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海外競馬ニュース
2021年12月09日  - No.46 - 4

メディーナスピリット、追い切り後に急死(アメリカ)[その他]


 ケンタッキーダービー(G1)優勝馬メディーナスピリットは12月6日にサンタアニタパーク競馬場で追い切りのあとに急死したと、カリフォルニア州競馬委員会(CHRB)の馬医療担当理事ジェフ・ブレア氏と競馬場オーナーであるストロナックグループ(TSG)の最高獣医責任者のディオンヌ・ベンソン氏は述べた。

 ブレア氏はメディーナスピリットの死を突然死だと言い表した。そしてその事故をとらえたビデオを見て、"心臓発作の典型的な例"のように見えたと述べた。12月6日にサンタアニタ競馬場でメディーナスピリット(牡3歳 父プロトニコ)が5ハロン(約1000m)を1分1秒⅖という好タイムで走り終えた直後に事故は起こった。メディーナスピリットはアムル・ゼダン氏のゼダンレーシングステーブルスにより所有され、ボブ・バファート調教師により管理されていた。

 ベンソン氏は本誌(ブラッドホース誌)に対し、「原因は分かりませんし、解剖しても分からない場合もあります」と語った。

 ブレア氏はCHRBは死因を特定するための剖検プログラムを実施していると述べたが、このような突然死の原因は時おり特定がむずかしく、さらに調査しても約半数は謎のままであると認めた。ブレア氏は事故のビデオを見て、メディーナスピリットは追い切りを終えて止まり、乗り手が下馬するとコース上に横倒れたと語った。

 CHRBは馬が死んだ場合の典型的な措置として、血液・毛根・尿・組織などの検体を採取しており、それらの検体は検査のためにカリフォルニア大学デイヴィス校の研究所に送られる。サンタアニタ競馬場の声明によると、上級獣医師のローリー・ボハノン博士が率いるサンタアニタの獣医師チームにより検体は直ちに採取されCHRBに送られた。今後はカリフォルニア州のプロトコルに従い、死因を特定するために総合的な剖検も行われる。

 サンタアニタの声明によると、CHRBは死因の究明の一環として剖検と毒物検査の結果を公表するという。

 ブレア氏はこう語った。「突然死はたいへん奥が深いため、通常の剖検よりも時間がかかります。具体的な日数は言えませんが、剖検に60日以上かかる死亡例がいくつかありました。とくに休暇中はそうなのですが、鑑識や毒物検査の進行状況によりますね。日程を予測するのは難しいのです」。

 レース中や調教中の死はめずらしいケースです。中でも"突然死"は、深刻な脚の怪我に伴う予後不良よりも稀です。2020年1月1日以降CHRBが死因を特定したカリフォルニア州におけるサラブレッドおよびクォーターホースのレース中の馬の死亡例のうち、13%が突然死だった。

 死因究明に向けて取り組まれる一方で、競馬界はケンタッキーダービーの競走後検査で陽性反応が出たことでも話題となった傑出馬を失った。

 バファート氏の声明にはこう記されている。「メディーナスピリットが本日サンタアニタでの追い切り後に心臓発作で命を落としたことを報告するのは大変悲しいことです。厩舎全体がこの一報に打ちのめされています。彼は偉大なチャンピオンであり、誰からも愛された家族の一員でした。その死を深く悼んでいます。メディーナスピリットとその素晴らしいスピリット(精神)に関する誇り高く私的な思い出を、いつまでも大切にしていきます。アムル・ゼダン氏とゼダンレーシングステーブルスの皆様に心からお悔やみ申し上げます。この困難な時期を乗り越えるにあたり心よりお祈りいたします」。

 メディーナスピリットは5月1日のケンタッキーダービー(チャーチルダウンズ)で優勝したが、競走後検査でベタメタゾンの陽性反応を示したことでその勝利は疑問視されている。バファート氏とゼダン氏の弁護士たちは、陽性反応はコルチコステロイドを注射したのではなく軟膏を塗った結果であったと主張している。彼らは12月3日に、ニューヨークで行われた検体のさらなる検査によりその主張を裏付ける証拠が提示されると述べており、それにより無罪が証明されるか、罪が軽減されると考えている。

 ケンタッキー州の裁決委員はまだ審問を行っていない。

 メディーナスピリットはこのような論争が起こっている中で好走を続けていた。直近では、11月6日のBCクラシック(G1 デルマー)で2着に入った。このブリーダーズカップでの健闘以外でも、メディーナスピリットは秋にオーサムアゲインS(G1 サンタアニタ)、夏にシェアードビリーフS(L デルマー)をそれぞれ制していた。またプリークネスS(G1)では3着となっている。

 バファート氏は、メディーナスピリットは夏から秋にかけて調子を上げていったと述べ、オーサムアゲインSの後にはこう語っている。「彼のことをとても誇りに思っています。1年のなかでもちょうど3歳馬が古馬に追いつく時期です。ゼダン氏のこと、そして私たちが抱えていた問題のことを思うと、今は幸せです。私たちは馬のことばかりを考えてきたのです」。

 「ファンはこの馬を見に来て応援してくれています。歓声が上がったことで分かったのです。みんな彼をとても応援しています。私たちにとって感動的な勝利です。ジョン・ヴェラスケス騎手はこの馬となら何でもできます。待機することも、追い込むことも何でもです。この馬はどんどん良くなっています」。

 なおメディーナスピリットは今年のクラシック競走の前に、ロバートBルイスS(G3)で優勝し、サンタアニタダービー(G1)で2着となっていた。

By Eric Mitchell, Frank Angst and Byron King

[bloodhorse.com 2021年12月6日「Medina Spirit Collapses, Dies After Santa Anita Workout」]

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