ジャックルマロワ賞でパレスピアがポエティックフレアを下す(フランス)[その他]
そもそもG1競走は等しく作られてはいないが、ジャックルマロワ賞(G1 8月15日 ドーヴィル)を現地で観戦した人々も世界中で視聴した人々も、ここ数年でこれ以上のマイル競走があったかを思い出すのに苦心しているだろう。パレスピアとポエティックフレアが、待望の対戦で約束どおりぞくぞくするようなレースを繰り広げたのだ。
パレスピアは、若いポエティックフレアの獰猛な挑戦と、このレースの2勝目に向けた準備段階での困難をものともせず、24年前のスピニングワールド以来のジャックルマロワ賞連覇を達成した。
フランキー・デットーリ騎手はパレスピアを「キャリアにおける最強マイラー」と評した。一方、ジョン・ゴスデン調教師はこの歴史的な快挙を遂げることになる日程に間に合わせるのさえも危ぶまれていたことを強調した。
「彼を仕上げるのにどれほどの時間が必要だったかを隠さずに言ってきました。彼には血液の障害があり、サセックスS(G1)に出走させられず、最低限の調教しかせずにこのレースに臨みました」。
「フランキーは、パレスピアが道中スムーズに走り、その能力のおかげで勝つことができたと報告してくれました。フランキーは非常に口が滑らかですが、ジャックルマロワ賞を勝ったのであり、もしこのレースに来ていなかったら、むしろ意味のないシーズンになってしまったでしょう。私たちはいつもここに戻ってきたいと思っていましたが、80%の状態で馬を走らせることになってしまいました」。
「パレスピアの能力がフランキーと私に困難を乗り切らせてくれました。彼には満点がつけられます。最後の数完歩は疲れてしまいましたが、それは彼に障害があり、G1に出走するには失うことのできない多くの時間を失っていたからです」。
レースはコースの内側と外側を走った主役2頭を中心に展開した。デットーリ騎手はライバルのポエティックフレアほど快適に走行できず、ポエティックフレアの鞍上のケヴィン・マニング騎手は外側の柵に沿って悠々と走っているように見えた。
2頭ともすぐに仕掛けようとはせず、最後の2ハロンになって叩き合いが始まった。残り1ハロンの地点までパレスピアのほうに勝ち目があるように見えたが、ポエティックフレアが最後に猛追してきてその差を一気に首差まで縮めて2着となり、昨年のBCマイル(G1)優勝馬オーダーオブオーストラリアがよく粘って3着を確保した。
ゴスデン調教師はこう語った。「絶妙なレースでした。2着馬は鉄でできているようでした。オーダーオブオーストラリアも見事なレースをしました。役者がそろっていましたね。去年のようにパレスピアを100%の状態でここに連れてきたかったです。それでも、彼は素晴らしいレースをしましたし、優れた末脚を見せてくれました」。
ベットフェア社はクイーンエリザベス2世S(G1 10月16日 アスコット)でのパレスピアのオッズを3倍から2.75倍に下げたが、ゴスデン調教師は英チャンピオンS(G1 10月16日 アスコット)で1¼マイル(約2000m)に初挑戦する可能性も捨てきれないと語った。パディパワー社はこのレースでのパレスピアのオッズを11倍から8倍に下げている。
ゴスデン調教師はこう続けた。「急いで決定するつもりはありません。おそらく両方のレースに登録して英チャンピオンズデーを待つことになると思います。彼の競走距離を伸ばすことを考えるかもしれません」。
「レースの前にこんなに緊張したのは久しぶりです。妻のレイチェルは『10日足りない』と言っていたのですが、パレスピアは自らの能力に助けられました」。
デットーリ騎手は前半の½マイルはパレスピアをなだめながら騎乗していたが、競走が激化してくると、相棒が発揮できる実力の大きさを確信していた。
「この馬のことが大好きです。これまで乗った中で最強のマイラーです。美しいですし、ペースも良いですし、どのような馬場でも走ります。調教をする機会が多く失われたあとに、私たちは今日、彼を急仕上げしてここに連れてきました。ジョンには彼は8割の出来でくることになったと言いました。彼はもともと能力のある馬ですから、私たちはそれで切り抜けたのです」。
「バルザローナ騎手(ヴィクタールドラム)について走り、ケヴィンに目を付けていました。彼がポエティックフレアにダッシュするように合図を送った時には追跡しました。実はラスト200mは独断で勝負しました。私が追い抜くと、ケヴィンが反撃してきました。彼はそれが得意なので、そういう乗り方を続けているのでしょう」。
ポエティックフレア陣営は、彼らのG1・2勝馬がこの多忙なシーズンでまたしても勇敢な走りを見せたことにこの上ない誇りを感じていることだろう。
父ジム・ボルジャー調教師の代理であるウナ・マニング氏はこう語った。「この馬にはとても満足しています。素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。彼にはあのような良馬場が必要だということがよくわかりました。ケヴィンもとても喜んでいて、今日うまく走った馬に負けただけだと言っていました。道中とても良い走りっぷりで、この馬がどう走るかは馬場状態が重要な鍵になることを証明してくれました」。
オーダーオブオーストラリアもぞくぞくするようなクライマックスで自らの実力を発揮し1¾馬身差の3着となった。ミッドタウンは4着に入り、アンドレ・ファーブル厩舎の2頭の中では先着した(訳注:もう1頭のヴィクタールドラムは7着)。
オーダーオブオーストラリアについて、エイダン・オブライエン調教師はこう語った。「彼はマイラーですが、もう少し距離を伸ばすかもしれません。それでも今回は素晴らしい走りを見せてくれましたね。とても満足しています。レース後の状態を見て今後の計画を立てますが、今日のレースぶりには喜んでいます」。
By Scott Burton
[Racing Post 2021年8月15日「'He's the best miler I've ridden' - Palace Pier denies Poetic Flare in thriller」]