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海外競馬ニュース
2020年11月19日  - No.45 - 3

予後不良事故防止のために欧州調教馬の環境適応が必要か(オーストラリア)[その他]


 豪州の調教師協会は、アンソニーヴァンダイクに生じたような予後不良事故を防ぐために、メルボルンスプリングカーニバルに遠征してくる欧州調教馬に対して現地の馬場コンディションに慣れる時間をもっと与えることを要求している。

 ジョン・オシェア(John O'Shea)調教師は、ニューサウスウェールズ州調教師協会(NSWTA)の代表として、「メルボルンカップ(G1  11月3日 フレミントン)の終盤に2019年英ダービー馬が球節骨折により予後不良となりましたが、これを受けてルールが変更されないのであれば、豪州最大の競馬祭典の日に競馬産業は不名誉を被り続けることになるでしょう」と述べた。

 2015年の2018年とメルボルンカップでは、それぞれレッドカドーとクリフスオブモハーが予後不良となった。また今年10月には、英2000ギニー(G1)2着馬ウィチタ(Wichita)が豪州で調教中に故障を発症し、安楽死措置が取られた。

 オシェア調教師は故障の原因として、欧州と豪州で調教馬場が異なることを挙げた。そして、北半球から遠征してくる馬はレース前に硬い馬場になじむためにもっと時間をかけるべきであるという意見を主張した。

 「スポーツ選手であったとすれば、そのアスリート人生をビーチでのトレーニングに費やしてきたのに、突然オリンピック会場に現れて、体が対応できないほどの硬いグラウンドで走るようなものです」。

 「欧州調教馬の多くは競走馬生活の全般にわたってウッドチップと呼ばれる馬場で調教を積んでおり、そうでなければ、とても柔らかい芝の上を走っています。そのため、私たちはそれらの馬が遠征してきたとき、豪州調教馬にとって安全な馬場をできるかぎり提供します。それでも、それらの馬は彼らの骨格を新たな環境になじませるのに十分な時間がありません」。

 「さらに、私たちは欧州調教馬にどんどん調教を積んで、さまざまな馬場で行われる2400mや3200mの過酷なレースに出走することを要求します。彼らの骨はそれほど早く変化に適応できません」。

 シドニーモーニングヘラルド紙(Sydney Morning Herald)によると、NSWTAはレーシングヴィクトリアやヴィクトリアレーシングクラブではなくレーシングオーストラリアに対して、メルボルンカップで馬の福祉を管理するように求める書簡を送付した。NSWTAはその書簡において、海外からの遠征馬のレースへの出走を認める前に、これらの馬が豪州のコンディションになじむために最長6ヵ月の期間を設けることを要求している。

 オシェア調教師は、変更が必要であるという点については断固として譲らず、こう語った。「ルールを長期的な観点からどのように修正できるのか答えを導き出し、豪州競馬産業が最大の競馬祭典の日に不名誉を被りつづけないようにするために、協調したアプローチが取られなければなりません」。

 「どのようにルールを修正するかについてはルール立案者にかかっています。私たちは海外からの遠征馬の予後不良事故の現実を指摘しているだけです」。

By Peter Scargill

[Racing Post 2020年11月10日「Call for rule change for European challengers after Anthony Van Dyck fatality」]

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