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2022年04月14日  - No.14 - 2

EU加盟各国による馬産業のVAT税率の独自設定が可能に(欧州)[開催・運営]


 およそ10年にわたる働きかけが4月初旬に実を結んだ。欧州連合(EU)加盟27ヵ国の財務相すべてが、各国独自の付加価値税(VAT)の税率設定を認める経済活動リストに、競馬・生産・その他の馬産業を含めるということで合意したのだ。

 欧州の競馬や馬術が盛んな国々の多くは過去に、馬産業のさまざまな活動に対して農業向けに定められた低いVAT税率を課してきた。

 しかしEU全域での税率の統一を目指した2006年の指令に対する違反としてEUが罰金を課すようになったため、フランスやドイツなどの国々はそのような優遇措置を中止せざるを得なくなった。それゆえフランスでは2013年に、セリのような活動や預託料などに課されるVAT税率が12.5%引き上げられることとなった。

 当時は費用増加により現役競走馬が1,500頭減少するという不吉な警告があった。そのため、馬主、とりわけVAT未登録の小規模事業者に対する経済的打撃を和らげるために、フランスギャロ(France Galop)は相当な努力を行った。

 この指令の変更を実現するためには、競馬や馬術が盛んな国々の幅広い協力が必要だった。フランスでは競馬・速歩競走・馬術・レジャー乗馬などの分野の連携によりその働きかけが行われた。

 その統括組織、馬産業ガヴァナンス(Gouvernance Filière Cheval)を率いるのはロイック・マリヴェ氏である。同氏はフランス生産者連盟(Fédération des éleveurs)の会長とフランスギャロの副会長を務める。

 「長い闘いでした。フランスがEUから最初に制裁を受けたとき、VATの税率は5.5%だったのです。そのあと活動の種類により税率は10%や20%に引き上げられ、そして現在の水準になりました」。

 「税率の統一が始まったとき、生産者連盟はフランス政府の官僚やさらに大臣との会合を持つようになりました」。

 「何年ものあいだ、彼らのブリュッセル(EU本部)での尽力は水の泡となっていました。国レベルで進展があったかと思うたびに、その尽力はEUからさらに制裁を科されるという恐怖にぶつかりました」。

 マリヴェ氏はこう続けた。「最終的には影響を受ける国々が一丸となって取り組まなければなりませんでした。なぜなら、新しい指令は27ヵ国の財務相全員によって採択される必要があったからです」。

 「私たちはここ数年、アイルランドやドイツの同業者と緊密に協力してきました。それで、この新しい指令の採択に漕ぎつけたのです。次は各国の政府が競馬・馬術部門全体で独自の税率を設定する番です」。

By Scott Burton

 (関連記事)海外競馬情報 2013年No.2「付加価値税引き上げで競馬関係者に及ぶ影響(フランス)

[Racing Post 2022年4月6日「EU finance ministers grant states freedom over VAT rates for horse industries」]


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