たな才能を海外に売り渡すのではなく自国にとどめておくように馬主に働きかけなければ、英国は保育所の地位に追いやられることになるとゴスデン調教師は語った。「英国競馬界の問題は、今や世界の他の地域に行く馬のための保育所になっているということです。レーティング95以上の馬は、ロイヤルアスコット開催の直後に落札されるかいなくなってしまいます。翌年にもうそこにいないのです」。

 「だから出走頭数の話をするのは正しいのです。プリンスオブウェールズS(G1)の出走頭数は平均で6~7頭ですが、どうやって層の厚さを出せば良いのでしょうか?そういう問題があります。しかし国際化しないことには、どうにもならないでしょう」。

 ゴスデン調教師は賭事に個人的な興味はないものの、今後数週間のうちに発表される政府の公式報告書では、デジタル・メディア・文化・スポーツ省の担当者に競馬の財政の健全性をまず念頭に置いてもらう必要があると強調した。

 そして、英国最大の競馬祭典の馬券が世界中で購入され英国競馬界が収益を上げていくことは、高額賞金を提供する競馬国への優秀な才能の流出を防ぐ方程式が成り立つための不可欠の要素であると述べた。

 ゴスデン調教師はこう続けた。「賭事法見直しについての政府の公式報告書が、眉間に撃ち込まれる銃弾のように迫ってきています。私は賭事に興味がありません。しかし賭事がなければ、私たちは存在しないのです」。

 「私たちは狭量になっていて自己満足してしまっています。そして英国の最高級の馬を海外に売ったり移籍させたりするのではなく賭事産業を国際化しない限り、私たちはただ枯れていくでしょう」。

 2021年にワールドプールを共同で実施したことで、英国とアイルランドの競馬界はいくつかの最高峰の競馬祭典で賭けられた3億6,300万ポンド(約598億9,500万円)からの分け前の恩恵を受けた。

 同じくニューマーケットに厩舎を構えるウィリアム・ハガス調教師は、英オークス(G1 エプソム)開催日を含むことになったワールドプールを支持することは競馬界にとって"不可欠"だと語った。

 「英国競馬が下落しつつあることは間違いありませんね。晩期を迎えつつある調教師生活においてワールドプールよりもエキサイティングなことが起こるとは思えませんし、これを支持することは不可欠だと思います」。

 「誰もが国際的な視野をもたなければなりません。管理馬を豪州に遠征させると大きな感動を生むことが分かりました。豪州に遠征させたアデイブ(豪州でG1・3勝)がこちらで英チャンピオンS(G1 アスコット)で優勝したとき、豪州の人々から、"彼は私たちの馬だ"というメッセージをたくさんもらいました」。

 「そのようなことが起こり得るのです。ワールドプールは絶対的に素晴らしいものになるでしょうし、そこに多くのお金が賭けられれば賭けられるほど、誰もが恩恵を受けることになるのです」。

 ハガス調教師は討論会に招かれ、UKトート社とHKJCの提携の詳細について議論した。この契約が締結されてから4回目の英国平地シーズンを迎えることとなり、ワールドプールは2022年に対象競走を増やすだけでなく馬単と3重勝のプール賭事を追加する予定である。

 さらに、各開催日の「ワールドプール・モーメント・オブ・ザ・デー(World Pool Moment of the Day)」に指名された馬を手掛ける厩舎スタッフに5万ポンド(約825万円)相当の賞金が贈られる予定。

 UKトート社のジョン・ウィリアムソン会長は、ワールドプールが実施される開催日を支持するハガス調教師の呼びかけを繰り返した。「より多くの馬主と調教師の方々がワールドプールの対象競走をサポートしてくれることを願っています。7頭立て以上の健全なレースを提供することで、各開催日において競馬ファンに向けて一連の馬券を発売でき、これらの開催日からの収益が増加することは間違いないでしょう」。

 HKJCのCEOであるウィンフリート・エンゲルブレヒト⁼ブレスゲス氏はこう語った。「2007年以来、国際共同賭事プールを提唱してきました。このプール賭事の重要なイノベーションに対する賭事客や競馬国からの肯定的な反応は関係者全員にとって有益であり、結果として英国競馬やアイルランド競馬、そして主要競馬開催の露出度を高めることになりました」。

By Scott Burton

(1ポンド=約165円)

[Racing Post 2022年4月12日「Gambling review may be 'bullet between the eyes' for racing, warns John Gosden」]

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