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海外競馬ニュース
2020年02月27日  - No.8 - 2

英国競馬界、政府が発表したEU離脱後の移民制度を歓迎(イギリス)[開催・運営]


 全国調教師連合会(National Trainers Federation: NTF)のCEOルパート・アーノルド(Rupert Arnold)氏は、政府が発表した「英国のEU離脱後の新たな移民制度」を歓迎している。

 プリティ・パテル内務大臣は、2021年1月1日から英国へのビザ(査証)を申請する者はポイント制度を用いて審査されると発表した。この発表は、とりわけ介護分野で人手不足が予測されていることを受けてのものである。

 しかし移民労働者に依存している競馬界にとって、年間最低賃金3万ポンド(約435万円)の要件の廃止は、これまで閉じられてきた扉を多くの厩舎スタッフ・攻馬手に開放するので、朗報と言えるだろう。

 アーノルド氏はこの発表についてこう語った。「これは大体予想していたものであり、大半がすでに伝えられていました。いくつか注意する点がありますが、競馬界にとっては望ましい制度だと考えます」。

 「最も重要なのは、要求される技能レベルが下方調整され、ポイント制度では"功馬手"が以前入っていた『人手不足の職業リスト』に戻されるかもしれないことを政府が認めたことです」。

 「賃金基準が2万5,600ポンド(約371万円)に引き下げられることは、前向きな動きです。なぜなら、そのくらいの賃金が支払われる技能レベルの攻馬手が沢山いるからです」。

 同氏は新制度における柔軟性も指摘した。「いくつかのポイントは"代替可能"です。つまりその労働者が賃金基準を満たしていなくても、就こうとしている仕事が『人手不足の職業リスト』に入っていることでポイントを獲得できます」。

 「政府は移民諮問委員会(Migration Advisory Committee:MAC)に、『人手不足の職業リスト』を再検討するように求めています。それにより、攻馬手をそのリストに入れるように再申請するチャンスがもたらされ、賃金基準で多少妥協してもらえる可能性があります」。

 「最も不足している職種の1つは、技能の高い乗り役です。この新しい制度では、そのような乗り役を雇えるようになるでしょう。それはおおむね私たちが期待していたことであり、より多くの移民労働者を雇うチャンスがもたらされることに、私たちは満足しています」。

 政府は、英国のEU離脱後に低技能移民労働者へビザを出すつもりがないことも発表した。

 アーノルド氏はこう語った。「調教師たちへのもう1つのメッセージは、現在雇用しているEU市民が定住資格を確実に申請しているのを確認すべきであるということです」。

 「現在厩舎で雇われているEU市民は年内に定住資格を取得しなければなりません。12月になって、調教師に『うちの厩舎で働いているハンガリーやチェコ出身の労働者をどう扱えばいいのですか?』と聞いて来られると困ります。そのような労働者は何としても年内に手続きを済ませるべきです」。

 「厩舎作業者など他の技能をもつ人々に関しては、農業分野における季節労働者などの例外を除いて、低技能労働者を英国外から受け入れるつもりはないと、政府は明らかにしています」。

 BHA(英国競馬統括機構)の広報部長のロス・ハミルトン(Ross Hamilton)氏は、BHAはこの発表をおおむね歓迎しているとし、こう語った。「本日発表された提案は、競馬界・生産界に対して、来年1月に始まる新たな移民制度についての重要な詳細を明らかにしています」。

 「賃金基準引下げの決定と、競馬界・生産界の多くの職種が熟練した技能が必要と認められたことを、歓迎しています」。

 「BHAは、全国調教師連合会(NTF)・サラブレッド生産者協会(TBA)・英国厩務員協会(NARS)と一緒に、この提案について徹底的かつ建設的に政府と関与します。また、MACがもうすぐ始めようとしている『人手不足の職業リスト』の再検討プロセスにも関わっていきます。私たちはそのプロセスにおいて、競走馬をケアするために求められる熟練した仕事内容を認め、国内で採用した人材を補完するような世界の有能な人材にアクセスできる新たな移民制度を引き続き求めます」。

 「私たちは同時に、現在競馬産業で従事する欧州経済圏のスタッフに英国政府の定住資格スキームに申請するように呼びかけたいと思います。BHAのウェブサイト(britishhorseracing.com)の項目『ブレグジット』で、そのプロセスに関するさらに多くの情報とガイダンスが閲覧できます」。


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By David Carr

(1ポンド=約145円)

[Racing Post 2020年2月19日「Racing a winner on points after post-Brexit immigration policy is announced」]


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