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2019年10月31日  - No.42 - 1

日本に出発前のスミヨン騎手へのインタビュー(フランス・日本)[その他]


 クリストフ・スミヨン騎手は今年、数々のアガ・カーン殿下の所有馬とコンビを組んだ。それでも、リーディングタイトルは逃した。10月14日(月)、日本に出発前の同騎手は今年を振り返り、凱旋門賞(G1)や日本での新たな挑戦についても語った。

 スミヨン騎手は、すでに数頭の優良馬への騎乗依頼を受けており、素晴らしい冬を過ごすという期待を胸に旅立つ。フランスでのまずまずの2019年競馬シーズンを終えたこの一流ジョッキーは、自らの期待に沿った挑戦が用意されている日本で、早くその手腕を発揮したがっている。

パリテュルフ紙(以下Q): まずは日本への出発と抱負について聞かせてください。

スミヨン騎手(以下A): 8月に日本の関係者から、「短期騎手免許を再び取得して冬に2ヵ月間騎乗しないか?」という打診がありました。今年の年末はフランスで重要なレースに騎乗する予定はないと分かっていたので、引き受けることにしました。とても興味深い騎乗依頼を受けていて、傑出した馬とコンビを組むことになります。その1頭はサートゥルナーリアです。2014年ジャパンカップ(G1)で彼の半兄エピファネイアに騎乗して優勝しました。クリストフ・ルメール騎手は日本のほぼ全てのビッグレースを制していますが、年末にかけては、私にも同じぐらい優秀な馬と絶好のチャンスが与えられるという状況を目の当たりにするでしょう。

Q:日本で騎乗しなくなって長い年月が経ちましたが。

A:日本に再び行けることを大変嬉しく思っています。とても高いレベルの競馬になると思います。ランフランコ・デットーリ騎手、ライアン・ムーア騎手、ウィリアム・ビュイック騎手も日本で騎乗することを表明しています。刺激的な挑戦です。フランスでまずまずのシーズンを過ごしたので、過去を振り返らず新しい関係を作るために前向きに取り組むことができます。また、万聖節(11月1日)の休暇に来る子供たちにこの素晴らしい国を見せてあげられるので、日本に戻るにはちょうど良い時です」。

Q:フランスでは、春に期待されていた馬が重要なレースで実力を発揮できなかったようですが。

A:そうですね。シーズンの初めには明るい兆しがありました。3月にサンダースノー(Thunder Snow)でドバイワールドカップ(G1)二連覇を果たしていました。それに、アガ・カーン殿下の所有馬は春に好調なスタートを切りました。シヤラフィナ(Siyarafina)で仏1000ギニー(G1)も仏オークス(G1 ディアヌ賞)も勝てると確信していました。ところが、シヤラフィナはサンタラリー賞(G1)を勝ったものの、本当の能力を見せなくなりました。欧州最強3歳牝馬になるのにふさわしいエンジンを持っていましたが、健康に恵まれませんでした。そして他の期待馬も活躍しませんでした。

Q:あなたは仏ダービーを制することになるソットサス(Sottsass)への騎乗も失ってしまいました[訳注:スミヨン騎手はソットサス主戦を務めて2勝を挙げていたが、仏ダービーではアガ・カーン殿下のザルカラニ(Zarkallani 名牝ザルカヴァの仔)に騎乗した]。

A:契約上の義務を果たすのもゲームの一部です。2016年の仏ダービー馬アルマンゾル(Almanzor)で同じような経験をしていました[訳注:スミヨン騎手はアルマンゾルでG3優勝を果たしていたが仏ダービーではアガ・カーン殿下のザラック(Zarak名牝ザルカヴァの仔)に騎乗した]。しかしソットサスとは違い、アルマンゾルには仏ダービーの後に再び騎乗することができ、G1を2勝しました。仏ダービーでアルマンゾルを勝利に導いたジャン-ベルナール・エイケム(Jean-Bernard Eyquem)騎手はがっかりしたでしょう。失望は双方向で生じるということです。

Q:今年はリーディング争いをかなり早くに諦めたように見えましたが。

A:いいえ、私の性格上それはあり得ません。根拠のない噂を信じたり、事実ではないことを言わないでください。私はレースで勝つこと、何よりも重要なレースで勝つためにこの仕事をしています。緩慢な態度で臨んだことは一度もありません。年の初めに、リーディングタイトルを獲得することは最優先目標ではありませんでした。もう一度リーディングタイトルを獲得することは私の人生にあまり変化をもたらしません。もう1つのトロフィーをコレクションに加えるか、あるいは誰かにそのトロフィーを取られてしまうかは、大きな問題ではありません。それよりもアガ・カーン殿下の有望馬に乗って勝利を決めて、他の騎手とリーディング争いをしたかったのです。しかし良い馬に恵まれなければ、張り合うことは難しくなります。

Q:2019年凱旋門賞についての意見を聞かせてください。

A:ヴァルトガイスト(Waldgeist)は正真正銘のチャンピオン馬です。数年かけて最高レベルに到達し、この大勝利にふさわしい馬となりました。アンドレ・ファーブル調教師は決戦の日に彼を最高の状態に仕上げ、ピエール-シャルル・ブドー騎手は理想的な騎乗をしました。一方で、ペース配分を忘れていた騎手も何人かいました。譲歩なしのレースになりました。ピエール-シャルルは凱旋門賞ウィークエンドで、誰にも止められないほどの勢いがありました。このような才能豊かな騎手と年中競えることに満足しており、これは騎乗レベルを引き上げます。逆境の中でこそ進化します。

Q:エネイブルについて一言お願いします。

A:彼女は道中ずっと攻撃を受けていたわけですから、素晴らしいレースをしたと思います。凱旋門賞三連覇を達成するのはとても複雑です。検量室は緊迫した雰囲気に包まれていました。プレッシャーに押しつぶされてレース中に明晰さを欠く騎手もいました。トップクラスのジョッキーであろうと、誰にでもこのようなことは起こります。

Q:フランシス-アンリ・グラファール(Francis-Henri Graffard)調教師がアガ・カーン殿下のチームに加わりました。これについてどのような意見をお持ちですか?

A:フランシスは素晴らしい調教師であり、彼の成績がそれを物語っています。異なる物の見方と個性をもたらすでしょう。しかし来年は特別な年になるでしょう。なぜなら、アラン・ド・ロワイエ-デュプレ調教師が来年末に引退するからです。デュプレ調教師と一緒に手にした大勝利、とりわけダラカニとザルカヴァで果たした勝利を思い出して、ノスタルジーに浸っています。

Q:フランスで再びレースに乗るのはいつになりそうですか?

A:日本での短期騎手免許は12月23日までです。その後、家族と休暇を過ごします。1月には、ドバイカーニバルに参戦するためにフランスとドバイを行き来し、カーニュ=シュル=メール開催(南フランス)でも騎乗します。今年エージェントのスティーヴがよく働いてくれており、私たちは来年も素晴らしいシーズンにしたいと思っているので、2020年が待ち遠しいです。

By Stephane Longbardo

[Paris Turf 2019年10月16日「"Le bon moment pour retourner au Japon"」]


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