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2021年07月29日  - No.28 - 1

アダイヤー、ガリレオ以来のダービーとキングジョージのダブル制覇を達成(イギリス)[その他]


 アダイヤーは優秀な英ダービー馬であると常に主張されてきた。そして20年前のガリレオ以来、同じ年に英ダービー(G1 エプソム)とキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1 アスコット)の両方を制した初めての馬となったことで、今や偉大な馬であると確信が持てるようになった。

 歴史はアダイヤー陣営にとって不利な要素だったが、チャーリー・アップルビー調教師は、ダービーの次はキングジョージというかつての人気路線を貫いた。ただ残念なことに、彼はこの計画が結実するのを見るためにアスコットに行くことができなかった。週前半に国民保健サービス(NHS)のCovid-19接触追跡アプリから通知を受けていたからだ。

 それでも同調教師は、アダイヤーが直線で自らを主張し始めたときも、ましてミシュリフを引き離してゴールしたときも、自宅で観戦していることをさほど気にしていなかっただろう。

 エネイブルとクリスタルオーシャンが繰り広げたような、グランドスタンドの前で決着がつく接戦ではなかった。しかしアダイヤーがダービー優勝後に古馬相手のキングジョージを制したわずか14頭目の馬となったことで、おそらくいっそう意義深いレースになったと言えるだろう。

 アップルビー調教師はこう語った。「偉大なガリレオがダービーとキングジョージをダブル制覇してから20年が経っているのですから、アダイヤーはすべての称賛に値しますね。彼は優秀なダービー馬で、私たちは今日、自信を持って臨むことができました。直線に入ってゴングが鳴ったとき、彼は最前線に自ら仕掛けていき、力強く疾走してゴールを駆け抜けました」。

 今やアダイヤーはその部門のトップに昇りつめたのかもしれない。アップルビー調教師はこのレースに勝つ馬はどの馬であろうとも1½マイル(約2400m)の王者になると言っていた。そしてアダイヤーが強豪馬を相手に楽々と勝利を決めたのを見て、彼こそがその称号を手にするのにふさわしい馬だと信じている。

 アップルビー調教師はこう語った。「アダイヤーはその王冠を獲得するのにふさわしく、当分のあいだはその地位を維持できると確信しています。年齢による減量がありましたが、それはそういうルールですから。これらの強豪馬と比べても、彼は3歳馬のようには全然見えないと思いますよ」。

 「俊敏な動きをする馬なので、馬場はあまり気になりませんでした。負けたとしてもそれを言い訳にするつもりはありませんでした」。

 同調教師は競馬場に行けなかったことについて、「幸いにも、最後に調教場に行くことができた水曜日にアダイヤーの様子を見ました。歴史的瞬間には立ち会いたいものですが、私の仕事は今日までに終わっていましたし、支えてくれる素晴らしいチームがいます」と述べた。

 この勝利の持つ重要な意味は、鞍上を務めたウィリアム・ビュイック騎手とも分かち合われた。10年前のナサニエルでの勝利に続き2度目のキングジョージ制覇を達成した同騎手は、1度だけでなく3度も拳を宙に突き上げた。

 「ちょっと派手に喜びすぎたかもしれませんが、本当に嬉しかったのです。10年もの長いあいだ勝てなかったので、初めて勝ったような気がします。この勝利をもっと楽しめる年齢になったのかもしれませんね」。

 「アダイヤーのような馬はめったにいませんし、ダービー馬がキングジョージも勝つことはほとんどありませんので、最高の気分です。思っていたよりも発馬機をうまく飛び出し、とてもいいリズムで走ってくれました。そして最後の直線では見事なスパートを切り、ゴールまで粘り強く走ってくれました」。

 「エプソムでの彼のパフォーマンスを見て、優秀なダービー馬だと皆が思っていました。そして古馬に挑戦することで、それを立証しました。彼は根っからの競走馬で、勝利に対してものすごい意欲を持っています。強豪馬が揃っていましたね。これこそがキングジョージです」。

 英ダービーでは同厩舎のハリケーンレーンに先着したアダイヤーだが、ゴドルフィンの序列では、この愛ダービーを制した傑出馬に後れを取っていると見る向きもあった。しかしアップルビー調教師は迫力のある風格のアダイヤーを常に信頼していて、このキングジョージ優勝馬に野心的な路線を進ませることを計画している。

 アップルビー調教師は、「これはいつもの決まり文句の1つですが、今後の進路については話し合っていくでしょう。もし今すぐに答えを求められれば、アダイヤーはできればステップレースとして9月のニエル賞(G2)を走ってから、凱旋門賞(G1)を目指すだろうと思います。一方ハリケーンレーンは英セントレジャーS(G1)に向かい、そしておそらくは凱旋門賞に挑戦するでしょう」と語った。

 パディーパワー社は、凱旋門賞でのアダイヤーのオッズを11倍から6倍に下げた。直近でキングジョージ優勝のあとに凱旋門賞を制した馬は、2017年のエネイブルである。

 2着のミシュリフは国内のG1で大躍進できなかったが、次は8月18日の英インターナショナルS(G1 ヨーク)を目指す予定である。

 今年サウジカップとドバイシーマクラシック(G1)を制している4歳馬ミシュリフは優勝馬に1¾馬身引き離されてゴールした。またその1¾馬身後ろを、エイダン・オブライエン調教師とライアン・ムーア騎手にG1・5連勝をもたらそうとしていたラブが3着で入線した。

 息子のサディ氏と共同でミシュリフを管理するジョン・ゴスデン調教師は、「3歳だったナサニエル、エネイブル、タグルーダでこのレースを制したことで、私は常に、軽い負担重量が3歳馬に有利に働いていると言ってきました。勝馬はとてつもなく良く見えますが、ミシュリフは絶対的に素晴らしい走りを見せたので、次はヨークに向かう予定です」と語った。

By Jonathan Harding

[Racing Post 2021年7月24日「'These horses don't come around often' - Derby hero Adayar emulates Galileo」]

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