TOPページ > 海外競馬ニュース > BCターフ優勝馬コンデュイットが15歳で死亡(イギリス)[生産]
海外競馬ニュース
2020年06月25日  - No.25 - 3

BCターフ優勝馬コンデュイットが15歳で死亡(イギリス)[生産]


 トップクラスの競走馬で、北アイルランドで唯一のサラブレッド種牡馬だったコンデュイット(15歳 父ダラカニ)は、病を患ってから3週間後に死んだ。同馬は日本のビッグレッドファームで種牡馬として6年間を過ごした後、北アイルランドのタリーレーンハウススタッド(Tullyraine House Stud)で2016年から供用されていた。

 タリーレーンハウススタッドのオーナーであるヒュー・サファーン(Hugh Suffern)氏は、コンデュイットの死を悼んだ。「驚異的な馬でした。彼ほど気骨のある馬を世話したことはありませんでした。愛らしく穏やかな反面、とても一途なところがありました」。

 「現役時代を振り返ると、劣勢を挽回する能力や、鋼のような精神が思い出されます。彼はそのような特徴を多くの産駒に伝えました」。

 「その競走成績と能力自体が物語っています。エクリプス賞の最優秀芝牡馬に選出されました。信じられないほど素晴らしい馬格をしていて、彼の肢がどれほど完璧な形をしていたかを再現するにはコンピュータが必要でしょう」。

 「彼の遺伝子は強く、産駒にその特徴が伝わっています。多くの優良産駒を送り出しました。時間が経てば、彼の死がサラブレッド産業にとってどれほど大きな喪失だったかが分かるでしょう。私は彼が大きな影響力を持っていたと確信しています」。

 「3週間前までは、彼は元気いっぱいでいつもの様子でした。しかし、その後程なく急性脳損傷を患っていることが分かりました。そして約3週間懸命に病と闘いましたが、最終的に先週半ばに息を引き取りました」。

 コンデュイットの北アイルランドにおける初年度産駒は今年3歳である。牝駒デコラ(Decora)は6月9日にウォルヴァーハンプトン競馬場で僅差の2着となり、コンデュイットは英国・アイルランドで初めての優勝産駒をもう少しのところで出し損ねた。

 日本で供用された6年間で、コンデュイットは勝馬137頭を送り出した。その中には、東京ジャンプSの勝馬シンキングダンサーや、平地競走で活躍するダイイチターミナルやドウディなどが含まれる。

 サファーン氏はコンデュイットが北アイルランドで送り出した産駒についてこう語った。「コンデュイットは将来有望な3歳障害馬を多く送り出しています。今年は新型コロナウイルス感染拡大によりセリ取引に関して不透明感が漂っているため、かなりの頭数がすでに調教を受けています。コンデュイットはその能力を産駒に伝えており、産駒は競走馬の資質に恵まれており、強さを秘めています」。

 コンデュイットは、バリーマッコールスタッド(Ballymacoll Stud)により生産・所有され、サー・マイケル・スタウト調教師により管理されて通算7勝を挙げた。2歳のときにウォルヴァーハンプトン競馬場の格下の未勝利戦で初勝利を挙げ、その後G1・4勝馬となるまで成長を遂げた。勝鞍の中には歴史的快挙であるBCターフ連覇が含まれる。

 2008年には英セントレジャーS(G1)でフランキー・デットーリ騎手を背にG1初勝利を達成した。そのレースでコンデュイットは明らかにスタウト厩舎の伏兵でありながらも、英オークス(G1)優勝馬ルックヒア(Look Here)と愛ダービー(G1)優勝馬フローズンファイア(Frozen Fire)などの他馬に3馬身もの差をつけてゴールを駆け抜けた。

 この時点で、コンデュイットのキャリアは急な上昇曲線をたどっていた。そして1ヵ月あまり後に、サンタアニタ競馬場に遠征し、ライアン・ムーア騎手を背にBCターフ(約2400m)の1勝目を挙げた。

 同馬は強豪揃いの11頭立てのこのレースで、2頭いた3歳馬の1頭だった。レース終盤で猛烈な末脚を見せ、道中悠々と走っていたイーグルマウンテン(Eagle Mountain)を撃退し、1½馬身差で破り、自身が最強であることを証明した。

 コンデュイットは4歳も現役を続行した。そして距離が前走よりも短い1¼マイル(約2000m)のエクリプスS(G1)において、圧倒的な強さを見せたシーザスターズに敗れはしたものの3着に健闘した。

 その後、同馬は得意距離である1½マイル(約2400m)のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)で優勝した。2着はタータンベアラー(Tartan Bearer)、3着はアスク(Ask)で、スタウト厩舎は上位3着独占し、バリーマッコールスタッドにとってはワンツーフィニッシュとなった。

 コンデュイットは凱旋門賞(G1 2400m)でまたしてもシーザスターズの後塵を拝し、4着となった。しかし次走のBCターフで、英国調教馬として初めてブリーダーズカップで連覇を果たして歴史を作ることになる。

 BCターフでいつも通り道中スムーズに走ったコンデュイットは、最後の直線に入ったところでダーレミ(Dar Re Mi)やスパニッシュムーン(Spanish Moon)などに行く手を阻まれた。

 しかしコンデュイットはプレッシャーを受けた時に見せる自らの独特なスタイルで、その気品と勇気を発揮して、先行していたプレシャスパッション(Presious Passion)を½馬身引き離して優勝した。

 BCターフ連覇の前に、バリーマッコールスタッドはコンデュイットの種付権利をビッグレッドファームに売却したことを発表していた。そしてコンデュイットはジャパンカップでウォッカの4着となった後、自らの競走生活に幕を降ろした。

 コンデュイットの母は未出走のウェルヘッド(Well Head 父サドラーズウェルズ)。兄弟には以下が含まれる。
・ ハードトップ(Hard Top 父ダルシャーン)...グレートヴォルティジャーS優勝馬
・ スプリングシンフォニー(Spring Symphony 父ダルシャーン)...アラブムーン(Arab Moon)とグラスハーモニウム(Glass Harmonium)の母。
・ スパータンガール(Spartan Girl 父エラマナムー)...トップクラスのハードル競走馬マイテントオアユアーズ(My Tent Or Yours)の母。

 母ウェルヘッドは、バリーマッコールスタッドが生産した有名なスペクトラム(Spectrum 愛2000ギニー&英チャンピオンS優勝馬)の半姉である。また、2000年英セントレジャーS優勝馬ミレナリー(Millenary)の2代母は、コンデュイットの3代母のダンシングシャドウ(Dancing Shadow)である。

By James Thomas

 (関連記事)海外競馬ニュース 2015年No.38「コンデュイット、障害競走の種牡馬として北アイルランドに移籍(イギリス)

[Racing Post 2020年6月17日「Breeders' Cup hero and Northern Ireland's only stallion Conduit dies aged 15」]

上に戻る