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2021年07月08日  - No.25 - 2

今シーズン安定のブルーム、サンクルー大賞優勝(フランス)[その他]


 ブルームはどこにでもいる馬のままでずっといるかに思えたが、サンクルー大賞(G1 2400m)で強豪馬を圧倒したことで、5歳にして格段の進歩を遂げた馬だと結論づけるときが来たのかもしれない。

 ブルームはコリン・キーン騎手の自信に満ちた誘導で、エバイラ(Ebaiyra)、ゴールドトリップ(Gold Trip)、インスウープといった優良馬を退け、実質的にここですべてを成し遂げた。キーン騎手はフランスで初めてG1勝利を果たしただけでなく、注目すべきことに、エイダン・オブライエン調教師とのコンビで初めてG1優勝を達成した。

 キーン騎手はこう語った。「サンクルーに来るのは初めてですが、素晴らしいコースですね。事前にエイダンと話したところ、彼は"シンプルにやればいいのです"と言いました」。

 「それに、"誰も行きたがらないようなら、自ら動いてください"とも言っていました。ブルームはとても分かりやすい馬です。きわめて誠実で、粘り強いのです。何ごとも起こらないときは、馬なりに走らせておいても安心できます。私は意欲的なパートナーを得たというわけです」。

 「彼は耳をそば立てながら道中ずっと私を背に、最後まで走り切りました。彼は今年とても安定していたので、ふさわしい勝利だったと思います。G1馬として彼の名が刻まれることになって良かったです」。

 ベットフェア社は、ブルームのキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1 7月24日)でのオッズを15倍から11倍に、凱旋門賞(G1)でのオッズを51倍から26倍に引き下げた。

 ブルームと同厩舎のジャパンはいずれも松島正昭氏により共同所有されているので、どちらか、あるいは両馬が凱旋門賞に挑戦しても不思議ではない。

 ハードウィック賞(G2 ロイヤルアスコット開催)でワンダフルトゥナイトがブルームをたやすくかわしたことを考えると、ワンダフルトゥナイトを手掛けるデヴィッド・ムニュイジエ調教師と馬主のクリス・ライト氏は、ブルームがライバルを撃退した光景に喜びを感じたに違いない。

 しかしブルーム(牡5歳 父オーストラリア)は今年前半にアイルランドのリステッド競走・G3競走・G2競走を制しており、競走成績を向上させ続けている。

 たしかに彼のスタイルは華やかなものではないが、バリードイル(クールモアの調教拠点)で最高級の古馬よりも格下であるに違いないという仮説は、再検討する必要があるかもしれない。

 3歳シーズンも4歳シーズンも戦線離脱を余儀なくされていたが、オブライエン調教師はできるだけ丁寧に走れる機会を持つようにしている。

 オブライエン調教師はこう語った。「ブルームはとても安定していて、今シーズンに走ったレースはどれも素晴らしいものでした。私たちは彼に満足していますし、コリンは見事な騎乗をしてくれました」。

 「彼のレース後の回復具合を見てから、次にどこを目指すか、あるいは放牧に出すのかについて決断するでしょう。彼にはたくさんの選択肢があり、今やレースにうまく取り組んでいます」。

 オブライエン調教師はこの週末にG1・2連勝したことになる。同調教師はエクリプスS(G1 サンダウン)でセントマークスバシリカによりアデイブとミシュリフを破ってその1勝目を挙げたが、同馬のレース後の回復具合に満足していると語った。

 「サンダウンでのレースを終えてから、セントマークスバシリカは順調なようです。次にどのレースに挑戦するかを決定する前に、本格的な調教を再開するつもりです」。

 クリストフ・スミヨン騎手はブルームとバロンサムディ(Baron Samedi)の2頭をマークすることを決め、エバイラに内ラチ沿いの経済コースを取らせた。

 アガ・カーン殿下が所有するエバイラ(牝4歳 父ディストーテッドヒューマー)は最後の直線に向いたとき先頭に立つブルームを追い詰める態勢にあった。しかし勢いづいていたもののその差を縮めることはできず、最後の1ハロンではゴールドトリップとインスウープと奮闘することになった。

 アラン・ド・ロワイエ-デュプレ調教師は、「彼女はよく走りましたし、最後の最後で敗れただけです。私たちが知っているとおりの走りっぷりでしたが、道中ずっと彼女の外側には馬がいたので、少し精力を使いすぎたのかもしれませんね」。

 エバイラは昨年、牝馬相手に2400m以上を持ちこたえられることを証明した[ポモーヌ賞(G2 2500m)で優勝、ロワイヤリュー賞(G1 2800m)で3着]。しかしコリーダ賞(G2 2100m 5月26日)で素晴らしい末脚を見せたので、8月のドーヴィルではその競走距離に戻す可能性がある。

 ロワイエ-デュプレ調教師は、「彼女は勇敢で実直です。今回はそれほど難しいレースをしたとは思いません。ドーヴィルのジャンロマネ賞(G1 2000m)も選択肢の1つになるでしょう」と語った。

 ゴールドトリップは、ペースが上がらず届かない位置からレースをした馬の中では最も良い成績を収め、エバイラにわずかに鼻差の3着となった。

 馬主のジャン-ルイ・ブシャール氏はこう語った。「ゴールドトリップはすでに左回りのコースでインスウープに一度勝っています。彼は3週間後のキングジョージに登録しており、決定を下す前にレース後の回復具合を見るつもりです。そうでなければ放牧に出し、フォワ賞(G2)に出走させた後に、凱旋門賞に再び挑戦させるでしょう」。

 4着のインスウープは断然の1番人気でこのレースに臨んだが、予報されていたとおり雨がもっと降れば、より良い成績を収めていたかもしれない。またブシャール氏が述べたように、彼が連対を外したのは2戦のみで、それらはロンシャンやアスコットとは逆の左回りのレースだった。

By Scott Burton 

[Racing Post 2021年7月4日「Broome sweeps aside rivals to give Aidan O'Brien first Grand Prix de Saint-Cloud」]


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