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海外競馬ニュース
2019年10月03日  - No.38 - 4

ドイツの名馬ロミタスの驚くべき生涯が長編映画化(ドイツ)[その他]


 近代ドイツ競馬史における最強馬の1頭ロミタス(Lomitas 1988年~2010年)の驚くべき生涯が長編映画となる予定である。

 ドリームトゥール・エンターテインメント社(Dreamtool Entertainment)のステファン・ライザー(Stefan Raiser)氏が、ファーホフ牧場(Gestut Fahrhof)のアンドレアス・ヤコブス(Andreas Jacobs)会長の協力を得てこの映画を製作する。2021年に撮影開始予定。

 同社の親会社ベタグループ(Beta Group)は、世界的に有名な『ヒトラー ~最期の12日間~』や『善き人のためのソナタ』などのドイツ映画を共同製作している。

 実際、ロミタスの"小説よりも奇なる"生涯は映画化するに値する。

 ロミタス(父ニニスキ)は、ファーホフ牧場により生産され所有された。発馬機に入ることを強烈に嫌い、1991年独2000ギニー(G2)のゲート入りでは立ち上がって自ら地面に倒れ込むほどであり、ついに出走停止処分を科された。

 牧場主のワルター・ヤコブス(Walther Jacobs)氏は、伝説となっている"馬と話す男"モンティ・ロバーツ氏を米国から招いた。ロバーツ氏はロミタスを徹底的に世話して、閉所恐怖症を克服させるのに成功した。同馬は独ダービー(G1)で2着となった後、3つのG1競走を圧勝して、その年のドイツ年度代表馬に選ばれた。

 ところが、さらに劇的なドラマが待ち構えていた。ヤコブス氏が脅迫を受けたのである。脅迫犯は、「要求が聞き入れられないのであればロミタスを傷付ける」と脅してきた。そして1992年夏、デュッセルドルフ競馬場のレースに出走しようとしていたロミタスに毒が盛られた。

 その後、ロミタスは極秘でドイツを出国し、偽名をつけられ、英国ニューマーケットのスーザン・ピゴット(Susan Piggott)厩舎に預けられた。しばらくしてから今度は米国に渡り、芝G2競走で3着内に入るなどの成績を残した。

 現役引退後にファーホフ牧場で種牡馬入りしたロミタスは、数頭のG1馬を送り出した。最も有名なのは凱旋門賞(G1)とキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)を制した名牝デインドリームである。

 2015年にロバーツ氏の80歳の誕生日とドイツ訪問を記念して、ファーホフ牧場のダニエル・クリューガー(Daniel Kruger)氏とフロリアン・フィッゲ(Florian Figge)氏は20分間のロミタスのドキュメンタリー映画を製作した。

 このロミタスに関する短編映画『ロミタス―彼の物語(Lomitas - His Story)』はSNS上でカルト的な人気を得て、多くの競馬ファンにシェアされた。2017年には、ニューヨークのエクウス・フィルム・フェスティバル(Equus Film Festival)で最優秀国際ドキュメンタリー賞を受賞した。

  『ロミタス―彼の物語』(英語版)https://www.youtube.com/watch?v=8cx188V-BxY

  『ロミタス―彼の物語』(独語版)https://www.youtube.com/watch?v=LBcQ9BiX--U

 この短編映画の成功により、クリューガー氏とフィッゲ氏はアンドレアス・ヤコブス氏のサポートを受けて長編映画を製作する気になった。この長編映画では、欧州の大手コーヒーブランドを創業したヤコブス家の豊かな歴史も描かれるだろう。

 アンドレアス・ヤコブス氏は、ヤコブスコーヒー(Jacobs coffee)の創業者でファーホフ牧場の創設者であるワルター・ヤコブス氏の孫である。同氏はこう語った。「祖父はその情熱と忍耐力を傾け、欧州最大級の会社をゼロから創り出し、競馬というスポーツを再構築しました。農家の息子である祖父がサラブレッドを生産するためにブレーメンの近くの砂地に種馬場を建てたいと考えたとき、皆に笑われたそうです」。

 「長編映画製作者のライザー氏のこの物語についての視点は、すぐに私の心を捉えました」。

By Martin Stevens

[Racing Post 2019年9月21日「Stranger than fiction life of German star Lomitas to be made into a movie」]


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