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海外競馬ニュース
2020年11月12日  - No.44 - 3

オーセンティック、スペンドスリフトファームで種牡馬入り(アメリカ)[生産]


 BCクラシック(G1 11月7日)を制して脚光を浴びたオーセンティックの将来について、すべての選択肢が話し合われた。その選択肢には、4歳シーズンも現役を続行する、もしくはこれまで数頭の優良馬が行ってきたように種牡馬入り前の最後の1戦として総賞金300万ドル(約3億1,500万円)のペガサスワールドカップ(G1 1月23日)に参戦するというものが含まれていた。

 最終的に、オーセンティック(牡3歳 イントゥミスチーフ)は競走生活から引退することとなった。11月9日朝、同馬はスペンドスリフトファームに到着し、競馬殿堂入りトレーナーのボブ・バファート調教師に引かれて馬運車を降りた。同調教師はオーセンティックの類まれな安定性と驚異的なスピードを称賛していた。

 「彼が不調な日はありませんでした。病気もなく、疝痛を起こすこともなく、何の問題もありませんでした。調教では機嫌よく走り、毎日速く走りたがっていました。そういう意味で、調教しやすい馬でした。なぜなら、併せ馬で調教する必要もなく、もしそうしていたら走りすぎるほどだったでしょう。牧場でも扱いやすい馬になることを望んでいます。私はまた新たに強い管理馬を探さなければなりません」。

 バファート調教師によれば、オーセンティックが競走馬として成熟し全盛期を迎えつつあるにしても、引退の決定は単純明快だった。

 スペンドスリフトファームの会長であるエリック・グスタフソン氏はこう語った。「すべての選択肢を熟考しました。高額賞金が魅力的なペガサスワールドカップも検討しましたが、それは彼の現在の名声や種付料に変化をもたらさないでしょう。私たちにとっては意味をなすものではありません。それよりも、彼をリラックスさせ、種付けが始まるまでの3ヵ月間、放牧地で走り回る充実した生活を送らせてあげたいです」。

 オーセンティックは、B・ウェイン・ヒューズ氏のスペンドスリフトファーム、マダケットステーブル、スターライトレーシング社、一口馬主運営会社マイレースホース・コム社により共同所有されている。同馬の通算成績は8戦6勝(2着2回)で、獲得賞金は619万1,200ドル(約6億5,008万円)。2歳シーズンに唯一走ったレースで優勝し、2020年の3歳シーズン初戦のシャムS(G3 サンタアニタ)で優勝して重賞勝馬となった。ケンタッキーダービー(G1 9月5日)までの複雑な道のりでは、サンフィリペS(G2)とハスケルS(G1)を制し、サンタアニタダービー(G1)では2着となった。ケンタッキーダービーではオーセンティックは約2000mの距離では勝てないのではないかという前評判により単勝9倍のオッズがつけられたが、先行逃切りで1¼馬身差の勝利を決めた。勝ち時計は2分00秒61。その次に出走したプリークネスS(G1)ではスイススカイダイバーの2着に敗れたが、BCクラシックでは10頭立ての9番ゲートからの発走という悪条件を乗り越えて優勝し、そのキャリアを素晴らしい形で締め括った。BCクラシックで再び先行逃切りの戦略をとった同馬は、終盤で挑んできたG1・4勝のインプロバブル(牡4歳)を振り払い、2¼馬身差の勝利を決めたのだ。勝ち時計は1分59秒60。

 グスタフソン氏はこう語った。「イントゥミスチーフの産駒を供用できるのは最高に嬉しいです。イントゥミスチーフはこつこつと地位を築いて、スペンドスリフトファームで最高の種牡馬に成長しました。米国一の種牡馬であるということにもはや異議はないと思います。彼をそれほど強く信頼しているので、彼の産駒を積極的に購買してきました。そのようなわけで、オーセンティックを熱心に追い求めました。そしてこのようにすべてがうまく行ったのですが、このように大それたことを夢見るなんてほとんど無理です。私たちは今や、私たちの牧場で供用する最高の種牡馬の最高の産駒を手に入れたわけです。本当に信じられません」。

 オーセンティックは母フローレス(Flawless父ミスターグリーリー)が送り出した最初のブラックタイプ勝馬である。フローレスの仔は3頭が出走し、いずれも勝利を挙げている。フローレスの母オイスターベイビー(Oyster Baby 父ワイルドアゲイン)は、G3・3着の実績のある1勝馬リアルファンシーランナー(Real Fancy Runner 父ヨハネスブルグ)や、ステークス競走3着内のスタンリーウォリアー(Stately Warrior)とセインツゴーマーチング(Saints Go Marching)の半姉妹である。

 オーセンティックの初年度種付料は7万5,000ドル(約788万円)。スペンドスリフトファームのネッド・トッフィー場長は、オーセンティックの所有権の一部を購買した3月から、生産者から問合せの電話を受けていると述べた。正式な引退発表の前に契約は交わしていないが、オーセンティックの種付予約は数日内に一杯になると、同場長は期待している。

By Eric Mitchell

(1ドル=約105円)

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[bloodhorse.com 2020年11月9日「Authentic Retired, Nothing Left to Prove」]

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