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2020年09月03日  - No.34 - 4

ジョッキークラブのグループCEO、不道徳な行動で辞任(イギリス)[開催・運営]


 ディーリャ・ブシェル(Delia Bushell)氏のジョッキークラブのグループCEOとしての多難な在任期間は、衝撃的な結末を迎えた。ジョッキークラブから独立した法廷弁護士が、ブシェル氏に関する"同僚へのいじめ"、"人種差別的な発言"、"不快感を与える素材の共有"についての申立てを支持したのだ。

 英国競馬界で最も権威ある地位の1つに就いてから1年も経たずして、ブシェル氏は競馬界を去った。ジョッキークラブの重鎮3人が「"不道徳な行動"のためにブシェル氏に懲戒処分を言い渡す理由がある」と判断したことを受けてのことだ。

 ブシェル氏は8月30日の昼食時に辞表を出した。そして、その週の初めに話題となりジョッキークラブ理事会に同氏の解雇を決定させた"行動"について、異例の弁護文書を提出した。

 ブシェル氏は理事たちを辛辣に攻撃するその文書において、「すべて男性である上級役員が証人として共謀した」との考えを示し、「苦情対処プロセスとそれにより生じた事態への対応を、理事会は根本的に誤りました。理事会の私との関わり方は陰険なものであり、私を犠牲にして彼らは利益を守りました」と述べている。

 また、「理事会は苦情への対応において公正を重んじたと主張していますが、それは事実ではありません。採用されたプロセスには問題があり偏っていました」とも語っている。

 ブシェル氏は昨年9月、サイモン・バザルゲット(Simon Bazalgette)氏の後任としてジョッキークラブのグループCEOに就任した。本紙(レーシングポスト紙)は2週間前、ブシェル氏の問題行動に関して、同氏の同僚の1人が正式な苦情申立てを提出したことを明らかにしていた。

 ジョッキークラブは8月30日夜の声明においてこう述べている。「ジョッキークラブ理事会は本日、ディーリャ・ブシェル氏がグループCEOを即刻辞任することを発表します。ブシェル氏の行動に関して提出されたさまざまな苦情申立てに関する独立した調査を終え、理事会は同氏の行動がCEOの職を続けて行くうえで擁護できないものだと結論づけました」。

 「法廷弁護士は調査の一環としてブシェル氏を含む19人の証人にインタビューし、8月23日(日)に詳細報告を小委員会[ダイドー・ハーディング(Dido Harding)氏、ジュリア・バッド(Julia Budd)氏、ジャスティン・ダウリー(Justin Dowley)氏]に提出しました。法廷弁護士はその報告において不道徳な行動に関する多くの申立てを裏付ける証拠があったと結論付けました。その行動には、"同僚に対するいじめ行為"、"不適切な人種差別的発言"、"不快感を与える素材の共有"が含まれていました」。

 「小委員会はその結論に同意し、不道徳な行動などを根拠にブシェル氏への懲戒処分を言い渡す理由があると判断しました。そしてこの勧告は、ジョッキークラブ理事会の全メンバーにより承認されました」。

 「ジョッキークラブ理事会は、臨時グループCEOにネヴィン・トゥルーズデール(Nevin Truesdale)氏を任命したと発表しました」。

 トゥルーズデール氏は、2013年8月にジョッキークラブに加わり、これまでグループの財務担当理事として財政および商業面の企画・報告・統制のすべてに関与してきた。昨年はグループCEOの候補の1人として名前が挙がっていたが、ブシェル氏に敗れた。ブシェル氏はそのキャリアのかなりの部分をスカイスポーツやBTスポーツなどのテレビ業界で過ごして競馬界入りした。ごく最近では米国の技術会社アフィニティ(Afiniti)で短期間勤めていた。

 テレビ業界での経歴は、ブシェル氏が選出された理由の1つだった。しかし、同氏が競馬界とITVとの提携延長の合意について前任者よりもずっと用心深いことがすぐに明らかとなった。ITVとの新たな3年契約は8月初旬に合意にいたったばかりである。

 ブシェル氏は辞意を伝える文書において、競馬界は"改革にひどく抵抗する"と述べ、苦情申立てを行った職員は計画中の事業改革に"影響が及ぼされる"役職に就いていたと主張した。

 そしてこう続けている。「私は、これまで尊敬し信用してきた人々から不当で恥ずべきいじめ行為を受けています。ジョッキークラブの長年の差別的な潜在的性質がはびこるのをまたもや許した理事会をまったく信用できません」。

 「私がいる職場環境の毒性、懲戒処分の事前決定、私の評判が明白に脅威にさらされつつあることを考慮すれば、この文書で述べられている契約の履行拒絶を受け入れ、ただちに辞任するしかありません」。

By Lee Mottershead

 (関連記事)海外競馬ニュース 2019年No.29「ジョッキークラブの次期CEOにディーリャ・ブシェル氏を任命(イギリス)

[Racing Post 2020年8月30日「Jockey Club chief resigns after report upholds allegations of gross misconduct」]

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