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海外競馬ニュース
2021年07月08日  - No.25 - 3

ヒッサ王女、故ハムダン殿下のシャドウェルを引き継ぐ(国際)[その他]


 シャドウェルエステートの将来がはっきりと見えてきた。ヒッサ王女が亡き父ハムダン殿下の後継者として、この平地競走で最も強力なオーナーブリーダー事業のトップの座を引き継ぐことが確認されたのだ。

 シャドウェルのレーシングマネージャー、アンガス・ゴールド氏はドバイでのヒッサ王女との会合を経て、6月29日に本紙(レーシングポスト紙)に対してこの動きを認めた。シャドウェルの創設者ハムダン殿下は3月に75歳で亡くなったが、この動きは殿下の有名な青と白の勝負服の将来を明確なものにした。この勝負服は傑出馬のデイジュール、サキー、ナシュワン、最近ではムハーラー、モハーサー、バターシュなどに背負われてきた。

 ゴールド氏は英国への帰国前に自己隔離しているキプロスのホテルから、ヒッサ王女がその責務を引き継ぐことは"素晴らしいことだ"と述べ、こう語った。

 「ハムダン殿下の悲しい逝去から数ヵ月間、私たちはヒッサ王女と連絡を取り合ってきました。そして現在、ドバイに赴き王女に直接お会いしたあとの帰路にあります」。

 「王女は、自身と家族がハムダン殿下の遺志を尊重し、すべて継続することを強く望んでいることを認めました。とても良かったです。王女が競馬事業に情熱を持たれ、王女の兄弟たちも彼女の事業推進をサポートされるという話は殿下の名声にとって素晴らしいことです。私たちも同様にそれを支えるためにベストを尽くします」。

 ヒッサ王女はすでに英国で、ハンデ戦のリンカーン(3月21日 ドンカスター)を制したハキーキー(Haqeeqyジョン&サディ・ゴスデン厩舎)をはじめ少数の現役馬を自身の名義と勝負服で所有している。

 20代後半のヒッサ王女は、ツイッターに2万5,000人を超えるフォロワーがいて、SNSでも注目される存在である。また、王女は世界各地のレースで優勝するシャドウェルの所有馬の動画を定期的にリツイートしたりコメントを書き込んだりしている。

 ゴールド氏はこう続ける。「ハムダン殿下は、ヒッサ王女をさまざまなことに関わらせていました。王女は馬のことをよく知り、愛していて、ドバイでご自身の馬を所有しています。競馬を楽しみ、殿下が亡くなってからはその責務を熱心に引き継いでいます。ハムダン殿下には6人のお子様がいらっしゃいますが、その中でヒッサ王女が馬分野でのスポークスパーソンになる予定です」。

 ハムダン殿下は生前、豪州・南アフリカを中心に競馬事業の規模を縮小し始めていたが、それでもシャドウェルは英国・米国・アイルランドに広大な生産事業を有しており、これらは今後も継続される予定である。

 1987年からレーシングマネージャーを務めているゴールド氏はこう語った。「今回は手短な打合せでしたが、馬は当面、シャドウェルの名義と勝負服を維持することになります。この勝負服を維持することは、一族全体にとってきわめて重要なことだと思います」。

 「リンカーンを制したハキーキーと先日勝利を収めたタワハブ(Tawahub ジョン&サディ・ゴスデン厩舎)は、ヒッサ王女がご自身の名義で所有される中で最高の馬ですが、王女自身の活動はまだ始まったばかりです。王女がご自身の名義で数頭を維持されるのか、それともすべてを一緒の名義にするのかは分かりません」。

 リチャード・ランカスター氏が35年間場長を務めたシャドウェル牧場を去ることを発表した翌日にこのニュースは伝えられたが、シャドウェルのスリム化は今後数ヵ月にわたって継続されるだろう。

 ゴールド氏はこう続けた。「皆さんご存じのとおり、私たちはジュライセール(7月7日~9日)にかなりの頭数を上場します。これは、去年手放すべきだった馬や、今年期待にこたえてくれていない馬を一掃するための自然なプロセスの一環です」。

 「これまでもよく伝えられているとおり、ハムダン殿下の逝去の前から、私たちは現役馬や繁殖牝馬の頭数を減らし始めていました。ゴフス社やタタソールズ社の12月セールでも多くの繁殖牝馬を上場する予定です」。

 ゴールド氏は現在英国政府の"レッドリスト指定国"とされているドバイへの渡航のために、すでにいくつかの国内の重要なレースに立ち合えていない。同氏は「7月6日(火)には帰国しますが、その後10日間の自己隔離が必要となるので、ジュライミーティング(7月8日~10日 ニューマーケット)には行けないでしょう」と語った。

 そして、「それでも殿下のご家族がどうしたいのかを確認するために渡航するのは重要でした。ありがたいことに、いくつかの朗報を持ち帰ることができます。私たち全員にとってエキサイティングな時期であり、移行の過程でもワクワクするような時を過ごせることを願っています」と付言した。

By David Milnes

 (関連記事)海外競馬ニュース 2021年No.11「40年以上にわたり競馬界に貢献したハムダン殿下が逝去(国際)

[Racing Post 2021年6月29日「Shadwell empire to be taken on by Hamdan Al Maktoum's daughter Sheikha Hissa」]


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