TOPページ > 海外競馬ニュース > グッドウッドカップ4連覇のストラディバリウス、凱旋門賞を目指す(イギリス)[その他]
海外競馬ニュース
2020年07月30日  - No.29 - 2

グッドウッドカップ4連覇のストラディバリウス、凱旋門賞を目指す(イギリス)[その他]


 ストラディバリウス(Stradivarius)は史上初のグッドウッドカップ(G1 約3200m)4連覇を決めたことで、アードロス(Ardross)・ルモス(Le Moss)・サガロ(Sagaro)・イエーツ(Yeats)など傑出したステイヤーの仲間入りを果たした。ただし、このレースではこれまでなかったほどにファンをうろたえさせた。

 実際、主戦を務めるフランキー・デットーリ騎手が後方で控えてしまったために懸念が生じていた。しかしストラディバリウスは何とか抜け出し、長距離レースでは絶対に見られないような末脚を爆発させた。

 デットーリ騎手はこう語った。「このようなレースになるとは予想していませんでした。一番の脅威はサンティアゴ(Santiago)でした。スタートから彼の前に出てレースを進めようと考えていましたが、フーデアズウィンズ(Who Dares Wins)がすでにその位置を奪っていたので、後方を走らなければなりませんでした」。

 「サンティアゴを追走しながら、"この馬は負担重量が15ポンド(約6.8kg)軽いことを活かすために、早くに仕掛けるだろう"と考えていました。しかし結局は2ハロン(約400m)のスプリント戦になってしまいました」。

 「行く手を阻まれたときにはやきもきしましたが、馬群がばらけるとストラディバリウスには末脚という最強の武器があるのだから大丈夫だと思いました。彼のように物凄い末脚をもつステイヤーを知りません」。

 「ストラディバリウスと短距離戦で競うとしても、かなりの優良馬でなければかなわないでしょう。残り1ハロンまでずっと閉じ込められていたにもかかわらず、彼は一旦抜け出すと思い切りギアを上げ、意欲的に疾走しました」。

 ゴスデン調教師は、ストラディバリウスが最後の直線でずっと抑え込まれることはないと思っていたが、そのポーカーフェイスとは裏腹に"不安を抱いていた"と告白した。

 「ひやひやしていました。残り1ハロンに差し掛かったときに道が開けることを切望していました。それでもストラディバリウスは抜け出すや否や末脚を炸裂させました」。

 「私とフランキーは"できるだけ長く待ってからダッシュすること"を意識していました。直線入口で"最後まで力を発揮できない状態は避けたい"と考えていましたが、フランキーが抜け目ない騎乗をしていることは分かっていました。ありがたいことに、フランキーは今年観客に手を振る必要がありませんでした」。

 ストラディバリウスは史上初のグッドウッドカップ4勝馬となり、これまで3勝馬としてトップに立っていたダブルトリガー(Double Trigger)よりも1勝上回った。ストラディバリウスは他にも、ゴールドカップ(G1 約4000m アスコット)を3勝、ロンスデールカップ(G2約 3300m ヨーク)とヨークシャーカップ(G2 約2800m ヨーク)をそれぞれ2勝、ドンカスターカップ(G2 約3600m ドンカスター)とロングディスタンスカップ(G2 約3200m アスコット)をそれぞれ1勝している。

 ゴスデン調教師、デットーリ騎手、馬主のビョルン・ニールセン(Bjorn Nielsen)氏は今や、ストラディバリウスは長距離部門で実力を証明し尽くしたと認識している。そして同馬は、競走距離2400m(1½マイル)の凱旋門賞(G1 10月4日 ロンシャン)で同厩馬のエネイブルと対戦することを最大の目標としている。

 ゴスデン調教師は、「このことについてニールセン氏と話合いを重ねてきました。ストラディバリウスは輸送に関しても、距離を1½マイルに短縮することに関しても、問題はありません。気分転換させてから9月13日のフォワ賞(G2 2400m ロンシャン)を目指します。そこで良いレースができれば、凱旋門賞に向かうでしょう」。

 ゴスデン調教師は、"7月25日に史上初のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)3勝馬となったエネイブルを相手に、ストラディバリウスは良い勝負ができますか?"と聞かれて、ひるむことなく「エネイブルは私の生涯において最高の1½マイル馬であり、ストラディバリウスは最高の長距離馬です」と答えた。

 そして「凱旋門賞が重馬場で行われるのであれば、エネイブルはストラディバリウスよりも前でレースを進めるでしょうが、ストラディバリウスにとって有利になるだろうと考えます」と付言した。

 その後、デットーリ騎手は凱旋門賞でどちらの馬を優先するかについて質問が及んだとき、ゴスデン調教師は「それは私が干渉することではありませんし、双方の関係者の気持ちを害したくはありません」と述べた。デットーリ騎手は「ニールセン氏に凱旋門賞への挑戦をやめさせようとする気はありません。彼がそれを望むのであれば、阻止する理由はありません。現在のところエネイブルに乗るつもりですが、さあどうでしょうか?」

 「不良馬場になる可能性もあります。ストラディバリウスはそのような馬場を全く気にしないので、エネイブルの一番の強敵になるかもしれません」。

 凱旋門賞よりも先の将来についても興味がそそられる。ニールセン氏はすでにストラディバリウスに7歳でも現役を続行させることを考えており、一つひとつのレースについて思いをめぐらせている。

 ゴスデン調教師はこう明らかにした。「ストラディバリウスは今シーズンを終えて種牡馬入りするかもしれませんが、ニールセン氏は来年も現役を続行させることを検討しています。ゴールドカップはまさしく彼が目指すレースとなるでしょう。彼は万能なので、1½マイル(約2400m)を走った後に2½マイル(約4000m)をこなすことができます。私たちは今年、新型コロナウイルスのような災難に見舞われているので、ストラディバリウスやエネイブルのような長らく現役を続けている管理馬が変わらず活躍していることは素晴らしいことです」。

By Lewis Porteous

[Racing Post 2020年7月28日「Stradivarius overcomes traffic problems to land historic fourth Goodwood Cup」]

上に戻る