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海外競馬ニュース
2020年10月22日  - No.41 - 4

マイク・スミス騎手、新たな鞭使用ルールに抗議(アメリカ)[開催・運営]


 米国の殿堂入りジョッキー、マイク・スミス騎手は、カリフォルニア州で新たな鞭使用ルールが適用されたことで、騎手たちは"重傷、場合によると死"の危険性に晒されると考えている。そして、そのルールは至急見直されるべきであると要求している。

 スミス騎手は、ゼニヤッタ、アロゲート、ジャスティファイのような米国の伝説的名馬に騎乗してきた。騎手組合(Jockeys' Guild)の共同議長としてカリフォルニア州競馬委員会(CHRB)に宛てた書簡において、同騎手はレースの公正確保や騎手の生活についての懸念も表明している。

 CHRBは10月1日、新たな鞭使用ルールを適用し始めた。このルールの下、鞭は6回までしか使用できず、連打は2回までとされ、鞭は肩よりも下の高さでのみ使用できる。このルールに違反した場合、最高で1,000ドル(約10万5,000円)の過怠金と3日以上の騎乗停止処分が科される。

 しかし、先週末に新たな鞭ルールの下で騎乗したスミス騎手は、より危険な騎乗環境になる可能性が高いと主張した。また、騎手たちの意見はルールを立案した人々によって十分に考慮されていないと感じている。

 スミス騎手は書簡にこう記している。「騎手たちは週末、このルールを順守しようと試みましたが、あらためて懸念が示されました。複数の騎手が重傷を負う、また場合によっては命を失うだろうと確信しています」。

 「騎手の安全と福祉への関心が欠如していることについて、とても不安を感じているのが現状です。そのうえ、私たちは騎手の福祉を心配するだけではく、馬にもたらされるリスクについても重大な懸念を抱いています」。

 「このルールは極めて危険なものであり、騎手という職業にさらに大きな危険と不安定を加えると確信しています」。

 スミス騎手は、新しい鞭ルールのために騎手たちはレースで最大限の能力を発揮できず、その結果としてカリフォルニアから離れることを余儀なくされる騎手もでてくるだろうと懸念を表明した。

 同騎手はこう記している。「危険性が高まるのに加えて、レースの公正確保と結果への深刻な影響もあります。週末の複数のレースにおいて、騎手たちは馬を奮起させる行為が制限されていたので、レース結果に影響がありました。」。

 「CHRBがもたらしている制裁と危険性を考えれば、騎手たちに大きなプレッシャーがかかっています。その程度は、妥当で責任ある鞭使用を今でも認める競馬管轄区で騎乗するためにカリフォルニアを去ることを考える騎手がでるまでにいたっています」。

 スミス氏はこう付記している。「適用されている新たなルールが実際には安全ではなく競馬産業に損害を与えるものだと、私たちは考えています。それゆえ私たちはCHRBに対し、騎手と馬にもたらされる危険な影響を熟考することなしに急いで可決した変更を再議することを嘆願および要請します」。

 2021年に見直される予定の英国の鞭ルールも今週、注目を浴びている。一流馬主のクルビル・ソヒ(Kulbir Sohi)氏が、鞭使用回数の超過に関するルールと制裁の妥当性について法的な異議申立てを計画しているからだ。

By Peter Scargill

(1ドル=約105円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2020年No.37「カリフォルニア州、厳格な鞭使用ルールが10月1日に発効(アメリカ)

[Racing Post 2020年10月18日「'New whip rules are putting jockeys' lives at risk' - Mike Smith issues warning」]


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