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2021年09月30日  - No.36 - 4

メヒア騎手、電気ショック発生装置の携帯で10年間の騎乗停止処分(アメリカ)[その他]


 トーマス・メヒア騎手(26歳)は9月3日のレース中に電気ショック発生装置を携帯していたとして、モンマスパーク競馬場の裁決委員会から10年間の騎乗停止処分と5,000ドル(約55万円)の過怠金を科された。

 証拠写真が裁決委員に提出されたことで、9月15日に裁定が下された。その写真は、第7競走をストロンガーザンユーノウ(Strongerthanuknow)で制したメヒア騎手がウィナーズサークルに入り下馬するまでの間に、電気ショック発生装置を所持していることを証拠づけるものだった。本誌(ブラッドホース誌)は9月10日に問題のレースの写真を要求したが、トラックフォトグラファーは「現時点ではその写真を外部へ送信することは許可されていません」と答えた。9月16日に再度要求したが、回答は得られていない。

 競馬用語で"ブザー"と呼ばれる電気ショック発生装置は、電気ショックを与えて馬を速く走らせるために使用される。その行為は禁止されている。

 ホルヘ・ドゥアルテJr.調教師が管理するストロンガーザンユーノウ(馬主:コルツネックステーブル)は5ハロン(約1000m)のアローワンス競走を制し、単勝の払戻金は2ドルにつき11ドルだった。この牝馬は3番手で最後の直線に入ったが、終盤にメヒア騎手に追われて一気に加速し、単勝1.8倍の大本命ムンバイ(Mumbai)をとらえた。

 裁決委員たちはメヒア騎手にこれらの制裁を科したうえに、この案件をニュージャージー州競馬委員会(NJRC)に委ね、同騎手の騎手免許を永久に取り消すように勧告した。

 メヒア騎手への騎乗停止処分は、2015年にサムヒューストン競馬場のレースでブザーを携帯したなどの違反行為により、故ローマン・チャパ騎手にテキサス州競馬委員会(TRC)が言い渡した5年間の騎乗停止処分の2倍の長さとなる。チャパ騎手には過怠金10万ドル(約1,100万円)も科されていた。

 チャパ騎手に対する詳細な調査は同様に、電気ショック発生装置と分かる物を同騎手が手にする写真がサムヒューストン競馬場のウェブサイトで公開された後に実施された。

 昨年の別の案件では、カンタベリーパーク競馬場の裁決委員会がデニー・ベラスケス騎手に1年間の騎乗停止処分と過怠金1万ドル(約110万円)を科した。同騎手の車を捜索していたところ、電気ショック発生装置と弾薬の入った銃器を所持していたことが発覚したのだ。

 しかしこれらの違反行為は、モンマスパークほど鞭の規制が厳しくない競馬場で生じていた。ニュージャージー州競馬委員会(NJRC)は今年、騎手が安全上の理由以外で鞭を使用することを禁止するルールを実施している。そして今回の競馬開催では、裁決委員は鞭を使用した騎手に対して騎乗停止処分を下していた。

 裁決委員たちはストロンガーザンユーノウに対する失格や着順変更を決定しなかった。裁定では、メヒア騎手が電気ショック発生装置を使用したことではなく、それを所持していたことだけが指摘された。その証拠は、レース後にウィナーズサークルでメヒア騎手を撮影した写真を軸としていた。モンマスパークの敷地内で電気ショック発生装置を所持していたことにより、メヒア騎手はNJRCの競馬施行規程の「N.J.A.C. 13:70-14.5 (a) (d) (e)」と「N.J.A.C. 13:70-1.15」に違反していたと判断された。

 2着のムンバイ(馬主:ウォータービルレイクステーブル)を管理するクリストフ・クレマン調教師は、ストロンガーザンユーノウが失格にならなかったことに憤慨していた。そして、裁決委員からの裁定を説明する折り返しの電話を待っている。このレースの総賞金は5万6,625ドル(約623万円)、優勝賞金は3万4,500ドル(約380万円)、2着賞金は1万1,500ドル(約127万円)である。

 クレマン調教師はこう語った。「2021年にもなって主要競馬場で騎乗するジョッキーがこのような装置を使っていたらしいことに、とても失望しています。騎乗停止処分が科されたこと、裁決委員が彼に処分を科すために行動を起こしたことに満足しています。レース結果がどうなるかについて、裁決委員からの連絡を待っています」。

 2031年9月9日までの騎乗停止処分の一環として、メヒア騎手はどのような目的であろうともNJRCの管轄下にあるすべての敷地への立入りを禁止される。

 モンマスパークの競走役兼競走担当理事であるジョン・ハイムズ氏は、「裁決委員の裁定がすべてを説明しています」と述べた。

 メヒア騎手のエージェントであるロバート・トゥッチーレ(Robert Tuccille)氏は、同騎手にレース中に装置を携帯していたか尋ねたが、回答は得られなかったと語った。

 「詳細をまったく知らなかったので、依然として状況を飲み込もうとしているところです。重大な処分が科され、深刻な嫌疑が掛けられています。私が知っているのは、証拠の写真があるということだけです。非常に悲しく、非常に厳しい状況です。こんなことが起きる必要はなかったのです」。

 トゥッチーレ氏はメヒア騎手が上訴するかどうか分からないと述べ、「もし上訴するならすでに聞いているはずですが、彼は何も言ってきません」と語った。

 メヒア騎手は北米で1,101回騎乗し110勝を挙げ、獲得賞金は296万4,048ドル(約3億2,605万円)に上る。モンマスパーク開催では19勝を挙げて騎手ランキングで9位タイである。

By Bob Ehalt

(1ドル=約110円)

[bloodhorse.com 2021年9月16日「Jockey Mejia Gets 10-Year Ban for Electrical Device」]


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