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2020年11月12日  - No.44 - 2

BCマイル、オブライエン厩舎が1~3着を独占(アメリカ)[その他]


 世界トップトレーナーのエイダン・オブライエン調教師は、11月7日のBCマイル(芝G1)を単勝74倍のオーダーオブオーストラリアで優勝したうえに他の管理馬が2着と3着に入ったことで、ブリーダーズカップ開催における最も驚くべき快挙をもぎ取った。これまでBCマイルに22頭を出走させて未勝利だったが、すさまじい方法で初勝利を成し遂げた。

 オーダーオブオーストラリア(単勝74倍)の払戻金は2ドル(約210円)につき148.40ドル(約1万5,582円)。これはBCマイルにおける史上最高配当で、ブリーダーズカップ開催全体では史上2番目の高額配当である。なお、これまでのBCマイルの最高配当は2011年にコートヴィジョン(単勝65倍)が優勝したときに打ち立てられていた。ブリーダーズカップ開催全体で史上最高配当は、1993年BCクラシックでアルカング(単勝134倍)が優勝したときに樹立された2ドルにつき269.20ドル(約2万8,266円)である。前日のBCフィリー&メアターフ(芝G1)をオウダリヤで制していたフランス人ジョッキー、ピエール-シャルル・ブドー騎手はこの勝利によりブリーダーズカップ開催2勝目を挙げた。
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 オーダーオブオーストラリア(牡3歳 父オーストラリア)は、エイダン・オブライエン調教師とアンマリー夫人が所有するウィスパービュー・トレーディング社により生産された。母は未出走馬のセンタズドリーム(父デインヒル)であり、半姉にBCフィリー&メアターフ(芝G1)などを制したG1・4勝馬イリデッサがいる。

 オーダーオブオーストラリアは、ワンマスターの出走取消により出走資格を獲得した。この馬に当初騎乗する予定だったクリストフ・スミヨン騎手は11月5日に新型コロナウイルス陽性が確認されて隔離が義務付けられたため、ブドー騎手にチャンスが与えられた。

 ブドー騎手はレース後にこう語った。「信じられませんでした。エイダンは"オーダーオブオーストラリアはスピードがあってマイル戦とこの馬場にぴったりな馬だ"と言いました。先行する数頭の後ろにつけて、道中順調に走りました。そして、彼は素晴らしい末脚を見せてくれました」。

 ブリーダーズカップの前のオーダーオブオーストラリアの競走成績は7戦2勝。重賞競走に3回出走して最高着順は4着であり、獲得賞金は3万9,846ドル(約418万円)だった。前走のインターナショナルS(G3 カラ)で9着だったことも、穴馬となるのに寄与した。

 BCマイルで発走ゲートが開いたとき、ペースメーカーと目されていたハラデー(Halladay)が先行馬ファクターディス(Factor This)と一緒に急いで先頭に立とうとしていた。それらの馬にカメコが加わり、3頭は2ハロンを23秒48、4ハロンを46秒97、6ハロンを1分10秒39の早いペースで通過した。オーダーオブオーストラリアは最終コーナーまでカメコの1馬身後ろを追走し、その後これらの先行馬に仕掛けていった。残り1ハロンの地点でハラデーを抜き、サーカスマキシマス(オブライエン厩舎)と激しい叩き合いを演じたが首差でしのぎ優勝した。走破タイムは1分33秒73。

 もう1頭のオブライエン厩舎所属馬ロペイフェルナンデス(Lope Y Fernandez)は、フランキー・デットーリ騎手を背に、9番手から混雑した最後の直線を縫うように進み、2着馬から¾馬身差の3着に健闘した。

 オブライエン調教師はこう語った。「私たちはいつも、オーダーオブオーストラリアは速くて平坦なコースのマイル戦を得意とするだろうと考えていました。それに、彼には長すぎる距離を走らせてきたと思っていました。これは彼が本当に望んでいた条件で臨めた最初のレースです」。

 同調教師はオーダーオブオーストラリアのオッズが高かったと聞いて驚かなかったが、これほどまで高いオッズだとは想像していなかった。

 「3頭の中でサーカスマキシマスに一番勝ち目があり、その次がロペイフェルナンデスだと考えていました。この馬については誰も予想がつきませんでした。このような速い馬場のマイル戦で走らせるは初めてでした」。

 オブライエン調教師は、この偉業をとりわけ自家生産馬で達成できたことに報われたと述べた。そして、センタズドリームはサンタバーバラ(Santa Barbara)という2歳のキャメロット牝駒も送り出しており、9月26日にカラ競馬場でデビュー戦を圧勝したと付け足した。

 サーカスマキシマスに騎乗したライアン・ムーア騎手は素晴らしいレースができたと述べた。

 デットーリ騎手は最終コーナーで抜け出すスペースを見つけられなかったが、ロペイフェルナンデスの奮闘ぶりに満足していた。

 「抜け出すことができず、かなり骨が折れました。それでも彼はよく走ってくれました」。

 ニューヨーク州を拠点とするチャド・ブラウン調教師はこのレースに3頭を出走させており、その中には単勝7倍の2番人気馬で昨年の覇者ウニがいた。ウニは5着となり、他の出走馬であるレイジングブル(Raging Bull)とデジタルエイジ(Digital Age)はそれぞれ10着と11着になった。

 外国調教馬が8頭出走して、1着~5着を独占した。

 ブラウン調教師はこう語った。「ウニは明らかに最高のレースをしました。どの管理馬も好位につけられませんでした。ウニは私が望んでいたような中団の位置につけられなかっただけです。私の管理馬に乗る騎手たちは芝がどのような状態か見て、直線に入った時にできれば近い、あるいは攻撃できる距離に行こうとしたようです。しかし誰もそうできませんでした。3頭のうち1頭だけが残り400mのところでダッシュしましたが、もう少し良い位置にいたなら勝てていたのではないかと思われました」。

 同調教師はデジタルエイジが発走のときに跳ね上がってしまったと述べた。ハビエル・カステリャーノ騎手はゲートが開いた時に馬は前後に揺れ動いたと報告した。

 ブラウン調教師はこう続けた。「デジタルエイジはそこでチャンスを失ってしまい、ただ後ろを走るしかありませんでした。ちょっとは競走に加わろうとしたものの、その地点でやる気を無くしてしまいました。レイジングブルについては、ひどい位置取りになってしまったわけではありませんが、最後の直線に入るときに少し無力になっていました」。

 ウニに騎乗したジョエル・ロザリオ騎手はこう語った。「順調に走っていると思っていました。外枠からの発走は厳しいときもありますが、レース終盤ではよい勝負をするだろうと考えていました。今日はペースの速いレースとなりました。"行った行った"のレースになるかと思いました」。

By Eric Mitchell

(1ドル=約105円)

[bloodhorse.com 2020年11月7日「Order of Australia Upsets BC Mile for O'Brien Sweep」]

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