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2019年09月26日  - No.37 - 2

モンジューを手掛けたハモンド調教師、今季限りで引退(フランス)[その他]


 ジョン・ハモンド(John Hammond)調教師(59歳)は33年間の輝かしいキャリアに終止符を打ち、来シーズンは調教師免許を更新しない予定である。同調教師は凱旋門賞(G1)を1991年にスワーヴダンサー、その8年後にモンジューで制した。

 他にも最優秀スプリンターのポーラーファルコン(Polar Falcon)やニュークリアディベート(Nuclear Debate)がG1優勝を果たし、同調教師は世界中でG1・23勝を挙げた。

 ハモンド調教師は英国とアイルランドで育ち、ラグビー(英国ウォリックシャー州)で学業を修めた。その後アンドレ・ファーブル厩舎で助手を務め、シャンティイを拠点として調教師生活を送った。

 調教師引退後もいくつかの計画を継続するつもりであり、そのうちの1つは、豪州のシンジケートグループOTIの欧州代表を務めることである。OTIはハモンド調教師が管理するハキー(Haky)の共同馬主であり、同馬は今年のメルボルン・スプリングカーニバルに遠征する予定。

 調教師免許を取得したわずか4年後の1991年に、ハモンド調教師はスワーヴダンサー(馬主アンリ・シャルーブ氏)で仏ダービー(G1 ジョッケークリュブ賞)と愛チャンピオンS(G1)を制した。自信にあふれるキャッシュ・アスムッセン騎手を背にして臨んだ凱旋門賞では、2着のマジックナイト(Magic Night)に2馬身差をつけて優勝して、そのシーズンを締めくくった。

 ハモンド調教師は9月24日(火)、スワーヴダンサーについてこう語った。「まさに絶好のタイミングでした。楽しい思い出がこみあげてきます。彼のベストレースはエンヴァイロメントフレンド(Environment Friend)を下した愛チャンピオンS(約2000m)です。本当に得意なのは1¼マイル(約2000m)ですが、1½マイル(約2400m)の凱旋門賞では最後の1ハロンで勢いを失っていたものの、その気高さで優勝を果たしました」。

 ハモンド調教師の初期の成功において、アスムッセン騎手は重要な人物だった。同騎手はハモンド調教師と組み、ディアドクター(Dear Doctor)でアーリントンミリオン(G1)、チェロキーローズ(Cherokee Rose)でヘイドックスプリントカップ(G1)、ドルフィンストリート(Dolphin Street)でフォレ賞(G1)、モンジューでフランスとアイルランドのダービー(G1)を制した。

 同調教師はこう続けた。「若くして優良馬を任されたことがとても役立ちました。信頼が高まり、キャリアに箔がつきました。また、優良馬を預かっていると有能な騎手が調教にも乗りに来てくれるので、違いが生まれます」。

 「アスムッセン騎手と私は猫と犬のように喧嘩したものですが、いつも最後には素晴らしい計画を思いつきました。楽しい思い出です。喧嘩しても、私たちは友人同士で今もそうです。彼は救世主でした」。

 モンジューの鞍上もアスムッセン騎手が務めていたが、3歳秋からはクールモアと契約していたマイケル・キネーン騎手が騎乗し、1999年凱旋門賞で日本調教馬エルコンドルパサーとの壮絶な叩き合いを制した。

 キネーン騎手は翌年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)でもモンジューに騎乗し、ファンタスティックライト(Fantastic Light)とダリアプール(Daliapour)を撃退した。

 ハモンド調教師はこう語った。「あの頃は、彼らと最高の日々を過ごしました。凱旋門賞でエルコンドルパサーが他馬を引き離して直線に差し掛かったとき、私たちは勝てるとは思いませんでした。なぜなら、エルコンドルパサーのレース前の調教での素晴らしい動きを目にしていたからです。しかし幸運なことに、馬場が重かったおかげで彼に追い付くことができました」。

 「さらにモンジューは、キングジョージで優勝した日に驚異的な馬となっていました。1½マイルのこのレースで、彼が負ける要素は見つかりませんでした」。

 「ダービーを勝てる1½マイルを得意とする馬を育てようとするとき、モンジューは打ってつけの馬でした。彼が初めて厩舎に脚を踏み入れたとき、あまりにも素晴らしい馬なので、私は喜びでいっぱいでした」。

 ハモンド調教師は70頭以上を預かることはないが、モンジュー以降もコンスタントに優良馬を手掛け続けた。2000年にニュークリアディベートはキングズスタンドS(G1)とナンソープS(G1)を制し、インペリアルビューティー(Imperial Beauty)によるアベイドロンシャン賞(G1)優勝は、武豊騎手との長年にわたる実りの多い関係のハイライトとなった。

 ハモンド調教師はG1優勝牝馬のスウィートストリーム(Sweet Stream)やサラリンクス(Sarah Lynx)なども手掛けた。2011年のサラリンクスによるカナディアンインターナショナル(G1)優勝は、同調教師にとって直近のG1優勝となった。

 ハキーは9月にパリロンシャン競馬場のG3競走で2着に健闘したことで豪州遠征が決まり、現在は検疫に入っている。

 同調教師はこう語った。「ハキーはメルボルンカップに登録するには実力がわずかに及びません。コーフィールドカップ(G1)に挑みますが、それでも基準を満たさないのであれば、ジーロングカップ(G3)に出走させるつもりです。調教師を引退してもハキーの半分を所有しているOTIのために少し働くつもりです。ハキーは頑丈で健康な馬なので、彼らのために活躍してくれると思います」。

 「引退後の計画はいくつかありますが、OTIのために働くのはその1つです。OTIの欧州における代表者になろうと思っていますが、引退後の生活のすべてをそれに捧げるつもりではありません。OTIを運営するテリー・ヘンダーソン(Terry Henderson)氏は欧州の中距離馬を購買して豪州で走らせることで大成功を収めています。今年だけでも18頭のステークス勝馬を送り出しました。高い公正性を保ってうまく運営されている会社であり、魅力を感じています」。

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By Scott Burton

[Racing Post 2019年9月24日「Montjeu's trainer John Hammond to retire at the end of the season」]


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