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2021年08月18日  - No.30 - 3

一流種牡馬マスタークラフツマン、心臓発作により15歳で死亡(アイルランド)[生産]


 競走馬としてG1を4勝して国際的な一流種牡馬となったマスタークラフツマンは、クールモアのキャッスルハイドスタッドで心臓発作と疑われる症状により15歳で死んだ。

 マスタークラフツマン(エイダン・オブライエン厩舎)はクールモアパートナーズに所有されて通算成績12戦7勝を果たし、デインヒルダンサー産駒としてのレーシングポストレーティング(RPR)の最高値127を獲得した1頭となった(訳注:もう1頭はショワジール)。2歳シーズンの2008年には、フェニックスS(G1)とナショナルS(G1)を制して最優秀2歳牡馬に選出された。

 マスタークラフツマンは3歳初戦となる愛2000ギニー(G1)でクラシックの栄冠を手にした。また、セントジェームズパレスS(G1 ロイヤルアスコット開催)では激戦の末にデレゲーターを首差で破って優勝し、オブライエン調教師はそのときこう語った。

 「騎手と馬が信じられないほど勇敢なパフォーマンスを見せてくれました。この馬には勇気、スピード、スタミナがあります。重馬場でも良馬場でも同じくらいの実力を発揮します。振舞いがジャイアンツコーズウェイにそっくりです。元気でシンプルで走りまわっています。ゆうゆうと走り、傑出した速さとスタミナがあり、なんといっても大変な勇気があります。これ以上多くのことは望めないと思いますよ」。

 マスタークラフツマンは英インターナショナルS(G1)でシーザスターズの2着となったときに、RPR127を獲得した。そしてBCダートマイル(G1)で不運にも僅差の4着に敗れて競走生活を終えた。

 2010年にクールモアで種牡馬入りし、初年度種付料は2万ユーロ(約260万円)とされた。その3年後、2歳産駒がデビューするとほぼ瞬時に印象的な結果をもたらした。

 初年度産駒の中でも特に優秀だったのは、レーシングポストトロフィー(G1)を制して2歳シーズンを無敗で終えたキングストンヒルである。また、G3を制したクラフツマン(Craftsman)とアメージングマリアも父マスタークラフツマンをリーディングファーストクロップサイアーに押し上げるのに貢献した。

 さらに良い結果がもたらされることになる。マスタークラフツマンは2014年末までに2頭のクラシック優勝馬を送り出したのだ。キングストンヒルが英セントレジャーS(G1)を制し、ザグレイギャッツビーが仏ダービー(G1 ジョッケクルブ賞)を制したうえに、愛チャンピオンS(G1)でうまくオーストラリアをしのいで優勝したのだ。

 種付料は2015年に4万ユーロ(約520万円)のピークに達してから多少の変動があったものの、マスタークラフツマンはステークス勝馬160頭(うち重賞勝馬53頭・リステッド勝馬29頭)を誇る種牡馬成績を挙げ、国際的な一流種牡馬としての地位を固めた。

 優良産駒名簿のトップには、G1・4勝牝馬アルファセントーリ、ファルマスS(G1)優勝馬アメージングマリア、ロワイヤルオーク賞優勝馬テクニシャンなどG1馬16頭が記されている。

 また南半球にもシャトルされ、ニュージーランドではダンツダンツダンス、サンテミリオン、ジーオールフルージー(Thee Auld Floozie)などのG1馬を送り出した。一方、南米ではケンブリッジ、オホデルミラグロ(Ojo Del Milagro)、ジャプリモなどの優良産駒がG1レースで活躍した。

 つい水曜日(8月11日)にウパヴォンフィリーズS(L ソールズベリー)で、ライラックロード(Lilac Road)がテクニック(Technique)を頭差で退けて産駒がワンツーフィニッシュを決めたことで、マスタークラフツマンの卓越性はタイムリーに思い出された。

 キャッスルハイドスタッドの牧場マネージャーであるトム・ガフニー氏はこう語った。「マスタークラフツマンは世話をするのが楽しくなるような馬でした。ここにいる全員が寂しがるでしょう。素晴らしい産駒を送り出したので、その中から新たにスター馬が出てくることを期待しています」。

 マスタークラフツマンはすでに、豪州のG1馬ラビングギャビー、イタリアのG2勝馬アッティモフジェンテ(Attimo Fuggente)、そして優秀な2歳馬ダバブ(Dhabab)のブルードメアサイアー(母父)となっている。初年度に送り出した牝馬が現在10歳に達していることから、マスタークラフツマンのブルードメアサイアーとしての影響は今後数年間で開花するだろう。

 また数頭の産駒が種牡馬となっている。キングストンヒルはクールモアの障害競走の種牡馬としてキャッスルハイドスタッドで、すでに最初の勝馬を送り出したザグレイギャッツビーはプティテリエ牧場(フランス・ノルマンディ)で供用されている。また、マスターカーペンターは2021年にマーチヘアスタッドで種牡馬入りしている。

 マスタークラフツマンはスターライトドリームズ(父ブラックタイアフェア)の第6仔としてランシ-バージュ社(Lynch-Bages)により生産された。スターライトドリームズはほかにも2頭のブラックタイプ勝馬を送り出している。それは、G3勝馬ジェニュインデヴォーション[Genuine Devotion 重賞勝馬ゾファレリ(Zoffarelli)の2代母]とモイグレアスタッドS(G1)2着馬フェイマス[Famous リングフィールドオークストライアル(L)優勝馬シャーベットレモン(Sherbet Lemon)の母]である。

 この血統を遡れば、サキーやインペリアルモナークのようなG1馬が輩出している。

By James Thomas

(1ユーロ=約130円)

[Racing Post 2021年8月13日「Leading sire Mastercraftsman succumbs to suspected heart attack aged 15」]


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