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2022年03月24日  - No.11 - 1

ライフイズグッドはドバイワールドカップを勝つ準備ができているか?(ドバイ)[その他]


 ドバイワールドカップ(G1)が最初に構想されたとき、主催者側は1996年の第1回目のトロフィーを奪取する馬として、シガーほどの象徴的な馬を想像できなかっただろう。シガーはレースキャリアの終盤には、"アメリカの馬"と称されるほどになっていた。

 この26年のあいだにドバイワールドカップはさまざまな変化を遂げ、一方シガーを送り出した米国競馬産業では、時おり起こる一般の人々も巻き込んだ「その在り方」についての議論が行われている。

 米国競馬産業はパンデミックの最初の年にテレビで大々的に取り上げられ、騒動の真っただ中にあった。それは、耳目を集めたFBIによるドーピング捜査や、ケンタッキーダービー(G1)優勝馬メディーナスピリットの陽性反応と失格処分に伴うボブ・バファート調教師の一連の訴訟などのせいである。

 今年の米国からの有力出走馬ライフイズグッドは以前、バファート調教師の管理馬だった。しかし共同馬主のウィンスターファームとチャイナホースクラブは、ダービー路線離脱を余儀なくさせた球節の小骨片から回復した同馬をトッド・プレッチャー厩舎(ニューヨーク)に移籍させた。

 ライフイズグッドはBCダートマイル(G1 約1600m)やペガサスワールドカップ(G1 約1800m)など、ドバイワールドカップの1¼マイル(約2000m)よりも短い競走距離で華麗な先行逃げ切りのパフォーマンスを見せてきた。

 3月22日(火)の朝、ウォレンプレイス調教場(故サー・ヘンリー・セシル調教師の拠点)で経験を積んだアメリア・グリーン調教助手を背に、ライフイズグッドはダートの本馬場をキャンターで走っていた。ホームストレッチの出口に陣取ったカメラマンたちを見渡しながら、26日(土)により長距離で手綱を開放されるその瞬間に向け準備は整ったという様子だった。

 ウィンスターファームのCEOエリオット・ウォルデン氏は、ライフイズグッドが調教をこなすのを見てからこう語った。

 「ここに来るのはとてつもない課題です。この馬は国際輸送と4¼マイル(約2000m)の競走を初めて経験します」。

 「しかしこれまでの進化ぶりに満足しています。ブリーダーズカップでマイル(約1600m)、ペガサスワールドカップで1⅛マイル(約1800m)を走ったのが良かったと思います。当日に現れてやるべきことをやり、普段どおりに走ってくれれば、世界最高レベルの舞台にふさわしいパフォーマンスをするでしょう」。

 プレッチャー調教師はドバイワールドカップを重要視し続けており、「ぜひとも勝ちたいレースです。まだ実現できていませんが、ずっと目標に掲げているレースです」と述べた。

 また、ライフイズグッドがその爆発的なランニングスタイルにもかかわらず1ハロン延長に対応できることに、この上ない自信をもっている。

 「10ハロン(約2000m)を走るのは初めてで、まだレースで見せていないのはその距離への適性だけですね。これまで見せてきたあらゆる兆候から問題はないはずですが、本番が行われる夜にその答えを出さなければなりません」。

 ウィンスターファームはカントリーグラマーの共同馬主でもある。この馬は依然としてバファート厩舎に所属しており、バファート氏の長年の助手、ジミー・バーンズ氏が調教を監督している。しかしカントリーグラマーとそのほかの米国馬ホットロッドチャーリーとミッドナイトバーボンには敬意を表すが、米国の旗手となるのはライフイズグッドだ。この4歳馬は11月のブリーダーズカップに向けて、まっとうな理由でふたたび米国競馬産業に脚光を当ててくれる可能性を持っている。

 ウォルデン氏は、「いつも国を代表したいと思っています。ブリーダーズカップに参加したいのも同じ理由からです。世界最高クラスのレースだからです。ここにいるだけでもワクワクしますね」と語った。

 ウィンスターファームとチャイナホースクラブ(CHC)は1歳だったライフイズグッド(父イントゥミスチーフ)を共同で購買した。CHCのエデン・ハリントン副会長はライフイズグッドがオーナーグループであるCHCにとっていかに重要であるかということを信じて疑わない。

 ライフイズグッドがアジアでどれほど注目を集めるかについて尋ねられ、ハリントン氏はこう述べた。「競走馬にかぎらず、さまざまな場所で首尾よく競って結果を出し、他を凌駕するアスリートにはその可能性があります。そしてそれはライフイズグッドの評価を競馬の枠を超えたものにするでしょう」。

 「そのように言えるのは、ジャスティファイで経験したからです。ライフイズグッドはその方向に進んでいます。それを実現しなければなりません。ジャスティファイはやってのけたのですから。しかし、ライフイズグッドの実力にはたしかにはかり知れないものがあります」。

 CHCの代表テオ・アー・キン氏は12年前、デザートスター社(Desert Star Holdings)を通じてメイダンプロジェクトの実現に貢献した。ハリントン氏はCHCとデザートスター社が"姉妹会社"であることを明らかにしている。

 ハリントン氏はこう語った。「原点に戻って、この競馬場が建設された目的のレースにCHCとして参加できるのは期待以上のことです。そのためにここに来たのです」。

 ライフイズグッドは3月26日(土)の夜、世界にその才能を見せつけるチャンスに与えられている。そしてこれまで見てきた理由から、それは壮大な賭けとなる。

By Scott Burton in Dubai

[Racing Post 2022年3月22日「The new Cigar: is Life Is Good ready to become America's (and China's) horse?」]

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