TOPページ > 海外競馬ニュース > ディストーテッドヒューマー、種牡馬を引退(アメリカ)[生産]
海外競馬ニュース
2021年10月21日  - No.39 - 4

ディストーテッドヒューマー、種牡馬を引退(アメリカ)[生産]


 ウィンスターファーム(ケンタッキー州ヴァーセイルズ)は10月18日、長年同ファームの要として活躍してきたディストーテッドヒューマー(27歳)とコングラッツ(21歳)が種牡馬を引退することを発表した。

 リーディングフレッシュマンサイアーとリーディングサイアーに輝いたディストーテッドヒューマーは、ウィンスターファームを生産事業体として新たな高みに到達させるのに重要な役割を果たした。この偉大なる種牡馬はその華麗なキャリアにおいておびただしい数のビッグネームを送り出してきた。活躍した産駒の中には、ドロッセルマイヤー、ファニーサイド、コメンテーター、エニーギヴンサタデー、フラワーアレイ、ヒステリカレディ、ボイスタラス、オーサムヒューマー、レストレスライダーなどのG1馬が含まれる。

 ウィンスターファームの会長・CEO・レーシングマネージャーであるエリック・ウォルデン氏はこう語った。「私たちは皆、ディストーテッドヒューマーがウィンスターファーム、私の家族、そして駆け出しのつつましい種牡馬生活の頃からサポートしてくれた多く生産者たちのために貢献してくれたことに、とても感謝しています。来シーズンに種牡馬としての活躍を見られないのは寂しいですが、今後もここで彼の姿を見ることができるのは本当にありがたいです。なんという馬なのでしょう!」

 ディストーテッドヒューマーはこの 10 年間、最近の記憶において最も優秀で影響力のあるブルードメアサイアー(母父)の1頭としても頭角を現した。史上最高賞金獲得馬アロゲート[1,742万2,600 ドル(約20億360万円)]、イレイト(Elate)、プラクティカルジョーク、ニューマネーハニー、コンスティチューションなどを母父として送り出している。今年の総賞金600万ドル(約6億9,000万円)のBCクラシック(G1 11月6日 デルマー)の最有力候補であるウッドワードS(G1)優勝馬アートコレクターの母父もディストーテッドヒューマーである。

 1999年に種牡馬入りしたディストーテッドヒューマーは、長期にわたる目覚ましい種牡馬生活の中で、多くの将来の発展につながる契機をもたらした。2002年にフレッシュマンサイアーの頂点に立ち、2011年に北米の総合的なリーディングサイアーとなった。その年には最高賞金獲得産駒のドロッセルマイヤー[372万8,170ドル(約4億2,874万円)]がBCクラシックを制覇した。同馬は2010年ベルモントS(G1)も制したクラシック勝馬になっていた。2003年にはウィンスターファームが生産したディストーテッドヒューマー産駒のファニーサイド(馬主:サカトガステーブル)がケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)を制して、最終的に生涯獲得賞金額を352万9,412ドル(約4億588万円)とした。

 ディストーテッドヒューマーは、父が1987年最優秀2歳牡馬フォーティナイナーであり、母がダンジグズビューティー(父ダンジグ)である。種牡馬としてブラックタイプ勝馬163頭、重賞勝馬71頭を送り出し、産駒の獲得賞金は1億5,200万ドル(約174億8,000万円)を超える。

 ディストーテッドヒューマー[生産者:チャールズ・ナコルズJr&サンズ社(ケンタッキー州)]は種牡馬として血統に消せないほどの影響力を残してきたが、競走馬としても優秀だった。ウォルデン氏が調教したディストーテッドヒューマー(馬主:R・L・ライネマン氏&プレストンウッドファーム)は、1998年コモンウェルスブリーダーズカップS(G2 キーンランド)を制した。このときの7ハロン(約1400m)1分20秒50という勝ち時計は現在でも残るステークス競走でのレコードタイムである。また、チャーチルダウンズH(G2)、アックアックH(G3)、サルヴェイターマイルH(G3)を制して勝利を重ね、生涯獲得賞金を76万9,964ドル(約8,855万円)とした。

 コングラッツは過去6年間、勝馬頭数による種牡馬ランキングで10位以内に入っている(うち3年は5位以内)。著しく安定したキャリアのあいだ、常にトップクラスの出走馬を送り出しており、今年もまた10位以内に入った。

 コングラッツは今年になって現在までに122頭の勝馬を送り出しており、産駒の獲得賞金は484万3,399ドル(約5億5,699万円)に上っている。今シーズンの最も優秀な産駒は、ピムリコスペシャルマッチシリーズS(G3 ピムリコ)と総賞金10万ドル(約1,150万円)のチャレンジャーS(G3 タンパベイダウンズ)を制した重賞2勝馬のラストジャッジメント(Last Judgment)である。

 コングラッツは、伝説の種牡馬エーピーインディが送り出した唯一のリーディングフレッシュマンサイアーである。タービュレントディセント、ハヴユーゴーンアウェイ、ウィキッドリーパーフェクト、エマズアンコールなどのG1馬を送り出している。またブラックタイプ勝馬44 頭を送り出しており、産駒の獲得賞金は 7,198 万 9,798 ドル(約82億7,883万円)に上る。彼はジョン・サイクス氏のウッドフォードサラブレッズ(フロリダ州レディック)で引退生活を送る。

 サイクス氏は、「コングラッツは私がこのビジネスを立ち上げるのを助けてくれました。ウッドフォードサラブレッズにとってもすごく大きな意味を持つ馬です。引退生活を送らせるために連れて帰ることができて幸せです」と語った。

By Blood-Horse Staff

(1ドル=約115円)

[bloodhorse.com 2021年10月18日「WinStar Stallions Distorted Humor, Congrats Pensioned」]


上に戻る