チャーチルダウンズ競馬場、2021年春に芝コースの敷設工事を開始（アメリカ）[開催・運営]

　ケンタッキーダービー（G1）の歴史ある開催地であるチャーチルダウンズ競馬場は11月23日、新たな芝コースを敷設するために1,000万ドル（約10億5,000万円）を投資すると発表した。この敷設により、芝コースの幅は広がり、耐久性は強化され、年間を通じて芝競走数が増やせるようになる。

　この敷設工事は2021年春開催終了後すぐに開始され、2022年春開催開幕時には芝競走を再開する準備が整う。もし芝が順調に成長すれば、新たな芝コースは2021年11月の秋開催までに使える状態になっているだろう。

　現在の芝コース（マットウィン芝コース 約1400m）はダートコース（約1600m）の内側にあり、チャーチルダウンズ競馬場が芝競走を1985年に開始した当初に敷設された。芝はケンタッキー31フェスク（90％）とブルーグラス（10％）が混合されたものであり、長さは4インチ（約10cm）。それらの芝はメーソンリーサンド基盤［13インチ（約33cm）］の上にある表土層［3インチ（約7.6cm）］に植えられている。

　より丈夫な新しい芝コースには、これまでと同じようにフェスクとブルーグラスが混合された芝が使われる。地表下部分は再編成される。芝の生育を支える中間部は、表土とグリットサンドの混合で作られた6インチ（約15cm）の上部根域層である。それは、6インチ（約15cm）のメーソンリーサンドで作られた下部砂層の上に敷かれる。チャーチルダウンズ競馬場は2019年春にいくつかの実験圃場で栽培を行い、新しい芝コースに使う最良のものを選んだ。

　現在の芝コースは幅80フィート（約24m）。水はけを良くするためにコースに傾斜をつけて設計されており、レースのために作られるコース数が限定されている。

　新しい芝コースには最先端の灌漑・排水システムが取り入れられ、幅は85フィート（約26m）まで広げられ、コーナー地点で全幅と傾斜を使えるように設計されている。内柵を数通りに移動させることができ、外側に0～36フィート（約0～11m）動かすことにより4コースを作ることができ、14頭を走らせることができる。

　チャーチルダウンズ競馬場は新たな芝コースを設計するためにSTRI（スポーツターフ研究所 本拠地イギリス）と契約している。STRIは競走馬を最高レベルでサポートする世界クラスの芝コースを設計・建設・管理し、コンサルト業務やモニタリングサービスも提供してきた。顧客にはアスコット競馬場やリヤド馬術クラブが含まれる。さらにSTRIは国際的なスポーツイベント（FIFAワールドカップ・全英オープンテニス・全英オープンゴルフなど）のために、芝のコンサルタントを務めてきた。

　芝コース敷設工事のために、7月から8月の8週間のあいだ、チャーチルダウンズ競馬場には馬を在厩させられない。また根を張らせて芝を定着させるために、2021年9月開催では芝競走は施行されない。

　チャーチルダウンズ競馬場では毎年3つの開催が行われ、約700レースが施行される。そのうち25％が芝競走と計画されている。2019年は芝競走が169レース施行される予定だったが、そのうち43レースは悪天候や不適切な馬場状態によりダート競走に変更された。

　11月14日にチャーチルダウンズ競馬場は、1週間のあいだ芝競走を停止すると発表し、その5日後にその停止期間を11月29日の開催終了までに延長した。

　チャーチルダウンズの芝コースで最後にレースが行われたのは11月12日であり、馬場状態は「良」だった。その日、ケンタッキーダービー（G1）12着馬ウィニングインプレッション（Winning Impression せん3歳）が芝コースで行われたアローワンス競走のゴール付近で大きく踏み外して種子骨を骨折し、安楽死措置が取られた。

　チャーチルダウンズ競馬場のコミュニケーション・メディアサービス担当上席理事であるダレン・ロジャーズ氏によれば、9月の乾いた気候のためにコースの下の根が望んでいたほどしっかりと張りめぐらされていなかった。

　芝コースは近年、時折問題に見舞われてきた。秋開催で最もはっきりしたことは、涼しい気候になればコースは湿度を保ち、レースで使えば芝が剥がれやすくなるということである。

By Blood-Horse Staff

（1ドル＝約105円）