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海外競馬ニュース
2021年07月01日  - No.24 - 2

超有力調教師は超有力種牡馬の恩恵を受けているのか?(イギリス)[その他]


 一流調教師とはどのように定義するのか?有力な管理馬を擁する調教師は手腕をふるってその地位に上り詰めていくのだから、トレーナーズランキングを見るのがおそらく一番だろう。

 しかしその場合でも、数人の一流調教師が預かった産駒にどれほど依存しているかは意外に知られていない。エイダン・オブライエン調教師は、2歳のガリレオ産駒が入厩するたびに目を輝かせているが、それらの産駒の集合的な貢献に彼がどれほどの恩恵を受けているのかはほとんど探られていない。

 ここではその断片を紹介する。昨シーズン、英国とアイルランドにおけるオブライエン厩舎の賞金獲得トップ20頭のうち14頭がガリレオ産駒だった。とりわけ上位8頭のうち6頭がクールモアの超優良種牡馬の産駒だったことを考えると、これは非常に大きな貢献である。別の言い方をすれば、オブライエン厩舎の上位20頭が昨年獲得した賞金413万5,000万ポンド(約6億4,093万円)のうち、ガリレオ産駒が獲得した賞金は292万5,000ポンド(約4億5,338万円)に上る。ガリレオとの密接な結びつきがなければ、オブライエン調教師はいったいどのような立ち位置になるのだろうか?

 しかしこれに関しては彼だけではない。チャーリー・アップルビー調教師の目覚ましい活躍は、主にドバウィ産駒の集合的な功績に基づいている。昨年の賞金獲得トップ20頭のうち9頭、そして上位5頭のうち4頭がドバウィ産駒だった。

 アップルビー調教師は今シーズンもさらにドバウィの恩恵を受けており、賞金獲得トップ20頭のうち14頭がドバウィ産駒だ。一方、オブライエン厩舎の上位20頭の中にはガリレオ産駒が10頭含まれている。これによりアップルビー調教師とオブライエン調教師は、英国トレーナーズランキング(獲得賞金別)の1位と2位に押し上げられている。

 このことは他の調教師が彼らと互角に競うのがどれほど難しいかを示している。トレーナーズランキング3位のマーク・ジョンストン調教師は、賞金獲得トップ20頭の中にガリレオ産駒が2頭いるものの、ドバウィ産駒は1頭も入っていない。4位のアンドリュー・ボールディング調教師は上位20頭にいずれの種牡馬の産駒も入っていないという事実により、同調教師の優れた功績は裏付けられている。5位のジョン&サディ・ゴスデン両調教師のもとにはガリレオ産駒とドバウィ産駒が1頭ずつおり、6位のリチャード・ハノン調教師のもとにはどちらの種牡馬の産駒もいない。今年英国で100万ポンド以上を獲得しているのは、現時点でこれらの6人の調教師だけである。

 これらが、同僚のクリス・クック氏が自らのコラムで紹介している超有力厩舎(Super Stables)の出現の背景にある理由である。しかしここに問題が発生する。アップルビー調教師の今年の二大稼ぎ頭(アダイヤーとハリケーンレーン)、それも断トツの稼ぎ頭は、いずれもガリレオやドバウィよりもはるかに若いフランケルの産駒である。フランケル産駒やシーザスターズ産駒を独占できる調教師はいないため、超有力厩舎の序列にはまもなく修正が必要になるかもしれない。

By Julian Muscat

(1ポンド=約155円)

[Racing Post 2021年6月28日「Super trainers? It might more be a case of super sires」]

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