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2020年07月02日  - No.26 - 4

ロイヤルアスコットで勝馬3頭を出した偉大な種牡馬3頭(イギリス)[生産]


 私たちは皆、特異なロイヤルアスコット開催を目にした。当然、観衆のざわめきや賑やかな雰囲気はなかったが、幸いにも最高峰の競馬開催の重要要素は損なわれていなかった。競馬番組(5日間)も異例なものとなった。例年は全30競走のうち22競走がブラックタイプ競走、7競走がハンデ戦で、残りの1競走は条件戦のクイーンアレクサンドラS(約4355m)である。今年はこれに総賞金3万5,000ポンド(約473万円)のハンデ戦6競走が追加された。また、クイーンアレクサンドラSもアスコットS(ハンデ戦 約4000m)も総賞金3万5,000ポンドで施行された。

 今回の分析を行うにあたり、ロイヤルアスコット開催において総賞金が3万5,000ポンドを上回る28競走(ブラックタイプ22競走・ハンデ戦6競走)を対象とした。

 これら28競走において次の種牡馬3頭がそれぞれ勝馬3頭を送り出した。
・ シーザスターズ(ギルタウンスタッド)
・ ドバウィ(ダーレー)
・ コディアック(タリーホースタッド)

 シーザスターズが送り出した勝馬は、他馬を大きく引き離してゴールドカップ(G1)3連覇を成し遂げた偉大なストラディヴァリウス(Stradivarius)、ハードウィックS(G2)優勝馬ファニーローガン(Fanny Logan 牝4歳)、キングジョージ5世S(H)優勝馬ハクム(Hukum)である。また、牝駒テレベルム(Terebellum)はクイーンアンS(G1)で2着となった。

 ドバウィが送り出した勝馬は、プリンスオブウェールズS(G1)を圧勝したロードノース(Lord North)、ブリタニアH(3歳限定)で他馬に大差をつけて優勝したカルーシー(Khaloosy)、サンドリンガムS(H)優勝馬オナシス(Onassis)である。

 コディアックは、優秀な2歳馬・短距離馬の宝庫とも言うべき種牡馬である。今年のロイヤルアスコット開催では、勝馬3頭全てを6月20日(最終日)に送り出した。その日施行された2つの2歳戦はいずれもコディアック産駒が勝利している。カンパネッレ(Campanelle ストーンストリート牧場所有/ウェスリー・ウォード厩舎)がクイーンメアリーS(G2 約1000m牝馬限定)、単勝151倍のナンドパラド(Nando Parrado)がコヴェントリーS(G2 約1200m)を制した。その後、4歳のハローユームザイン(Hello Youmzain)がダイヤモンドジュビリーS(G1 約1200m)で勇気ある先行逃切り勝ちを決め、新たな馬主であるエトレアム牧場(フランス)とケンブリッジスタッド(ニュージーランド)に喜びをもたらした。

 またコディアック産駒のプリンスオブリアー(Prince of Lir)は、ザリアージェット(The Lir Jet)がノーフォークS(G2 約1000m)を制したことで、今年のロイヤルアスコット開催で勝馬を出した唯一のフレッシュマンサイアーとなった。

 上記3頭以外に対象とする28競走で3着内馬3頭以上、または勝馬2頭を送り出した種牡馬は以下の5頭である。
・ ガリレオ(クールモア)
・ ダークエンジェル(ヨーマンズタウンスタッド)
・ エクシードアンドエクセル(ダーレー)
・ キャメロット(クールモア)
・ ナイトオブサンダー(ダーレー)

 世界一の種牡馬ガリレオは、3着内馬5頭(うち勝馬2頭)を送り出している。勝馬は、クイーンアンS(G1)を制したサーカスマキシマス(Circus Maximus)とハンプトンコートS(G3)を制したロシアンエンペラー(Russian Emperor)。

 ダークエンジェル(Dark Angel)は28競走で3頭の勝馬を送り出した。その1頭である短距離馬バターシュ(Battaash せん6歳)は、キングズスタンドS(G1 約1000m)を2¼馬身差で制した(同馬はハムダン殿下にとって今回のロイヤルアスコット開催の勝馬6頭のうちの1頭)。

 ベテラン種牡馬エクシードアンドエクセルは、28競走で3着内馬4頭を送り出している。2着馬は2頭[クイーンメアリーSの2着セークリッド(Sacred)など]、3着馬は2頭[ダイヤモンドジュビリーS 3着セプティカル(Sceptical)など]である。

 キャメロットは2着馬3頭を送り出している。うち2頭はいずれも12ハロン(約2400m)のG2競走で2着。

 欧州リーディングセカンドクロップサイアーであるナイトオブサンダーは、モナークオブエジプト(Monarch of Egypt 父アメリカンファラオ)を撃退してジャージーS(G3)を制したモラサム(Molatham ハムダン殿下所有)と、2着馬、3着馬を1頭ずつ送り出した。

 ナイトオブサンダーが6月20日にアイルランドで11頭目のブラックタイプ勝馬を送り出した一方で、アメリカンファラオは今やブラックタイプ勝馬19頭を送り出している。また、北米のリーディングセカンドクロップサイアーであるコンスティチューション(Constitution)は、ティズザロー(Tiz The Law)がベルモントS(G1)で圧倒的な勝利を決めたことでクラシック勝馬の父となっている。セカンドクロップサイアーの中で、トップックラスの地位を確立した3頭が、タピットの最高傑作コンスティチューション(ウィンスターファームで供用)、ドバウィの最高傑作ナイトオブサンダー、そしてクールモアにファピアノ系の芝向きの産駒をもたらし始めるかもしれないアメリカンファラオであることは注目に値する。

 ちなみに、昨年の欧州フレッシュマンサイアーのNo.2 とNo.3がロイヤルアスコットで活躍馬を出した。キングズスタンドSで古馬相手に3着に健闘したリバティビーチ(Liberty Beach)を送り出したケーブルベイ(Cable Bay ハイクレアスタッド)と総賞金3万5,000ポンドのハンデ戦(約2000m 3歳限定)を制したハイランドチーフ(Highland Chief)の父グレンイーグルス(Gleneaglesクールモア)である。

ロイヤルアスコット開催で活躍したブルードメアサイアー(母父)

 以下の2頭のブルードメアサイアーは3着内馬を4頭送り出したことで首位タイとなっている。
・ デインヒルダンサー(クールモア 2017年没)
・ ガリレオ(クールモア)

 デインヒルダンサーが母父として送り出した3着内馬4頭のうち3頭はガリレオ産駒であり、クイーンアンS優勝馬サーカスマキシマスを含む。残りの1頭の父はテオフィロ(父ガリレオ)である。

 ガリレオは種牡馬成績においても同様だが、ブルードメアサイアー成績をすべて塗り替えるのも時間の問題だろう。同馬が母父として送り出した3着内馬4頭のうち2頭はウォーフロント産駒であり、その1頭であるチェシャムS優勝馬バトルグラウンド(Battleground)はファウンドの初仔である。他は、エクセレブレーション(父エクシードアンドエクセル)産駒のバーニーロイ(Barney Roy)とアメリカンファラオ産駒のモナークオブエジプトである。

 以下の4頭のブルードメアサイアーが3着内馬3頭を送り出している。
・ ピヴォタル
・ ダラカニ
・ ダンシリ
・ キングマンボ(2016年没)

 ピヴォタルが母父として送り出した3頭の中には、コモンウェルスカップ(G1)優勝馬ゴールデンホード(Golden Horde 父リーサルフォース 父父ダークエンジェル)、ジャージーS優勝馬モラサム(父ナイトオブサンダー)が含まれる。

 ダラカニは母父としてブリタニアHで圧勝を決めたカルーシー(父ドバウィ)、セントジェームズパレスS(G1)2着馬ピナトゥボ(Pinatubo 父シャマルダル)を送り出した。

 ダンシリは母父として種牡馬ドリームアヘッドと明らかに相性が良い。「父ドリームアヘッド 母父ダンシリ」の配合は、ロイヤルハントカップ優勝馬のダークビジョン(Dark Vision)とダイヤモンドジュビリーSで写真判定の末に2年連続の2着となったドリームオブドリームズ(Dream of Dreams)を送り出している。

 偉大なキングマンボが母父として送り出した3着内馬3頭の中にはキングジョージ5世S優勝馬ハクムが含まれる。「父シーザスターズ 母父キングマンボ」も成功を収めており、G1馬であるクロスオブスターズ(Cloth of Stars)やゼルザル(Zelzal)も同じ配合である。

By Bill Oppenheim

(1ポンド=約135円)

[bloodhorse.com 2020年6月21日「In My Opinion: Leading Sires at Royal Ascot」]

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