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2022年03月24日  - No.11 - 4

アーリントンミリオンデー、今夏はチャーチルダウンズ競馬場で開催(アメリカ)[開催・運営]


 今年、アーリントンパーク競馬場ではレースが施行されない。競馬場オーナーのチャーチルダウンズ社(CDI)が昨秋、NFLのシカゴベアーズとこの競馬場の売買契約を結んだためである。しかし、その最も重要なステークス競走は舞台を移して開催される。

 CDIは3月15日の春開催ステークス競走日程の発表時に、8月13日にチャーチルダウンズ競馬場(ケンタッキー州ルイビル)で1日限りのアーリントンミリオンデープログラムを実施すると述べた。それはエリスパーク競馬場、ケンタッキー州競馬委員会(KHRC)、ケンタッキー州のホースマンの協力のもと施行される。

 8月13日の開催日程は通常、エリスパーク競馬場に割り当てられている。エリスパーク競馬場はチャーチルダウンズ競馬場の春開催(4月30日~7月4日)終了後に、夏開催を運営している。

 アーリントンミリオンデーのレースは、チャーチルダウンズ競馬場の改修された芝コース(今春導入)で施行される。改修前のコースは、涼しくじめじめした天候の秋開催で問題が生じることがあった。

 全体として、チャーチルダウンズ競馬場はアーリントンで施行されていた9つのステークス競走を開催する。うち5レースは春開催で、以下の4レースはアーリントンミリオンデー(8月13日)で施行される。

・ アーリントンミリオン[芝G1 総賞金100万ドル]

・ ビヴァリーDステークス[芝G1 総賞金50万ドル]

・ セクレタリアトステークス[芝G2 総賞金30万ドル]

・ パッカーアップステークス[芝G3 総賞金20万ドル]

 アーリントン競馬場は昨年、これらのレースのほとんどを賞金引下げのうえ施行し、2レースについては改名していた。アーリントンミリオンは総賞金60万ドルのミスターDステークス、セクレタリアトステークスは総賞金30万ドルのブルースDステークスとされた。

 ミスターDステークスは、長年アーリントンを所有したリチャード・ダチョソワ氏に敬意を表したものである。同氏は2000年にアーリントンをCDIに売却し、今年100歳で他界した。

 ブルースDステークスは、ダチョソワ氏の子息で2014年に亡くなったブルース・ダチョソワ氏にちなんで名付けられた。

 今年のアーリントンミリオンとビヴァリーDステークスの競走距離はいずれも、広々としたアーリントンの芝コースで施行されていたときよりも短い1⅛マイル(約1800m)とされる。以前、アーリントンミリオンは1¼マイル(約2000m)、ビヴァリーDステークスは1&3/16マイル(約1900m)で施行されていた。

 アーリントンミリオンは総賞金100万ドルを提供した最初のサラブレッド競走である。1981年に当時のアーリントンパークの社長、ジョー・ジョイス氏により創設されたこのレースは、北米や海外の数々の最強馬を集めてステークス競走日程には欠かせないレースとなった。

 1985年のアーリントンミリオンは、火災で焼失したグランドスタンドの傍らで開催されたことで有名である。その後再建されたアーリントンのグランドスタンドは、米国でも有数の施設に生まれ変わった。

 アーリントンミリオンがイリノイ州以外で開催されるのは今回が初めてではない。1985年の火災後にアーリントンが再建中だったことで、1988年の同レースはカナダのウッドバインで開催された。

 またダチョソワ氏がアーリントン競馬場を閉鎖していた1998年と1999年には、アーリントンミリオンは施行されていない。

 イリノイ州サラブレッドホースマン協会(ITHA)のクリス・ブロック理事長は、今回の発表によりCDIがアーリントンからの撤退を決めたことに対するメンバーの失望がさらに深まっていると述べた。

 「競馬場が永久に閉鎖されることが日に日に確実になっていくようで、とても失望しています。ステークス競走がチャーチルダウンズに移ることも、その表れだと考えます。しかし、ほかの誰かが競馬場を買収したとしても、レースが引続きそこで開催されるかどうか分かりません。当然と言えば当然ですね。競馬場は終焉に向かっているのですから」。

 「今やりたいことは、ケンタッキー州に馬を連れて行ってチャーチルダウンズで行われるアーリントンミリオンを制覇することですね」。

 ニューヨークを拠点とするチャド・ブラウン調教師は、管理馬を遠征させてアーリントンミリオンを4勝している。彼はテキストメッセージに「それらのレースが存続するのは素晴らしいことです。しかしアーリントンの芝コースに匹敵するものはないでしょうね」と記した。

 ビヴァリーDステークスも6勝しているブラウン調教師は、この春チャーチルダウンズに管理馬24頭を滞在させる予定だという。2021年の9月開催と秋開催には、チャーチルダウンズに管理馬を在厩させていなかった。芝コース改修中のため、ダート競走しか施行していなかったからだ。

 ほかにチャーチルダウンズの春開催で施行される旧アーリントン・レースは以下のとおりである。

・ モデスティS(芝G3 総賞金25万ドル)

・ アーリントンS(芝G3 総賞金20万ドル)

・ シカゴS(ダートG3 総賞金20万ドル)

・ アメリカンダービー(ダートG3 総賞金20万ドル)

・ 阪神S(総賞金17.5万ドル JRAとの交換競走)

 国際色豊かなアーリントンミリオンデーの芝レースの趣きは、チャーチルダウンズにとって少々新しい挑戦となるだろう。NYRA(ニューヨーク競馬協会)などは芝のプログラムを構築かつプロモートし欧州の有力馬を引きつけている一方で、チャーチルダウンズはケンタッキーダービーにはっきりと重点を置いている。

 世界中の競馬場の国際競走を促進するIRB(国際競馬事務局)のエイドリアン・ボーモント氏が本誌に語ったところによれば、欧州の調教師たちはすでに、英国・ニューマーケットにあるIRBにコンタクトを取っているという。アーリントンミリオンと付随レースに世界中の馬を引きつけるために、IRBはアーリントンとともに取り組んできた。

 ボーモント氏は「しばしば、海外からの遠征馬が出走頭数の半分を占めてきました」と述べた。

 現在、チャーチルダウンズの厩舎地区には検疫厩舎がある。これは国際的な馬輸送を容易にし、海外からの出走馬を増やすために設置された。

 ホーソン競馬場の広報担当理事であるジム・ミラー氏は、CDIはレースをチャーチルダウンズに割り振る前に、シカゴ地域に唯一残る競馬場であるホーソンに連絡してこなかったと述べた。しかし、ホーソンがアーリントンのステークス競走を引き継ぐことができるとは"全く考えていなかった"という。

 「競馬産業にとってアーリントンパークのステークス競走の多くはとても大きな重要性をもちます。ホーソンでそれらのレースを引き継ぐことにはなりませんでしたが、どの競馬場で施行されるにしても存続することを望んでいます。ありがたいことにホーソンについて言えば130年もの競馬の歴史もあり輝かしい未来が待っています。かつての素晴らしいステークスプログラムが復活して発展していくのが待ち遠しいです」。

 アーリントンから移されるレースは、チャーチルダウンズで従来から施行されるレースに加わる。春から夏にかけて過去最多のステークス競走53レースが施行され、総金総額2,037万ドル(約24億4,440万円)が提供される予定。この競馬場を象徴するレース、総賞金300万ドルのケンタッキーダービー(G1)は5月7日に開催される。

By Bob Kieckhefer and Byron King

(1ドル=約120円)

[bloodhorse.com 2022年3月16日「Arlington Million Moves This Summer to Churchill Downs」]

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