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2021年03月25日  - No.11 - 2

スカイダルシ、香港ダービーを制覇(香港)[その他]


 4歳馬の勢力図が定まっていないシーズンにおいて、香港のリーディングジョッキーは3月21日の香港ダービー(芝2000m シャティン)で自ら行動を起こした。

 スカイダルシ(Sky Darci)は長らく、今シーズンの最も有望な4歳馬の1頭と考えられてきた。同馬は地元の馬主・調教師が最も愛するレースにおいて、"マジックマン"ジョアン・モレイラ騎手のタイミング抜群の騎乗に導かれ、カリス・ティータン騎手が騎乗するロシアンエンペラー(Russian Emperor)を必死で凌いで頭差の優勝を果たした。

 4歳クラシックシリーズの1戦目と2戦目が混戦だったことで、香港ダービーでは人気がばらけていた。ロシアンエンペラーが単勝6倍弱の1番人気に推されたが、スカイダルシ、エクセレントプロポーサル(Excellent Proposal)、トゥールビヨンダイヤモンド(Tourbillon Diamond)にも一桁のオッズがつけられた。

 スカイダルシは1戦目と2戦目を残念な結果で終えていたが、それらはまず間違いなく不運といってよいものだった。そのため、この日3勝を挙げてシーズン100勝を達成していたモレイラ騎手は、香港ダービーに臨むにあたり人一倍の注意を払っており、それによりまたもや魔法のような成果を挙げた。

 4歳クラシックシリーズの2戦目で終始先頭に立ち続けて優勝したヘルシーハッピー(Healthy Happy)が大きく逃げて先頭に立っていた。そのときスカイダルシは内柵に沿って走り、後方に控えていた。しかし最終コーナーが近づいてきた地点で追い上げて行ったとき、行く手を遮るものはなく、残り200mで前方に向かってぐいぐいと進んだ。

 残り100mの地点で、スカイダルシ(せん4歳 父ダルシブラーマ)のタンクの中にもはや燃料がないことは明らかだった。そこに、ロシアンエンペラーが欧州の古典的なフォームで追い上げてきた。スライドごとに差は縮まり、スカイダルシはやっとのことでロシアンエンペラーを頭差で凌いだ。パンフィールド(Panfield 牡4歳 父ルッキンアットラッキー)は3着、エクセレントプロポーサルは4着となった。良馬場で行われたこのレースの走破タイムは2分01秒32だった。

 モレイラ騎手はこう語った。「とてもスムーズに走ってくれました。勢いよく発走し、すぐに彼を手中に収め、落ち着かせようとしました。最終コーナーでは外側に進路を取らなければなりませんでしたが、一旦最後の直線に入ると少し早すぎるタイミングで先頭に立ちました。それでも、このレースで一番強い馬に乗っていることは分かっていましたので、自信たっぷりでした」。

 優勝したキャスパー・ファウンズ調教師は、スカイダルシとモレイラ騎手が凄まじい勢いでシャティンの最後の直線を駆けているとき、モレイラ騎手ほどの自信は感じていなかった。

 11年前にスーパーサティン(Super Satin)で香港ダービーを1勝しているファウンズ調教師は、こう語った。「間違いなく、これまでで一番長く感じた最後の200mでした。永遠に続くかと思われたので、彼が首を突き出して勝利をもぎとったときは最高の気分でした。全体として魔法のような日で、大満足しています。クワンファミリーが所有するこの馬で勝てたのですから、まさに魔法のようです」。

 同調教師はスカイダルシのレース後の状態を見て今後の進路を決定すると述べた。しかし、やっとのことでダービー優勝をもぎとったという事実は、2000mがスカイダルシの適性距離になることはないと暗示しているようだ。

 ファウンズ調教師は、「スカイダルシは多才であることを示しています。これからは、私たちがどのように彼を調教していきたいかに掛かっています。おそらく距離を1400mか1600mに戻すでしょう。ただ今後の彼の様子を見ていきたいと思っています」と述べた。

 スカイダルシは個人取引で購買されて香港に輸入された。2020-21年シーズンの前半にたやすく3連勝を達成し、将来有望な4歳馬とされていた。その後、チャイニーズクラブチャレンジカップ(G3)で香港の実績ある古馬を相手に2着となり、期待が高まっていた。しかし4歳クラシックシリーズでは、1戦目の香港クラシックマイルで6着、2戦目の1800mの香港クラシックカップでは進路を阻まれ7着となり良い成績を挙げられていなかった。

 香港ダービーでスカイダルシの粘り勝ちを許した馬も、なかなかの優良馬である。豪州のチャンピオン牝馬アトランティックジュエルを母とするロシアンエンペラー(父ガリレオ)は、2020年ロイヤルアスコット開催のハンプトンコートS(G3)を制しており、英ダービー(G1)では7着になっている。パンフィールドは太平洋を渡って香港に移籍する前はチリでG1競走を3勝している。

By Bob Kieckhefer

[Racing Post 2021年3月21日「Sky Darci Peaks at Right Time to Win Hong Kong Derby」]

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