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2021年11月18日  - No.43 - 4

クールモア、薬物捜査の対象のセラピストとの関係を完全否定(アイルランド)[その他]


 11月9日にモナスタレビン(キルデア州)で薬物捜査の対象となったセラピスト、ジョン・ウォリック氏がクールモアの1歳馬に対して日常的に施術していたという指摘をクールモアはきっぱりと否定した。

 サンデー・インディペンデント紙は、農業・食糧・海洋省が主導したこのおとり捜査の背景を記している。その記事によれば、ウォリック氏は身元不明の人物との電話で、"クールモアのおかげで何年もアイルランドにいる"、"今でもクールモアのために1歳馬に施術している"と言ったと伝えられている。さらに"私は通常、4月から隔週でクールモアに行っている"とも言っていた。

 1歳馬にどのような施術をしているかについて、ウォリック氏は"神経芽細胞を減少させる効果のある"米国の製品を投与したと述べたと伝えられている。そしてこの製品を"完全に合法"で、"すべての薬物検査を通過する"、"英国での使用が合法かどうかは別の話だが"と説明していた。

 ウォリック氏は競馬サークルではよく知られており、腱を傷めた多くの馬を回復させたことでも高い評価を得ている。同氏は11月13日夜、本紙(レーシングポスト紙)に対して今回の押収品に"禁止薬物はなかった"と述べたが、アイルランドでは使用が認可されていない物質を所持していたことは認めた。

 11月14日に本紙が問い合わせたところ、クールモアはウォリック氏がクールモアの1歳馬に施術していたことについて何も知らないと答えた。

 クールモアスタッドの代表であるリチャード・ヘンリー氏はこう語った。「ジョン・ウォリック氏がここで1歳馬を治療していたなんて、クールモアの古くからのスタッフは誰も記憶していません」。

 「彼はこの地域で時折周辺をうろついていたようです。おそらくクールモアと共同所有される馬を治療して、そういう馬が最終的にクールモアに来たことがあったのかもしれませんが、私たちがここで生産した1歳馬を彼が治療したことはありません。それにクールモアとの関係では、彼に関する請求書が出された記録は何らありません。」。

 ヘンリー氏はこう付け加えた。「昔、子どもが飼っていたポニーをジョン・ウォリック氏に治療してもらったことがあったと思います。ポニーの厩舎はクールモア内にありますが、まったく別の組織で、別のスタッフが運営しています。これは20年以上も前のことです。調べられたかぎりでは、彼とクールモアとのつながりはそれだけです」。

 サンデー・インディペンデント紙の記事の中で、ウォリック氏が働いているキルデア州の厩舎がバリントガースタッド社(Ballintogher Stud Ltd)により所有されていることが明らかになった。同社は、バリードイル(クールモアの調教拠点)の厩舎長のT・J・コマーフォード氏とそのカナダ人パートナーであるステファニー・オクスコ-ムーア氏が所有する会社である。エイダン・オブライエン調教師からは14日にコメントを得られなかったが、同調教師はウォリック氏がこれまで自分のために働いたことはないと否定し、唯一関わったことがあるのは、ウォリック氏がジム・ライアン氏の所有馬に施術したときだけだと示唆していた。

 ヘンリー氏は14日にそのことを改めて強調した。「バリードイルについても、もしウォリック氏が来ていたとすれば、それはずっと前のことです。当時ジム・ライアン氏がウォリック氏に自分の馬を見てもらったかもしれませんが、それだけだったでしょう」。

 この出来事を取り上げたサンデー・タイムズ紙の記事によると、英国の調教師グループは私立探偵を雇ってモナスタレビンの敷地を張り込ませ、そこに到着する馬運車を撮影させたという。強制捜査の日にテッド・ウォルシュ調教師、リアム・バーク調教師、ジェシカ・ハリントン調教師がその場にいたが、彼らはその理由を説明した。

 サンデー・インディペンデント紙の記事では、ジャーナリストのポール・キメージ氏がエンダ・ボルジャー調教師とピーター・フェイヒー調教師のそれぞれの馬運車がモナスタレビンの厩舎に到着する写真を持っていることを明らかにした後、これらの調教師はキメージ氏と関わることを避けていたと書かれた。

 14日には、両者ともウォリック氏との関係を明らかにした。自らの馬運車がモナスタレビンファームに入るところを8月31日に撮影されたのはスタッフの1人が引退した競走馬をそこに連れて行ったからだと、ボルジャー調教師は語った。

 「厩舎で働いている女性スタッフの1人が、私たちが以前管理していた高齢馬を世話していました。その馬は跛行していました。彼は13歳で、厩舎にいる獣医たちは皆、彼のことを見かぎっていました」。

 「クロスカントリーか総合馬術に出ることになっているのですが、ジョンは魔法のような治療法をもっていませんでした。いずれにせよ、その馬はまだそれらの競技に出られる状態ではないのです」。

 ボルジャー調教師はウォリック氏についてこう語った。「彼は20年ほど前、よくリムリックにやってきて、この地域のすべての総合馬術の馬を担当していました。彼については良い報告ばかりを聞きます。以前はすべてが彼の手で行われていました」。

 「ジョン・ウォリック氏について悪いことを言うつもりはありません。知っているかぎりでは彼は馬を助けていましたが、当局が問題にする何かをきっとやっていたということなんでしょうね」。

 フェイヒー調教師は、6月29日に自らの馬運車がそこにあったことも同様に誰にも咎められるものではないと主張した。「おそらく彼らは監視カメラの映像を持っていると思いますが、それを見れば、私の子どもが飼っている23歳のコネマラポニーがその馬運車から出てくるのを見ることができるでしょう」。

 「それが事実であり、その映像があることを願っています。あの厩舎に私の馬運車があったのは、あの日だけです。厩舎に入って行く馬運車の後方がうつった写真を見ましたが、もし前方からの写真があれば、助手席に娘が座っているのが見えるでしょう。そこに運ばれてきたのは彼女のポニーでした」。

 「ジョンは昔、2頭ほどの脚の治療をしてくれました。そのとき、私はそれらの馬に付き添いませんでしたが、フォローアップの治療は行いました」。

 フェイヒー調教師はこの騒動の結果として競馬のイメージが傷つくことについて、「このようにイメージが塗りたくられることは、競馬にとって恐ろしいことです。しかし、私は農業省のチェックもIHRBのチェックも受けました。アイルランドでも英国でも勝馬を出してきており、管理馬から陽性反応が出たことは一度もありません。何か見つけようと必死なのでしょうけど、私は何もしていませんし、不当なことをしたことも関わったこともありません」と付言した。

By Richard Forristal

[Racing Post 2021年11月14日「'We have no record of anything to do with him' - Coolmore deny link to Warwick」]

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