TOPページ > 海外競馬ニュース > ウォルトンストリート、カナディアンインターナショナルを圧勝(カナダ)[その他]
海外競馬ニュース
2021年09月22日  - No.35 - 1

ウォルトンストリート、カナディアンインターナショナルを圧勝(カナダ)[その他]


 フランキー・デットーリ騎手と低オッズの人気馬の組合せは、世界中のどこであっても打ち負かすのは難しい。50歳のスタージョッキーはまたもやそれを証明した。9月18日のカナディアンインターナショナル(芝G1 ウッドバイン)で単勝1倍台の1番人気馬ウォルトンストリートに完璧に騎乗し、他馬を完膚なきまでに打ちのめしたのだ。

 心情的に応援したい1頭であるデザートエンカウンターは、史上2頭目のカナディアンインターナショナル3勝馬になることを目指し、健闘の末2着となった。しかし、彼も他の6頭のライバルも、ウォルトンストリートのパフォーマンスにはおよそ敵わなかった。

 チャールズ・アップルビー調教師が管理するゴドルフィンの自家生産馬であるウォルトンストリート(せん7歳 父ケープクロス 母ブロムフェリニティ 母父エンコスタデラゴ)にとって、このカナディアンインターナショナル[芝 約2400m 総賞金60万8,400カナダドル(約5,171万円)]が北米デビュー戦となった。同馬はこれまで欧州やドバイで競走生活を送ってきた。

 ウォルトンストリートは昨年にゴドルフィンS(L ニューマーケット)、今年にドバイレーシングクラブクラシック(L メイダン)とドバイシティオブゴールド(G2)を制して、ステークス競走3連勝を達成していた。今回世界各地から集まった競走相手の中にそのような連勝記録をもつ馬がいなかったので、ウォルトンストリートは馬券購入者のあいだでオッズ1.8倍の1番人気馬となった。

 ゲートが開くと、オッズ42倍のプリモタッチ(Primo Touch)が先頭に立った。同馬は9月10日にアローワンス選択クレーミング競走(ウッドバイン)を5馬身差で制したばかりだった。デットーリ騎手は、早くにハナを切ったこの馬から十分離れた2番手にウォルトンストリートをつけたが、それでも後続馬との距離は十分にあった。

 デットーリ騎手は、プリモタッチが最初のゆるやかなターン(第1コーナーと第2コーナーのあいだ)でリードを3½馬身ほどに広げて向こう正面に入って行っても、ものともしない様子だった。

 2つ目のターン(第3コーナーと第4コーナーのあいだ)に差し掛かったところで、ウォルトンストリートはプリモタッチとの差を縮めたが、まだ2馬身ほどの差があった。この馬が最終コーナーを回ったときに末脚を十分に炸裂させるとデットーリ騎手は確信しているようだったが、まさにその通りのことが起こった。ウォルトンストリートは直線入口でプリモタッチと並び、それから他馬を引き離し始めたのだ。

 デザートエンカウンター(せん9歳)の鞍上は、直前の乗り替わりにより、エマ-ジェーン・ウィルソン騎手が務めていた。騎乗予定だったダニエル・タドホープ騎手の入国手続きの際に書類不備があったと伝えられている。同馬は7番手から早めに差を詰めてきて2着の栄誉を獲得した。デットーリ騎手はウォルトンストリートを意のままに操り、5¾馬身差をつけてデザートエンカウンターをたやすく下した。勝ち時計は2分29秒07。プリモタッチはさらに4¾馬身後ろの3着でゴールした。

 調教助手のアレックス・メリマン氏はこう語った。「はっきり言って、私たちが考えていたとおりすごくうまく行ったと思います。フランキーには作戦がありましたし、いつでもギアを上げられると確信していたのです。それを見事にやってのけたのですから、彼と一緒に喜びましたね。この馬がG1を制したことを嬉しく思っています。彼は長いあいだ私たちと一緒にいますし、調教場でも人気者なんですよ」。

 デットーリ騎手は自身にとってのカナディアンインターナショナルの4勝目を達成した。これまで2000年にムタファーウエク、2004年にスラマニ、2012年にジョシュアツリーでこのレースを制している。ジョシュアツリーはこのレースを3勝した唯一の馬だが、デットーリ騎手が手綱を取ったのは3勝目のときだけだった。

 ウォルトンストリートがブリーダーズカップに向かうことになれば、同じ年にカナディアンインターナショナルとBCターフ(芝G1)をダブル制覇する2頭目の馬となるかもしれない。チーフベアハートが1997年にこの偉業を達成している。デットーリ騎手とゴドルフィンはともにBCターフで勝利を挙げている。近年ではデットーリ騎手は2018年にエネイブルで、ゴドルフィンは2017年にタリスマニックでこのレースを制している。

 ウォルトンストリートはカナディアンインターナショナルで優勝するのにふさわしい国際的なルーツをもつ。母ブロムフェリニティは母国豪州で4シーズン現役を続け、2006年ヒルトンインターナショナルS(G2)とウェリビーカップを制した。繁殖入り後は豪州で最初の数頭を出産し、その中には68戦して獲得賞金13万964ドル(約1,441万円)の苦難続きのせん馬マキャヴィティ(Macavity)も含まれる。
news_2021_35_01_01.png

By Tracy Gantz

(1カナダドル=約85円、1ドル=約110円)

[bloodhorse.com 2021年9月18日「Walton Street Runs Away With Canadian International]


上に戻る