TOPページ > 海外競馬ニュース > 競馬界におけるセクシャルマイノリティの受容を目指す研究(イギリス)[その他]
海外競馬ニュース
2019年02月14日  - No.6 - 3

競馬界におけるセクシャルマイノリティの受容を目指す研究(イギリス)[その他]


 騎手協会(Professional Jockeys Association: PJA)は今回発表された画期的研究を評価し、「セクシャルマイノリティ(性的少数者)であることを公にできないと感じている騎手を支援するために、もっと多くのことがなされなければならない」と主張した。

 デヴィッド・レッツ(David Letts)氏は25日の競馬産業会議において、リヴァプール大学修士課程で自らが執筆した研究論文について発表した。そしてその研究結果は、英国におけるセクシャルマイノリティの騎手の数は、英国の総人口におけるその割合(最新の調査では6%)と概ね一致することを示していると明らかにした。

 これは、たった1人の現役騎手しかゲイであることをカミングアウトしていない現実とはかけ離れている。その騎手は、カミングアウト後に騎乗依頼をしなくなった調教師・馬主がいると述べた。

 レッツ氏は騎手への調査・インタビューで、競馬界全体よりも騎手の世界の方が、自身がセクシャルマイノリティであることを隠している者が多いことを発見した。そして、その主な理由として、騎乗機会の減少や騎手仲間からの予想される反応への恐れを挙げた。

 一方励みとなる結果としては、調査への協力者の大半が同性愛者に嫌悪感を抱いていなかったことが挙げられる。「同業者からゲイ・レズビアン・バイセクシャルであることをカミングアウトされれば快く受け入れられるか?」という質問に対して、競馬界の人々の92%、騎手の78%が前向きな回答を行った。

 しかし、調査に協力した男性騎手の5%が同性愛者に対する差別用語を"嫌がらせ"として使い、50%が冗談として使うと答えた。

 レッツ氏はポスターによるキャンペーン活動などの実用的な勧告を行った。さらに、確認された傾向の背景をさらに深く理解するために、研究を拡大することを示唆している。

 PJACEOポール・ストラサーズ(Paul Struthers)氏はこう語った。「私たちはデヴィッドの研究論文を支持しており、多くの騎手が調査に協力したことに満足しています」。

 「PJAにとって、騎手のメンタルヘルスと福祉は最も重要な課題です。デヴィッドの研究論文ではかなり有益な発見がありましたが、もっと多くのことがなされるべきなのは明らかです」。

 「私たちはこの重要な研究をしてくれたデヴィッドに感謝しています。そしてこの研究で出された勧告を実施に移すために、デヴィッドおよびBHA(英国競馬統轄機構)と協力して取り組むことを楽しみにしています」。

 BHAのダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容)担当部長のローズ・グリッセル(Rose Grissell)氏は、「セクシャルマイノリティであることを仲間に打ち明けられないと感じている騎手がいることは残念です。また、ある騎手がゲイであることを公にしたために騎乗機会を失ったと考えていることは受け入れられないことです」と述べた。

 グリッセル氏はこう語った。「"競馬における多様性促進グループ(Diversity in Racing Steering GroupDiRSG)"は、デヴィッドの研究の中核となっている提案を全面的に支持します。それは、同性愛者に差別用語を使ったり差別的態度を取ったりすることで生じる問題についての意識を高めるために、キャンペーンを発足させるというものです」。

 「この研究結果は、このプロジェクトがなぜそれほど重要であるかをはっきりと示しています。また、すべての性的指向が他の多様性と同様に尊重して認められることを確実にするために、話合いを始める機会を競馬産業に提供します」。

 レッツ氏はこう語った。「この研究が競馬産業全体からこれほど注目を集めて協力を得たことは、競馬界がこの課題について話し合う準備ができていることを示しています。この研究結果は、英国競馬界にいるセクシャルマイノリティの人々に関してさらなる議論を始める必要性を示しています」。

 「我々が愛する競馬の継続した成長と発展を確実にするためには、あらゆる多様性に細心の注意が払われることが最も重要なことの1つです」。


By Lee Mottershead


Racing Post 201925Jockeys' association backs study calling for action to address sexuality issues」]


上に戻る