ロードノースとパンサラッサ、接戦の末にドバイターフ同着優勝(ドバイ)[その他]
ドバイターフ (G1 芝1800m)
ロードノースとパンサラッサには1ピクセルの差もなかった。裁決委員が写真を凝視して延々と悩んだ末に、ドバイターフ(G1)の勝利は分け合うこととされた。
ジョン&セイディ・ゴスデン親子が管理するロードノースは昨年このレースで3馬身差の楽勝を収めたが、今年は全力で戦わなければならなかった。フランキー・デットーリ騎手を背に単勝4.5倍のこの馬は終盤で追い上げていき、最後の直線で長らく先頭に立っていたパンサラッサにゴール手前で並びかけたところ、ヴァンドギャルドがこの2頭に襲い掛かってきたのだ。
5分ほどで優勝候補が2頭に絞られ、さらに5分ほどでロードノースと先行馬パンサラッサ(矢作芳人厩舎)の同着が発表され、2頭の関係者は1着賞金290万ドル(約3億4,800万円)と2着賞金100万ドル(約1億2,000万円)を半分ずつ分け合うことになった。
ロードノースは喉の感染症でほぼ1年戦線離脱していた。復帰戦となったリングフィールド競馬場のウィンターダービー(G3)で2着に入りとても勇気づけられる結果を残したのち、メイダン競馬場に最高の状態で戻ってきた。
ジョン・ゴスデン調教師はこう語った。「とてもフェアな結果です。ロードノースは日本馬に挟まれてしまいました。日本馬はとてもタフです。サウジでは6レースで私たちに先着し、ここに来て現時点で4勝を挙げています」。
「ロードノースのパフォーマンスには感激しています。しつこい喉の感染症のせいで1年間休んでいましたが、何とか間に合わせることができました。プレップレースとしてウィンターダービーに出走させたのですが、頑張ってくれて感激しました」。
共同で調教を行う息子のセイディ氏は、ロードノースがプリンスオブウェールズS(G1 ロイヤルアスコット開催)のタイトル奪還に挑む計画はあるのかと尋ねられ、「おそらくそこを目標とするでしょうね。前にも勝ったレースですから。今回のレースから順調に回復すると思います」と答えた。
ドバイゴールドカップ(G2)をステイフーリッシュで、ゴドルフィンマイル(G2)をバスラットレオンで制した矢作調教師はこの夜の3勝目を分け合ったが、成長著しいパンサラッサ(牡5歳)にとってもそれは妙案だと考え、「ロードノースがプリンスオブウェールズに行くのなら、私も行きたいですね」と述べた。
そしてこう続けた。「パンサラッサはいつも先頭に立って勝負するので、もっと早くからスピードを上げると思っていたのですが、最後までパワーをセーブしていましたね。今日は本当に運が良いので負ける気がしませんでした」。
「こんなに乾いた馬場は初めてでした。これまで重馬場を得意としてきたので、欧州に遠征させることは真っ先に議論されるべきですね」。
ドバイシーマクラシック (G1 芝2410m)
シャフリヤールがドバイシーマクラシック(G1)で日本勢にとっての5勝目を挙げたことで、日本調教馬にとって素晴らしい夜となった。しかし、ユビアーやパイルドライヴァーの関係者にとって幸運は潰えていた。
日本調教馬のオーソリティがレースのペースを作り、パイルドライヴァーはその後ろを追走し、ユビアーは最後方に控えていた。
馬群が残り2ハロンの地点に差し掛かったとき、パイルドライヴァーとデットーリ騎手の前に道が開けるかと思いきや、オーソリティとシャフリヤールが壁となり、大事なところで勢いを失ってしまった。
そのとき、ユビアーはペースが速くなる中で外からどんどん差を詰めていったが、決勝線はすぐそこに来ていた。
クリスチャン・デムーロ騎手とコンビを組んだシャフリヤール(藤原英昭厩舎)は勝利をしっかりとつかみ取り、2着にユビアー、3着にオーソリティ、4着にパイルドライヴァーが入った。
チャーリー・アップルビー調教師は、ウィリアム・ビュイック騎手がBCターフ(G1)でうまく成果をあげた急襲作戦を繰り返すことに、何の問題も感じていなかった。
アップルビー調教師はこう語った。「目にしたように、ユビアーの脚質が不運な結果を招いたようですが、彼はこのレースから何かを学んだようです。そのうち、もう少しこの馬に向いたレースができるようになれば良いのですが。しかしウィリアムが言ったように、日本ダービーの優勝馬が10馬身も先行してしまうとそう楽ではありません」。
「それでも彼がゴールを駆け抜ける姿を見て能力を感じました。おそらく5月のマンノウォーS(G1)のためにベルモント競馬場に向かいます」。
ウィリアム・ミュア調教師は最後の1ハロンを見ながらイライラしていた。パイルドライヴァーは盛り返してきたものの1馬身差で敗れた。コロネーションカップ(G1)のタイトル防衛に挑むか、それともシーズン後半に備えるかについて、現在決断を迫られている。
同調教師は、「フランキーは"割って入ることができれば勝っていた"と言いました。フランキーは馬のストライドを崩して勢いを止めて外側に出ざるを得ませんでした。それに、"もう少し先行勢を攻めて行けばよかった"とも言っていましたね」と述べた。
藤原調教師がシャフリヤールにどのような期待を寄せているかについて、いずれの調教師も興味のあるところだ。シャフリヤールはまだ7戦しかしていない4歳馬で、ジャパンカップ(G1)で3着となっている。
藤原調教師は、「日本ダービーを制したディープインパクト産駒ですから、国際的なビッグレースを狙いたいですね。ブリーダーズカップ、凱旋門賞(G1)、ジャパンカップが候補にあがっていて、そのうちの1つか2つを目指したいですね」と語った。
By Tom Peacock and Scott Burton in Dubai
(1ドル=約120円)
[Racing Post 2022年3月26日「Dead-heat drama as Lord North and Panthalassa share Dubai Turf spoils」]