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2021年04月01日  - No.12 - 2

ミシュリフ、ドバイシーマクラシックを制覇して距離不安説を一蹴(ドバイ)[その他]


 ミシュリフは稀有な才能を発揮して魅惑的なドバイシーマクラシック(G1 芝2410m)を制し、そのスムーズなダートから芝への切り替えにより、世界屈指の万能なG1馬としての地位を確立した。

 2月のサウジカップ(ダート1800m リヤド・キングアブドゥルアジーズ)で見事に勝利を略奪していたミシュリフ(牡4歳 ジョン&サディ・ゴスデン厩舎)は、ドバイシーマクラシックの手に汗握る終盤で日本の名牝クロノジェネシスを退け、デヴィッド・イーガン騎手(21歳)にG1初勝利をもたらした。

 冷静沈着なイーガン騎手は「彼はチャンピオンです」と述べ、この画期的な勝利を挙げた直後に先日逝去したハムダン殿下に哀悼の意を表した。

 同騎手はこう語った。「たぶん、私を騎手として成功させてくれる馬だと思います。サウジカップを勝って私を次のステージに引き上げてくれたので、本当に今回の勝利はさらなる喜びです。多くの人々が、"ゴスデン調教師とファイサル殿下は、なぜこの馬を芝2400mで走らせようとしているのか?"と疑問に思っていました。中には、"最有力候補となったかもしれないドバイワールドカップに向かわなかったのは誤った判断だ"と言う人もいました。しかし、これは正しい判断でした」。

 ドバイターフ(G1)をロードノースで制していたジョン&サディ・ゴスデン親子にとって、単勝5倍のミシュリフの勝利はドバイワールドカップナイトを引き続き魔法のようなものにした。

 ゴスデン親子チームはこの数時間前にドンカスター競馬場のリンカーンHでハキーキー(Haqeeqy)が優勝したことで、親子で厩舎を共同経営することを公式発表して以来の初勝利を挙げていた。

 ゴスデン親子は今や、2021年のこれからの日程において、あらゆる馬場種類や開催国のG1競走に挑戦できるグローブトロッター、ミシュリフをどこに連れて行くかを熟考しなければならない。

 ブックメーカーのパディパワー社は、ファイサル殿下のご自慢のミシュリフの凱旋門賞(G1)での単勝オッズを11倍から9倍に下げた。同馬は今回のレースまで、昨年優勝した仏ダービー(G1)の2100mを超える距離を走ったことがなかった。

 ドバイシーマクラシックは圧倒的に速いペースにならないように思われたが、イーガン騎手は有利ではないと考えられていた大外の9番ゲートからミシュリフを落ち着かせて発走させた。

 クロノジェネシスは馬群の中団あたりを走っていた。一方、ミシュリフは安定したペースで走っていたことで、外側を回って他馬に好位置を譲っていたにもかかわらず、最終コーナーに近づいてきたときに勝負できる位置にスッと入ることができた。

 そのあいだモーグルの手綱を取るライアン・ムーア騎手は、レースが山場に差し掛かっても内側に閉じ込められて前が開かず、結局トップギアで走ることができずに7着に甘んじた。同馬は昨年の香港ヴァーズ(G1)で優勝し、2021年の初戦となるこのレースに単勝2.75倍の1番人気で臨んでいた。

 ウォルトンストリート(Walton Street チャーリー・アップルビー厩舎)と先頭にいた米国の有力馬チャンネルメーカーは活気よく走っていたが、オイシン・マーフィー騎手がラヴズオンリーユーで仕掛けてきたことで勢いを失い始めた。

 前方にぐんぐん進むラヴズオンリーユーが右に寄りかかって同じく日本調教牝馬のクロノジェネシスに不利を与えているあいだに、イーガン騎手はじわじわとミシュリフの華麗なストライドを解き放っていった。

 そしてミシュリフ(父メイクビリーヴ)は戦い抜いて首差の勝利を収め、スタミナの限界を疑っていた人々を沈黙させた。一方、クロノジェネシス(単勝3.25倍)はラヴズオンリーユーとの2着争いを首差で制し、ウォルトンストリートをその3馬身後ろに引き離した。

 イーガン騎手は、「任務をこなしてミシュリフを落ち着かせることができたことを、ただ嬉しく思っています。彼が素晴らしい末脚を発揮することは分かっていました。2400mで制御できて安定したペースを作るような騎乗ができれば、彼は今年、欧州で恐ろしい存在となるでしょう」と語った。

By Mark Boylan

[Racing Post 2021年3月27日「Magnificent Mishriff silences stamina doubters with stunning Sheema Classic win」]


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