デットーリ騎手、凱旋門賞での敗北について胸中を語る(イギリス)[その他]
フランキー・デットーリ騎手は、10月6日(日)にエネイブル(牝5歳)が凱旋門賞(G1)三連覇という歴史的偉業の達成にわずかに及ばなかったことについて初めて胸中を語った。
ITVの『オープニングショー』にスペシャルゲストとして招かれたデットーリ騎手は、レース前の雰囲気、レース展開、ヴァルトガイスト(Waldgeist)に敗れたときの様子を話した。
デットーリ騎手は凱旋門賞の前、人目を忍び、負傷しないように騎乗を断り、どうすればエネイブルが未踏の偉業、凱旋門賞三連覇を成し遂げられるかについての研究に没頭していた。
凱旋門賞当日、観衆がデットーリ騎手とエネイブルを祝うのを待ちわびていたために、ロンシャン競馬場の雰囲気は緊迫したものとなっていた。同騎手は「驚くべきものでした。検量室を出た途端、人々は叫びだし熱狂していました」と述べた。
そしてこう続けた。「まるでサッカー場にいるようで、もはや競馬ではありませんでした。パドックは混雑しており、私は周囲を見渡し状況を把握しようとしました。特別な瞬間でした。ゴール板に近づいてきたときに、観衆は"エネイブル"と叫ぶのをやめ、私の名前を呼んでいました。そんなふうに温かく迎えられるなんて思ってもみませんでした」。
レース中はほとんど、観衆の願いが叶えられ、エネイブルの三連覇は達成されるように見えた。ただしそれは、ヴァルトガイストが迫ってくるまでのことだった。
デットーリ騎手はレースを追体験してこう語った。「思い通りにレースは展開しました。素晴らしい枠順で、力強いペースで走り、できるだけ内柵に近い経済コースを取っていました。そしてエネイブルに一息入れました。残り100ヤードでアンドレ・ファーブル調教師の馬が壊すまでは、すべてがうまくいっていたのです」。
「レースはそれ以上ないほどうまく展開していました。マジカル(Magical)がもう少し粘ってついてきてくれるのを望んでいましたが、ソットサス(Sottsass 3着)が迫ってきたのでスパートを掛けなければなりませんでした」。
デットーリ騎手は1 ¾馬身差で2着に敗れたとき、重要な場面でエネイブルの脚は重い馬場によって鈍らされたと感じた。同騎手は、「ヴァルトガイストは速度を上げましたが、エネイブルはそのままでした。それが差を生んだのです。もし良馬場なら、私たちは先頭でゴールしたはずです」と述べた。
夢をくじかれたデットーリ騎手は、もっともなことだが、敗北に意気消沈していた。しかし、まだ騎乗が残っていたので、自分自身を取り戻さなければならなかった。
同騎手は、「あと僅かのところで夢が破れ、日曜の夜は涙がこぼれました。精いっぱい努力したので、負けはしたものの栄光をつかんだはずです。意気消沈してしまい、最悪なことにあと3レースに乗らなければならず、立ち直る必要がありました」と語った。
馬主のカリド・アブドゥラ殿下はエネイブルの今後についての決定をまもなく発表する。凱旋門賞への4回目の出走の可能性はまだ消滅したわけではない。デットーリ騎手が再びエネイブルとこのレースに臨む希望をもっていることは当然である。
同騎手は、「アブドゥラ殿下がエネイブルに現役を続けさせ、来年もエネイブルとともに凱旋門賞に挑戦できることを祈るだけです」と付言した。
By David Baxter
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