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海外競馬ニュース
2020年12月17日  - No.49 - 4

レースでの勝利の秘訣は「敏速な発走」とする研究論文(フランス)[その他]


 コースを歩いたりライバルを分析しながら行うレース前の作戦会議は忘れてください。フランスの数学者たちは、レースでの最善の騎乗方法を特定したことを確信している。

 フランスの数学者たちは、フランスギャロにより提供されたシャンティイ競馬場のレースで走った馬の速度データを分析した。そして勝利の秘訣は「敏速な発走」であると突き止めた。馬は敏速に発走することで、できるだけ早く最大酸素消費率(VO2 max)に到達できる。

 科学誌『プロスワン(Plos One)』に掲載されたこの研究論文は、騎手たちが理想の状態よりも遅いペースで馬を発走させることが頻繁にあることについて説明している。彼らは「馬が発走時にスピードを出し過ぎると、終盤に悪い影響がある」と考えている。

 数学者たちは1300mのレース(2歳限定)、1900mのレース(3歳限定)、2100mのレース(4歳限定)を研究して、「馬が最大酸素消費率に達して最も長い間それを持続させれば、他馬とくらべて終盤での減速がゆるやかになり、勝つチャンスが最大になる」と結論づけた。

 この研究論文にはこう記されている。「発走時に力強く加速することで、酸素消費率をすぐに最大値に到達させられるので、それは最善の騎乗方法です」。

 「騎手たちは馬の能力を考慮して、発走時に力強く加速しすぎるとレース終盤により大幅に減速してしまうのではないかと心配して、理想の状態よりも遅いスタートを切ることが頻繁にあります」。

 この論文の著者であるパリの社会科学高等研究院(EHESS)の数学者カンタン・メルシエ(Quentin Mercier)氏とアマンディーヌ・アフタリオン(Amandine Aftalion)氏は、レース終盤に急に減速しがちな馬は、敏速な発走を促すのと同様に、いっそう有利にゴールできるようにするために練られた作戦が必要となるかもしれないと認めた。

 論文はこう続けている。「レース終盤で大幅に減速しがちな馬は、終盤で速度を持続する力量を持たせるために、発走時にあまり力を掛けずに道中を通じてわずかに減速しなければなりません」。

 そして数学者たちは、独自の有酸素容量のような各馬の情報は、調教師によってモデルの1つとして活用されるかもしれないと結論付けた。それにより、馬に最大の勝機を与えるレース中の具体的な作戦を編み出せるかもしれない。

By Peter Scargill

[Racing Post 2020年12月4日「How do you get a horse to win? Scientists think they have discovered the answer」]


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