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海外競馬ニュース
2022年03月17日  - No.10 - 2

ニューマーケットのオールウェザーコース構想が再浮上(イギリス)[開催・運営]


 ジョッキークラブはニューマーケットに照明付きのオールウェザーコースを敷設する構想を復活させた。3月中に地元住民たちに対し、スターターヤード(新規開業調教師のための厩舎)や調教設備、そして住宅地開発や公園を含む構想についての初期見解を求めることを予定している。

 以前ケンプトン競馬場の閉場計画の一環として、ニューマーケットにオールウェザーコースを敷設する具体的な案が発表されたが、その閉場計画が棚上げされ5年の歳月が経過していた。このたびジョッキークラブは、英国の全競走馬のうち40%がいるこの街に、冬場の活動拠点をつくりだす新たな選択肢を提案したのだ。

 ジョッキークラブは、まだ何も決定していないということを一同に強調している。所有競馬場の中でオールウェザーコースがあるのはケンプトンだけだとして、開催日程がどのように割り当てられるかを依然として検討しているくらいである。またオールウェザーコースの敷設には少なくとも5年掛かると思われるが、明確な費用もしくは工事日程は何も決まっていないようだ。

 ニューマーケットの調教師たちからの最初の反応は案の定、好意的なものだった。しかし、英国が出走頭数の減少のために厳しいプレッシャーを受けている今、オールウェザーコースの導入をそもそも考えることについての見識を尋ねられることは間違いない。また、ケンプトンと同様にニューマーケットから多くの出走馬を集めている近くのチェルムスフォード競馬場の関係者も懸念をもってこのニュースを受けとめるだろう。

 2017年の青写真では、オールウェザーコースは "ザ・リンクス"の敷地に設置される予定だった。しかし最新の構想では、"レースコースサイド"に隣接するニューマーケット競馬場のローリーマイルコースの裏手に照明を備えた従来の右回りの楕円形コースが建設されることになっている。

 ジョッキークラブは、3月28日~30日に実施予定の公開協議で、オールウェザーコースと同時に開発される調教施設や公園に加え、映画館の建設についても提案する。

 映画館は地元住民の支持を得られると思われるが、"レースコースサイド"に新しい住宅が建設される可能性についてジョッキークラブは反対を受けるかもしれない。ジョッキークラブ自体が、ダービー卿のハッチフィールド開発計画(訳注:2009年に持ち上がったニューマーケットの調教センターの近くに新築住宅1200軒を建設するという計画)に絶えず反対してきた多くの競馬団体の1つだったのだ。

 ジョッキークラブ競馬場社(JCR)の東部担当理事であるエイミー・スターキー氏はこう語った。「ウェストサフォーク郡は、今後20年間のニューマーケットのビジョンと地域計画を検討しています。地域社会と競馬産業の関係者として、今後20年間においてニューマーケットと英国競馬産業が繁栄するように、私たちは役割を果たす必要があると認識しています」。

 「それゆえ地元の人々や競馬産業に幅広く利益をもたらすような、将来に向けた初期アイデアをいくつか検討しています。そしてそれらを共有し、早い段階で人々の意見を聞いて、もっと詳しく探るメリットがあるかどうかを判断したいのです」。

 「これらは将来のサステナビリティのためのアイデアに過ぎず、実現に向けたスケジュール・提案・計画がないとはっきりさせておくことが重要です。ニューマーケットで直接に、あるいはオンラインで、誰もが意見を述べる機会があるでしょう。ニューマーケットの人々や競馬界の人々とより広く、オープンで建設的な議論をすることを楽しみにしています」。

 ニューマーケットの調教師の中でいち早く支持を表明したのはマーティン・スミス氏である。「ニューマーケットのオールウェザーコース敷設計画はずっと延び延びになってきました。個人的には調教で使えるようになれば、思いがけない贈り物になるだろうと思っています。ニューマーケットには何百本ものギャロップ走路がありますが、オールウェザーはありません。移動しなくてもよくなって、明らかに大きな特典になるでしょうね」。

 リチャード・スペンサー調教師はこう語った。「ニューマーケットにオールウェザーコースを敷設するのは素晴らしいアイデアです。午後9時のレースのためにウォルヴァーハンプトン競馬場まで苦労して出かけ、昼夜関係なくこちらに戻ってくるようなことをしなくてもよくなりますね。その新しいコースで調教もできれば最高ですね。将来が楽しみです」。

By Lee Mottershead and David Milnes

 (関連記事)海外競馬ニュース 2017年No.4「ケンプトン競馬場閉鎖計画へ高まる反対の声(イギリス)

[Racing Post 2022年3月13日「Jockey Club brings back idea for Newmarket all-weather track in new consultation」]


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