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2021年10月07日  - No.37 - 2

試練のマーフィー騎手、ゼリーでマルセルブーサック賞を制覇(フランス)[その他]


 オイシン・マーフィー騎手は試練の一週間を送っていたが、ゼリー(アンドレ・ファーブル厩舎)をマルセルブーサック賞(G1)優勝に導いたときに、すべてを水に流した。

 英国のリーディングジョッキーは9月30日(木)、ソールズベリーのパドックで騎乗馬オアシスギフト(Oasis Gift)に投げ飛ばされて柵に打ちつけられ、唇を縫わざるをえなかった。しかし、ロンシャンで騎乗できなくなるという考えが頭をよぎることはなかったという。

 マーフィー騎手は「早く治さなければならないのですが、まだ少し痛いです」と言い、マスクをずらしてカメラに向かって傷ついた唇を見せながら「見苦しいですが、この週末はいいレースができたので、すべてが報われています」と語った。

 ゼリーは、馬場状態を理由に出走を取りやめた無敗の同厩舎馬ラクレットの代わりとなる優良馬として頭角を現した。単勝34倍のタイムズスクエアを追い掛け、1¾馬身引き離してゴールした。

 マーフィー騎手は、いくつかのTVインタビューで自身のフランス語を試してみることにも大きな喜びを感じていた。「彼女には初めて騎乗しました。馬主のアルワスミヤファーム(Al Wasmiyah Farm)のために騎乗したことがあり、ワッツアップ(チャットアプリ)で連絡を取り合っていました。ミカエル・バルザローナ騎手が空いていなかったので、私が乗ることになったのです」。

 「すごく速く走ることになると思っていました。いつもはオスキュラ(Oscula)が先頭に立つのですが、ライアン・ムーア騎手を背に出遅れてしまい、少し気になっていました。ゼリーはゲートから勢いよく飛び出さなかったので、我慢して彼女が奮起するのを期待するしかありませんでした。前進を促すと、彼女はいつも勝利に向けてどんどん走ってくれるのです」。

 ファーブル調教師も同様に自信を持っており、これまでのレースではゼリーが気難しい馬のように見えたと言われたときに、自らの中にいるデカルトを呼び出しこう語った。「彼女はぜんぜん気難しくありません。誰が気難しいのですか?それは人間であって馬ではありません。馬主や騎手であっても、馬ではありません」。

 ゼリーは素直な性格なのかもしれないが、ファーブル調教師はそれほど長い距離を走らせるつもりはないようで、こう続けた。「彼女がまだ2歳だとは考えていませんでした。来年も良い成績を残せるだけの伸びしろと能力を持っています。仏1000ギニー(G1)に出走するのが待ち遠しいです」。

 「1マイルが限界だと思いますが、仏オークス(G1 ディアヌ賞)で2100mに挑戦してみてもいいでしょう。ただ彼女はマラソンレースに向かないですね」。

 ファーブル調教師に1995年のミスタヒチ以来となるマルセルブーサック賞優勝をもたらしたゼリーは、オーマル賞(G3)で同厩舎馬フルールディリスの2着になったが、その24日後に1番人気の同馬に大逆転した。

 クリストフ・フェルラン調教師は2着に入ったタイムズスクエアのパフォーマンスに満足し、こう語った。「残り200mのところで勝つかもしれないと思っていました。朝起きるのはこのような馬のためです。この馬はきわめて気難しくなることがあるので、私たちは熱心に取り組んできました」。

 「10日前の調教での動きが良かったので、自信を持つことができました。クリスチャン・デムーロ騎手とは少ししか話していませんが、彼女の状態に驚いていました。勝馬は別格ですが、私たちのところにもとても良い牝馬がいるのです」。

By Jonathan Harding

[Racing Post 2021年10月3日「'It's ugly but it's worthwhile' - Oisin Murphy savours Group 1 success on Zellie」]


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